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        <title>連山</title>
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        <language>ja</language>
        <copyright>Copyright 2008</copyright>
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            <title>ロシアに見る建築物の発達と階級社会</title>
            <description><![CDATA[<p>ロシアに限らず、大国を統治するために必要なのは、巨大な権力構造ではないかと思う。その構造を支えていたのが過去には帝政ロシアの階級社会であったのだろう。今の時代では階級社会とまではいかなくとも、やはりロシアには歴然として階級とは別の呼び方になった貧富の差があり、所属する組織によって格差が広がりつつある。</p>
<p>ソ連時代を見ても、社会主義革命が成功した国であるにも関わらず、一度たりとも特権を持つ人々が存在しなかった時期はなかったのではないかと思われる。革命前のように明らかな農奴という奴隷に近い階級の人々が存在した時期もあったが、仮にその階級差がなくなった御蔭で貧富の差が縮まったかというと疑問だ。むしろ恩恵を受けたのは一部の都会に出てこられた農村の人々に限られ、その他大勢は富裕な農家まで革命で逃げてしまった後、途方に暮れて仕方がないから相変わらず酒に溺れ続けたということも多かっただろう。</p>
<p>例外的に農奴に対する学校教育を行った小説家レフ・トルストイの領地跡は革命後も無事屋敷ともども残っている。（<a href="http://www.yasnayapolyana.ru/english/photogallery/fillials/index.htm">ヤースナヤ・パリャーナ</a>という地名の場所が今でも観光地・博物館として公開されている。モスクワからバスで約４時間）</p>
<p>一方ではウラジーミルナボコフのように思い出の土地を事実上没収された元貴族がほとんどだろう。その貴族や皇族の領地にあった建築物は破壊されたものと、残っているものがあり、ソ連時代の建物と共存して今も存在している。</p>
<p>そういう意味では、ロシア国内に現存する建築物というのは、それぞれの時代を象徴するともいえるのではなかろうか。もちろん、帝政ロシアが素晴らしかったと豪語するほど、その時代を知っている人は現在ほとんどいないだろう。しかし残された建築物や古い写真の中の誇り高い人々を見れば、時代がいかに激しく変化したかを理解することができる。一例として、モスクワの<a href="http://www.teamrenzan.com/archives/readers/matsuo/post_389.html">赤の広場</a>に今でも現役で営業している<a href="http://www.gum.ru/en/history/">国営百貨店GUM</a>をあげておきたい。</p>
<p>中心部の瀟洒な建築物のいくつかが大富豪が寄付した病院だったということを知るだけでも、今の成金との博愛精神の違いを感じさせられる。そして、モスクワを例に取れば、そのような病院がいまだに使われているのが結構なのだが、あまりにも手入れが悪く、メンテナンスが最悪なので、酷い場合は崩壊寸前の状態であったりすることも少なくない。（実際にニュースで古い建物の二階部分が家主の留守中に崩壊した、という冗談のような話もあった）</p>
<p>一方のソ連時代の建物についていえば、たしかに首都の建築物には相当の力を入れていたのが伺われる。ただ、写真でもある程度は分かるように、実物は余計に威圧的で醜悪な趣味をしており、例の共産主義の星のマークや錨のシンボルや、やたらと革命賛美、戦没者追悼などを主眼としたモニュメントを設置したり、この時代の彫刻ひとつ取っても非常にものものしい。まるで重く圧し掛かってくるような、その存在感は見ている者にソビエトという時代背景を感じさせずにおくことはあるまい。毎日このような建物や銅像に睨まれて暮らさなければならない立場に置かれた国民を思うと、いかにも社会主義的な国民への権力崇拝強制のようでもある。特に<a href="http://wikimapia.org/1935139/ru/">元KGBのある駅周辺</a>のムードは常に警戒態勢にある戦時中の場所のような雰囲気が漂っている。</p>
<p>その近くにある詩人マヤコフスキーの博物館前のモニュメントの赤色は<a href="http://www.moscow-hotels-russia.com/rus/mayakovsky_museum.htm">まるで血塗られた色</a>のように、彼の晩年の体制からの不遇と自殺に追い込んでおいて、死後に祭り上げられた皮肉が重なって見える。</p>
<p>また、モスクワにはスターリン建築と呼ばれる異常に重圧感のあるビルディングがたくさん残っている。ここから一体何人の人々が盗聴された内輪の会話のせいでシベリア送りとなり、二度と帰ることがなかったのであろうか。そのことを考えると一層この建物の威圧感は増すし、見た目だけでない重圧と、残酷な歴史に驚かされる。中には外側にシンボリックな銅像を据えつけたものまであり、ポーランドの首都にも<a href="http://www.um.warszawa.pl/v_syrenka/perelki/index_ru.php?mi_id=191&dz_id=5">「ワルシャワの墓石」</a>と呼ばれた同様のビルが聳え立っている。</p>
<p>本当に壊すにも壊せない過去の遺物となって今も残っている。</p>
<p>個人的な体験として、私自身もモスクワ滞在中に何度かこのようなスターリン建築にお邪魔したことがある。現在もそのほとんどが、オフィスやホテル、個人のアパートとして使われており、フルシュチョフの時代の安普請アパートに比べると、たいていが高級な場所を占めているためと、非常に天井が高く、部屋数も多いのでたいてい旧共産党の偉いさんか、インテリの年寄り、あるいは最近お金を持ち出したニューリッチが棲んでいて、いわゆる一般庶民には高値の物件が多いようだった。元共産党書記長まで上り詰めたブレジネフ住居もやはり、このようなスターリン建築の一棟であったらしい。同様のタイプのアパートに入ったことがあるが、その天井の高さもかなりのもので、エレベーターなども一般タイプより、鉄筋のかなりしっかりしたものだった。中には住んでいる人が年配のためか、いまだにスターリンの写真や巨大な油絵をそのまま飾っていたり、天井まで届く本棚に黴の生えたような古い本を大量においていたり独特の雰囲気であった。やはり、あの時代（スターリン生存中）を経験しながら、上層部で生き残った人々というのは、時代が変わったところで抜き難い恐怖や、そう簡単に変わらない心情があるのかもしれない。</p>
<p>おそらく、人類の歴史上、それぞれの時代の権力者がその当時の最高技術を結晶させて築き上げた公共の建築物は単なる構造的、表面的な問題よりもむしろ、その時代の空気を伝える貴重な証人であるといえよう。その意味では、ロシアにおける帝政時代と革命後の建築物を比較することによって、同じロシア人でありながら、まったく異なる思想体系に支えられたまったく異質の階級社会の出現によって社会がどう変動したか如実に示しており、非常に興味深いのである。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 26 Jun 2008 08:13:58 +0900</pubDate>
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            <title>日本のアニメ・漫画・インターネット規制目指して暴走する支配層とその焦り</title>
            <description><![CDATA[<h2>形振り構わぬマスメディアによる、アニメ・漫画・インターネットへ向けたネガティブキャンペーン</h2>
<p>　先日起こった、秋葉原における無差別殺人と言う痛ましい事件──多くの人々の心に衝撃を与え、社会全体を震撼させました。一体何が加藤容疑者をそこまで追い詰め、駆り立てたのか激論が交わされる中、あからさまに日本のアニメ・漫画・インターネットに対するネガティブキャンペーンがマスコミ主導で展開されています。その手法はもはや稚拙の域とも言えるものであり、形振り構わぬ当局の様子がありありと浮かび上がってくるようです。</p>
<p>　マスコミにとって大手スポンサーであるトヨタ自動車──その直系関連会社の関東自動車における派遣労働の実態について、インターネット上では物凄い勢いで議論が広がっています。そして、次々と悲惨な実態、眉をひそめるほどの搾取の実態が暴露されつつあります。</p>
<p>　大手スポンサーの闇が暴かれぬよう必死に情報統制をかけているマスコミ──多くの人々はそうした意図を既に見抜いており、印象操作を主体としたアニメ・漫画・インターネット非難を展開し、責任の所在を派遣労働システムから逸らすべく、がむしゃらになっている模様です。</p>
<p>　アニメ・漫画・インターネットに対するネガティブキャンペーンは今に始まったことではありません。例えば、「<a href="http://www.oyashirosama.com/web/top/" target="_blank">ひぐらしのなく頃に</a>」と言う有名な作品を巡る表現規制の件です。アニメ放送期間中に起きた事件との関連でマスメディアで叩かれ、放送を中止するテレビ局も出るなど騒動が起こりました。表現における刺激の強さで言うのであれば、遥か上を行く残酷なシーンが含まれる洋画が多数あります。しかし、そうした事例は無視され、特定アニメ作品だけを狙い打ちにするマスメディアの傾向は以前より明確でした。（「ひぐらしのなく頃に」自体は、仲間同士の結束や最後まで諦めずに運命に立ち向かう事を訴える作品です）</p>
<p>　なぜ、このようなダブルスタンダードを振りかざし、アニメ・漫画・インターネットを集中的に狙い、ネガティブイメージばかり強調するのでしょうか？</p>
<h2>情報リテラシーの高まりを恐れる支配層</h2>
<p>　これは私の考える仮説ですが──情報リテラシーが比較的高く、従来のマスメディアの影響を受けにくい層と、アニメ・漫画・インターネットの利用層が重なっている事が背景にあると考えられます。</p>
<p>　古代ギリシャ時代まで歴史を振り返っても、大衆扇動は支配統治において非常に重要な要素でした。大衆扇動機関として進化を遂げ、現在に至ったものが今のマスメディアです。</p>
<p>　その手法とは、被支配者層である庶民を無知にしておき、情報を独占する一部の勢力が巧みに操ると言うものです。ゆえに、被支配者層が知恵をつけ、情報リテラシーを高める事は、支配体制側にとって非常に不利な状況をもたらします。制御不能になる事態を阻止すべく、あらゆる手段を講じるのは、支配体制側の利害を踏まえると自然な事です。</p>
<p>　一部の特権階級による中央集権体制の維持において、庶民が力を付け、言う事を聞かなくなる事態は、死活問題です。</p>
<p>　そうした観点から見ると、マスメディアが形振り構わず情報リテラシーの高い庶民層を徹底的に攻撃する理由も分かります。アニメ・漫画・インターネットに関心を持つ層がこれ以上増えないよう、さらには離反させるべく、ネガティブキャンペーンを執拗に張る事は、マスメディアの立場・真の使命からすれば当然です。</p>
<p>　しかし、それだけではないのかもしれません──日本のアニメ・漫画・インターネットが攻撃される理由にはもう一つ──『文化・価値観闘争』と言う側面があるかもしれないのです。</p>
<h2>世界を席巻する日本型価値観</h2>
<p>　現在、世界では日本のアニメや漫画が幾何級数的な勢いで普及しており、その主な普及手段がインターネットを介したものです。様々な言語に翻訳され、あちこちのコミュニティで作品論議に華が咲き、愛好者たちの数は全世界的に増えつつあります。それも途轍もない勢いです。</p>
<p>　本来、文化や価値観は、覇権国家・支配国家が普及させてきました。古代ギリシャ文化にせよ、ローマ文化にせよ、ビザンティン文化にせよ、覇権を打ち立てた国家が自分達の価値観を広めていったのです。</p>
<p>　ところが日本の場合、文化や価値観が覇権樹立をなくして世界中に広がっているのです。</p>
<p>　現在、世界を統治している西洋文明の支配者層にとって、決して見過ごせない事態です。文化や価値観は、統治体制を維持するツールであり、必須の武器と言う側面があります。その文化や価値観の面で、日本に押されているのです。しかも、同じ土俵の上ではとても勝てそうにない状況に追い込まれています。</p>
<p>　自国の中でいくら放送規制をしようが、個人は言う事を聞きません。いい作品、面白い作品であれば、インターネットを通して自分で探し出してしまいます。もぐらたたき、いたちごっこにすらならないのです。</p>
<p>　そうなった場合、どうするか──本丸である日本を叩くに限るわけです。しかし、一体彼らは何を恐れているのでしょうか？　日本の文化・価値観が、彼らの支配体制に対してどのようなインパクトをもたらすというのでしょうか？</p>
<h2>日本のアニメ・漫画が、西洋文明による世界支配手法・分断統治支配を打ち砕く</h2>
<p>　分断統治──その起源は古代ローマに遡ります。</p>
<p>　被支配層が一致結束できぬように内部分裂をけしかけたり、新たに侵略するターゲット地域に内紛の火種を撒いて、有利に侵略を展開するのです。常に互いに反目し合い、いがみ合い、絶えず合い争うように仕組み、力をそぎ落とし、効率的に支配しようと言うわけです。</p>　
<p>　その分断統治は現代でも使われています。インドとパキスタンの地域を植民地化したイギリスは、イスラム圏とヒンズー圏を相争わせ、分断統治を行いました。それが現在に至るインド・パキスタン間の険悪な関係に根本となっています。</p>
<p>　また、東南アジアでは、西欧列強諸国が、現地の人々を支配するのに華僑を連れてきました。汚れ役を同じアジア人である華僑にやらせたわけです。当然、地位や既得権を与えています。ものの見事に、華僑と現地の人々の間に確執・反目・憎悪が生まれました。</p>
<p>　西洋文明は共存共栄とは相容れぬ文明です。陰謀、侵略、破壊と殺戮によって支えられてきた歴史だからです。互いに争い合い、憎み合い、いつまでも平和が訪れない状態こそ、支配側の利益にとって最善というわけです。</p>
<p>　その点において、日本のアニメや漫画がもたらす共存共栄型の価値観は、決して許容できないものです。日本型の共存共栄の価値観が世界中に広まってしまったら、２０００年以上に渡り用いられてきた世界統治手法である分断統治が使えなくなってしまうからです。</p>
<h2>日本の<FONT COLOR="red"><strong>アニメ・漫画・インターネットに対する総攻撃</strong></font>が始まる</h2>
<p>　既にご存知の方もいると思いますが、児童ポルノ規制と言う名の元で、西洋文明圏は日本に圧力を掛けています。自分の子供の写真にさえ表現規制を掛けるという過激なやり方を、日本にも押し付けようとしている模様です（これはこれで、家族の絆を断ち切ろうとする分断統治と思われます）</p>
<p>　恐らく、<strong>真の狙いはアニメ・漫画の表現規制</strong>であり、日本型価値観がこれ以上世界中に広まらないように、大元を叩き潰そうと言うつもりでしょう。</p>
<p>　世代が進むごとに、日本型の共存共栄の価値観に共感する人々が怒涛の勢いで増えてゆくでしょう。</p>
<p>　<u>分断統治手法を見抜き、高い情報リテラシーを持つ新世代は、既存の世界統治層にとって不倶戴天の敵</u>となるでしょう。</p>
<p>　一部の特権階層による世界統治体制の確立を目論む勢力にとって、現在は正念場であり、日本型価値観を粉砕できなければ（それらはアニメや漫画という形で、インターネットを介して広まってゆく）、数千年もの間続いた寄生的世界統治体制は歴史的終焉を迎えるのではないでしょうか。</p>日本の侘び、寂び、萌えを愛する人は→　<a href="http://blog.with2.net/link.php?478516">クリック</a>　して下さい。
<p>
関連の他サイト：<a href="http://pathfind.motion.ne.jp/ww4.htm">準第４次大戦史研究　長沼伸一郎</a>
</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">橋前勇悟</category>
            
            
            <pubDate>Sun, 22 Jun 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>モスクワの学生寮の謎</title>
            <description><![CDATA[<p>ロシアという国はユーラシア大陸に位置しているが、文化的には、ヨーロッパの文化圏と言い難い気がする。</p>
<p>実は、留学当時に知人がモスクワに初めて来て風景などを見て、「なんだか、中国にそっくり」といちいち指摘するのを聞いたときはかなり自尊心が傷ついたといえるくらいショックであったが、（やはり、ロシア文化にある程度傾倒して留学していたので）実際に自分が中国に行ってみると、たしかに「共通点」はあると感じた。</p>
<p>それはある意味、ヨーロッパ社会にある「秩序」とか「規律」が欠如した社会であるということと同時に、中国に近い部分というのが「混沌」と「雑多」という点ではないかと思われる。</p>
<p>そういうロシアの首都の事情は、実は表面だけを見ていては分からない。特に最近は中心部だとか、お金のある層が出入りするような場所は「見掛け倒し」であったとしても、かなり綺麗になっている。あくまで表面的に。</p>
<p>しかし、実際のモスクワの素顔はそんなところにはない。まさにモスクワの真骨頂である「混沌」が露骨に現れた場所というのが、実は「学生寮」なのだ。まさに人種のるつぼといおうか、社会底辺の混迷がある。</p>
<p>このたび、偶然見つけたニュース記事の中の事実はそれほど現地経験のある人間を驚かせるものではないと思うが、いくつかの事件を列挙する。</p>
<p>１．某技術系大学の寮に、まったく無関係のトルコ人の建設関係者が１００人近く暮らしていた。<br>
２．中国系、ベトナム系など、モスクワで商売する（主に市場など露天）学生とは思えないほど露語ができない人々が大量に学生寮に暮らしており、中には部屋の中で、様々な商店として開業（？）している者もいる。<br>
３．某大学寮の敷地内で、今年だけでも２人の乞食の死体が発見された。<br>
４．売春、ドラッグなどの事件の温床になっている。<br>
５．寮の部屋を関係ない第三者に賃貸しされている事実がかなり発覚している。</p>
<p>要するに、上記のような点について書いた記事だったのだが、これは過去に渡っても、非常に横行してきた事実なので「なるほど」という程度である。</p>
<p>ただ、これだけ見てもモスクワの学生寮が本来の「機能」を果たしていないということは、つまり地方から出てくる学生たちは、どうしているのか？ということでもあり、学生寮だけを見ても、この「様」なのだから、「大学機能」もいかなるものであるか？は賢明な読者ならば、想像することは易いことにちがいない。</p>
<p>まさに、ロシアという国家システム自体の「迷走」と「混沌」ぶりは、日本のように「整然」と「秩序立った」環境に恵まれた国から見ると、一種の「悪夢」に近い。</p>
<p>しかし、実際にその様子が改善されているということは考えられず、一応、その場凌ぎの「立ち入り検査」は行われているとしても、何を上から言われようと、「当事者」である寮の管理をする人々が、正当な方法では金儲けができないからやっているという大義名分がある限り、どうやらこの手の問題はなくなりそうにない。</p>
<p>事実、外人留学生の寮で火災事故が起こり、数名の死傷者を出した後は、かなり厳しく入寮する人物チェックなどが行われていたようだが、これも一時的なものだったのだろう。とにかく、インフラも悪く、時代遅れの老朽化した設備で、しかも、雰囲気は場末の貧民窟みたいになっている寮が非常に多いだろうから、そこに暮らす人の生活はいかなるものか想像がつく。</p>
<p>以前、あるロシア人が、「ロシアという国家に持ち込まれると、あらゆる主義が機能しなくなる。社会主義だろうと、資本主義だろうと結果は同じだ」ということを言っていた。</p>
<p>そのときはピンとこなかったけれど、おそらく、それは事実だし、今後もロシア人の全体的な民度が高くならない限り、普遍の事実として続いていくのだろう。この学生寮の謎ともいうべき、混沌とした存在を許容するロシアの雑多さは、国際政治や、個々のロシア人など表に出ることは少ないが、むしろ、こういう部分こそ、この国の社会制度の実態として受け止められるべきだと思う。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 19 Jun 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
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            <title>成金趣味のロシア人</title>
            <description><![CDATA[<p>　それにしても、ソ連崩壊後に現れてきた新ロシア人（新しい世代のロシア人、主に裕福階層を指す）の成金趣味というのは、どうにも目に余るものがある。最初のうちは、モスクワで特に目立っていたのはマフィア関係者だとか政治家のドイツ・イタリアなどの高級車だとか派手で悪趣味で機能的でない服装などの趣味であった。あの頃はまだ可愛げもあった。もちろん、やっていることは相当悪かったのか、一見して分かるほど人相の悪いヤクザがうろうろしているくらいで、モスクワ市民には直接害がないといって、それほど気にしてもいなかった。ちょうどプーチン政権になるまではそれくらいのどかなもので、マフィア同士の抗争事件は一般人には無関係という感覚だった。</p>
<p>　しかし、今年ガスプロム１５周年に呼ばれた歌手を知れば、笑ってしまいたくなる。
なんと今更、ティナターナーとディープパープルをアメリカから呼ぶらしい。多分、ロシア人にしてみれば、金がうなるほどある現在の地位と立場を利用して、これまで散々自分たちを馬鹿にしてきたアメリカ人の歌手を一晩だけの祝宴で歌わせるのは、さぞかし快感だろう。一方、日本人から見れば、これらアメリカ人の歌手が一時よりは本国で人気落ちした二流なのに、それを喜んで招待するロシア人の趣味に驚かせられるのではないか？！</p>
<p>　ロシア人でも趣味のいい人はたくさんいるのだが、残念ながら現在の新ロシア人たちで、そういう人は皆無に思える。プーチン大統領だって、自分を魅力的に売り込む戦略には相当金と人材を注ぎ込んでいるだろうが、たかだか元スチュワーデスの奥さんに、「女王様」のようなドレスを着せて、サンクトペテルブルクの記念行事に出してみたりするあたりでもうアウトだ。</p>
<p>　そして、その腰ぎんちゃくのような成金実業家ロシア人や多くのサンクトペテルブルク商店主などは、ソ連時代に掲げていたレーニンの肖像画の代わりに、安っぽい油絵の複製をさらに悪い印刷で伸ばしたようなプーチンの肖像か、酷い場合は昔あった「卓上レーニン像」ならぬ「卓上プーチン像」を飾っているそうな。これは地方高級官僚の間で流行だったとか。それでも、まだ任期の切れないプーチンとしては、自分の後釜に据える予定の男のポスターすら、自分の書斎に張るのを断っているとか。</p>
<p>　極めつけに悪趣味成金の代表といえば、アブラモービッチとベレゾフスキーだろう。前者は、イギリスのサッカーチーム買収だとか華々しい「お買い物歴」で有名だが、自分のスタジアムで自伝的ストーリーのミュージカルを作るよう、エルトンジョンに依頼したとか。シベリアの果てのトナカイくらいしかいない地方都市の知事の地位を強引に手に入れ、どんなに国家的資源を私物化して稼いだところでちゃんと税金を払っているかどうかも怪しいのに、自社株を政府に法外な価格で売りつけたり、やりたい放題。</p>
<p>　ところで同じユダヤ系実業家でも、後者のベレゾフスキーは国政に色気を出したばかりにプーチンから逃れてイギリスに亡命中。しかし金さえあれば、亡命先のイギリスでも手厚く警護してもらって、それほど危なくもないのだろうか？ロシアにいる間には、厚かましくも自分がいかにして「国営自動車工場を乗っ取って金持ちになったか？」という自伝的ストーリーを映画化していた・・・</p>
<p>　上記ほどのスケールではないにせよ、日本に来る成金ロシア人もヘリコプターや寿司屋を借り切って、札びらを切ることが「甲斐性」だと思っている馬鹿どもばかりで、益々ロシア人の愚かなる転落ぶりを世に示しているのだ。</p>
<p>　なぜ私がここまで新ロシア人をこき下ろすかというと、帝政ロシアの時代などは、たしかに天地の差ほどの階級制度があったかもしれないが、金持ちというのはもっと慈善事業に積極的にお金を出し、病院を作ったり、劇場を建てたり、ロシア国民の文化・芸術的な面で貢献している点が多くあり、貴族階級に限らず、これほど精神的に利己主義的な成金趣味は少なかったように思えるからだ。</p>
<p>　もちろん、どんな時代でも色んな人がいるわけで、ロシア人の低い身分や階級の人たちが非常に教養がなく、どうやっても高いレベルに引き上げるのは不可能なくらいに、上流と下層の階級差が悲劇的だったのは事実だ。しかし、まだしも上の階層だとか、それなりに財を成した商人たちには品格というものがあった。それは古い写真を見ても明らかだし、残っている文献、あるいは過去の人々の残した歴史的建造物や芸術を
見ても、その理想の高さを感じることができる。</p>
<p>　それと比べると、今のロシアにも富は戻ってきただろうに、あの時代（帝政時代）の文化的に高貴な空気は一切ない。お金を持つ人たちは、持てば持つほど「どけち」になるばかりで、中にホドルコフスキーのように新ロシア人実業家でも慈善事業をしたり、国政に関心を持ったりしてしまうと、シベリア送りの憂き目に遭うくらいのことだから、皆何もしないで、自分たちだけで馬鹿騒ぎしていたいのかもしれない。</p>
<p>　色々なロシア革命前後の芸術家の人生を見ていると、危ないと知りながらソ連に残った芸術家たちは、かなりの確率で自殺か死刑かシベリア送りになっており、きわどく逃げ切ったり、事情があって帰らなかった人がなんとか助かっている。レーニンはスターリンほどに酷い独裁者でなかったような印象を持つ方もいらっしゃるだろうが、彼がロシアに戻ってまずやったことは、「国内の知識階級の一番上から１００人を無条件で国外追放」だったということである。</p>
<p>　その後、革命という名の粛清や略奪によって、貴族階級どころか、商人や富農などに至るまで、まともな生活をしている中産階級はほとんど国外に逃亡したのである。だから、残念ながらソ連時代に残っていたロシア人というのが、ほとんどその他大勢の人々だったともいえる。そして、現在ロシアが一応民主化されても、革命時代に亡命したロシア人が故郷に帰ったという話をなぜか聞くことがほとんどない。多分、彼らは今のロシアの成金趣味が我慢ならないだろうし、明らかに今でもロシアが「危険な国」に変わりないと感じているからではないか。やはり、「成金趣味」に走るということは、つまり自分の精神的あるいは階級的な「卑しさ」を隠したいという潜在的意識が働いているということであって、現代の新ロシア人の罹る重度の精神疾患のひとつといえるだろう。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 12 Jun 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>プーチン政権総括</title>
            <description><![CDATA[<p>ロシアという国家は「張子の虎」のようなものではないかと思うことがある。つい最近も日本の領空侵犯をしたロシアの戦闘機が話題になっているが、こういった派手な対外的なアピール（？）は大得意のプーチン政権も問題が国内となると、とてもそんな華々しい成果は見られないらしい。</p>
<p>ネットの言論は比較的まだ自由（？）なロシアのネット報道によると、いろいろな点で国内問題を放置したまま、自らの大統領任期を終えようとしつつあることが分かる。</p>
<p>代表的な国内問題をいくつか取り上げてみよう。</p>
<p>１．国内の法改正により、以前よりも地方行政でどのくらいの収賄が行われているか、非常に不透明となった。１９９０年代（エリッツイン大統領の時期）も決して賄賂が少なくなかったのだが、まだ透明性は保たれていた。たとえば、１９９７年の一例を見れば、国会議員が９万ドルを受け取っただけで免職されていたくらいであった。それが今日では逆行し、特にプーチン大統領の取り巻きの間で受け渡しがあったと思われる大量の株式譲渡や、不自然な「ロシア銀行」の利益になるような「ガスプロム」株式譲渡や、アブラモービッチの所有する「シブネフチ」の買収を巡る不自然な大金の受け渡しはうやむやのままである。</p>
<p>２．ロシアが国家的に潤っている原油価格の高騰による歳入を、今こそ「ロシア軍の再編」に使うべきときなのであるが、実際にはまったくそれと逆行している事実。驚くべきことに、ロシア軍の軍備のための歳出は１９９０年代よりも減っているのだ。しかも、海外向けの輸出用の兵器は安価で技術的に進歩のないものが中心となる。そのため、そういった輸出用兵器ばかりを生産する工場が優遇され、本当に新しい技術の開発があまり進んでいない。さらに、徴兵制の制度自体も崩壊寸前まで進んでおり、若い世代の徴兵拒否をなんとか食い止める、あるいは本格的に職業軍人を増やすにしても現行の軍人給与というのは、ロシア国内の平均的給与の２分の１以下という低水準なのでこれもまた難しいというのだ。また、核兵器についても２０００年から２００７年の間はソ連時代の核弾頭を維持するほどの水準だったのが、プーチン政権になってからというもの、削減の一方である。</p>
<p>３．ロシア国家が豊かになっているはずの現状であるのに対して、国民の間の貧富の差は拡大方向に進んでいる。さらに、ロシア国内では出生率が少しばかり高くなったと言われているものの、実際に死亡した人口と比較すると、いずれにせよ２００６年度においては、出生人数１５０万人、死亡人数２１６万６千人と相変わらずの現象ぶりである。なんと１９９０年代に比べてみると、ロシア国内の人口減少率は２倍近くになっているのだ。恐るべきことだが、１９９２－２０００年での減少人口が２００万人だったのに対して、２０００－２００６年では、なんと３５０万人も減っている。</p>
<p>４．ロシア国民の健康問題についてみてみると、死亡原因の主な理由は極度の喫煙や飲酒など不健康な生活が影響していると思われるものが多い。プーチン政権になってから、ロシア国民の喫煙率は一層高くなった。たとえば、２０００年には国民一人当たりの年間アルコール飲酒量は約８リットルだったものが、この年の終わりには１０リットルに。（これは１９９０年統計より多い）さらに、実際にロシア国民一人当たりの飲酒量は１５リットルに上るという統計機関もあるくらいだ。世界の保険機構によると、既に年間一人当たり８リットルの飲酒でも危機的状況で、これによって<a href="http://www.teamrenzan.com/archives/writer/nishida/post_74.html">死亡率が高く</a>なっていることは疑いようがない。また、タバコの売り上げも飛躍的に伸びている。２０００年には３５５億本だったものが、２００６年には４００億本）男性の死因一位は肺癌であり、続いても呼吸器系の病気であることからもタバコがいかにロシア人男性を蝕んでいるかということが分かる。</p>
<p>５．ロシア国民を取り巻くこのような劣悪な状況にも関わらず、プーチン政権の間に一向に医療の改革が行われたということを聞かない。しかし、歳出面では医療充実を口実に非常に大きな財政が支出されているということが信じられないほど、現状の医療機関は代わり映えしない。前述の大富豪アブラモービッチの「シブネフチ」に支払われた額よりも少ない「健康」のための６億ドルも一体どこへ消えたのか？という有様である。</p>
<p>６．ロシアの年金制度もほとんど赤字体質を脱しきれず、選挙目的で時々微々たる金額が統計上加算されることはあっても、実際には一月に４０００ルーブル以下しか一人の年金生活者に当たらない。プーチン政権になってからというもの、それまで年金生活者が享受してきた「無料の市内交通」だとか「無料の市内通話」、「一定額のガス・水道料金」なども事実上廃止方向に向かい、おまけにロシア人の平均収入に対して３３％払われていた２０００年の年金額から、２００７年には２４％と減少傾向。さらに、２０２７年には１５－１８％まで段階的に下げていく予定なのだ。これでは安心して長生きするのも難しいのではないだろうか。</p>
<p>以上のようなロシア国内状況を見ていると、<strong>ロシア人が本当に哀れになってくる</strong>。
もちろん、日本で脚光が当たるのは「富裕なロシア人」やら、「成金スポーツ選手」、
「俳優かぶれした派手なアクションだけが得意な大統領」ばかりなのだから、日本人は本当のロシアを知らないというほかない。モスクワなどでこそ、日本からの駐在員も増えつつあるというが、実際には、「首都（モスクワ）はロシアの外国」というくらい、地方との差は大きい。広い国土に資源もあるが、国民は決していいことばかりではない。むしろ、<u>ロシア国民の苦悩が「資源バブル」に浮かれる富裕層の下で隠れて見えないだけだ。</p>
<p>プーチン政権が国内で支持率が高いから、国内政策もきっといいのだろうなんて思うのは、かなり早まった解釈に違いない。派手な売り込みが上手いだけで、本当にロシアの救世主になれるわけではない。実質的に本当に国を愛しているのなら、もっと地道な政策ができていいのではないだろうか？</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 05 Jun 2008 09:27:28 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>欧米中銀・国際金融機関によって仕組まれたスタグフレーション</title>
            <description><![CDATA[<p>　米国のリセッション入りや各国金融機関が被る膨大な評価損がニュースをにぎわせる中、物価高の勢いが止まりません。消費・需要が減退し景気後退すると同時に悪性の物価高が進むという様相は<b>『スタグフレーション』</b>を連想させずにはいられません。</p>
<p>　しかし、今まで何度もの金融危機や金融恐慌を乗り越えて来た欧米の金融機関が、ここまでお粗末な手しか打てないとは考えにくい部分もあります。</p>
<p>　今回は、物価高がどのようにして起きているのか構造的に見て行きたいと思います。</p>
<h2>利下げ・金融緩和局面における物価高</h2>
<p>【物価高騰の構図】</p>
<img src="./scheme_20080530_01.gif" border=0>
<p>　小麦や原油価格が数年来凄まじい上昇を見せているのは周知の事を思います。最近では日本でも穀物高のため、酪農が打撃を受けてバターが品薄になったり、ガソリン価格が１７０円台にさしかかるなど、身近なところで物価高を感じるようになりました。</p>
<p>　ＯＥＣＤでは、今後中長期的に食糧価格が上昇し続けると警鐘を促しています。特に原油高に起因する代替燃料需要（＝バイオエタノール）によって、食糧価格が上昇している点を指摘しています。最近では、バイオ燃料政策を批判されたブッシュ政権が食糧援助を発表するなどフォローに回っています。</p>
<blockquote class="blockquote"><b>【ブルームバーグ】 ＯＥＣＤ：小麦などの穀物価格見通しを引き上げ−原油高とドル安で</b><br/>
<br/>
　５月２９日（ブルームバーグ）：経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は２９日、小麦やトウモロコシの価格が向こう１０年で昨年時点の予想より最大２６％上昇する可能性があるとの見通しを示した。原油価格の上昇とドル安を理由に挙げている。<br />
　ＯＥＣＤは国連食糧農業機関（ＦＡＯ）と共同で製作したリポートで、２０１６−１７年に小麦価格は１トン当たり２３１．６０ドル、トウモロコシなどの粗粒穀物は同１６６．６０ドルとなる公算が大きいと予想した。１年前にはそれぞれ同１８３．２０ドル、同１３８．２０ドルと見込んでいた。<br />
　ＦＡＯのシニアエコノミストでリポートの執筆者の１人であるメリット・クラフ氏は、「昨年の見通し時点の原油価格は６０−７０ドルで、今年は約１００ドルだった。現時点で予想し直せば、さらに高くなるだろう」と述べた。これにより、「トウモロコシ価格の見通しに最も大きな差が出ている」という。<br />
（・・・中略・・・）<br />
　世界的な在庫縮小と需要拡大で、小麦やトウモロコシ、コメ、大豆の価格は今年、過去最高値を付けた。食料品やエネルギー価格が６年連続で上昇したことを受け、世界銀行はメキシコからイエメンまで３３カ国が社会不安に直面する可能性があると指摘。エジプトやハイチ、カメルーンでは、既に食料品・エネルギー価格高騰が暴動を引き起こしている。<br />
　原油価格が過去最高となったことで、トウモロコシやサトウキビから作られるエタノールなど代替燃料への需要が増加している。ＦＡＯは２２日、今年のエタノール生産への穀物使用量は約９８００万トンと４０％増加すると予想し、このうちトウモロコシが９４％を占めるとの見方を示した。
（・・・中略・・・）<br />
　バイオ燃料需要　　<br />
　ＯＥＣＤの貿易・市場部門の責任者、ローク・ブーンカンプ氏は、向こう１０年間の食料品価格全般の伸びのうち約３分の１をバイオ燃料原料への需要が占めることになるとみている。<br />
（・・・中略・・・）<br />
　ＯＥＣＤとＦＡＯは、価格高に対応して生産が拡大する場合でさえも、食料品価格は過去１０年の平均値に下がらないと予想。牛肉・豚肉価格は今後１０年間に過去１０年間から平均で約２０％上昇する可能性がある。小麦やトウモロコシ、粉ミルクは４０−６０％上昇、食用油は８０％以上値上がりするとみられる。
</blockquote>
<blockquote><b>【産経新聞】 食糧危機　米、８００億円援助　大統領、バイオ批判に反論（５月２日）</b><br/>
【ワシントン＝渡辺浩生】ブッシュ米大統領は１日、世界的な食糧価格高騰に苦しむ途上国の食糧援助や開発支援を目的に７億７０００万ドル（約８００億円）の資金援助を実施すると発表、議会に承認を求めた。大統領は、食糧危機への国際的取り組みを米国が主導する姿勢をアピールするとともに、サミット（主要国首脳会議）メンバーとの協調も訴えた。<br />
（・・・中略・・・）<br />
　ブッシュ大統領は、コメなどの自国流通を優先させるため輸出規制を導入する一部の食糧生産国に対して規制の解除を、遺伝子組み換え作物の輸入を規制する国には輸入障壁の撤廃を求めた。<br/>
　ホワイトハウスによると、過去１年で世界の食糧価格は４３％上昇。小麦は１４６％、トウモロコシは４１％、コメは２９％それぞれ上昇。アフリカやアジアの途上国で「約１億人」（世界銀行）が空腹や飢餓の危機にさらされ、各地で暴動や政情不安に発展している。<br/>
　一方、食糧危機の原因として米国のトウモロコシを原料としたバイオ燃料増産に批判が集中しているが、ホワイトハウスは「いくつかの原因のひとつにすぎない」（フラトー大統領副報道官）と指摘、途上国の需要急増やエネルギー価格高騰、気候変動の影響が大きいと反論している。 
</blockquote>
<p>　一連の物価高騰の原因として、ヘッジファンドなどの投機活動が指摘されています。海外からはもちろん、最近では米国内からも批判の声が高まっている模様です。</p>
<p>　またヘッジファンド関係者自身が、物価高騰の主因は投機活動にあると認める発言を米国議会でしています。こうした状況を受けて、米国議会では商品先物取引に対する規制が検討されています。</p>
<p>　しかし、抜け穴がシッカリ残されており、実効性が担保されるのか注視しなければならないようです。</p>
<blockquote><b>【ロイター通信】米利下げや流動性拡大措置、新興国にインフレ問題をもたらしている＝中国人民銀行（５月３０日）</b><br />
［北京　３０日　ロイター］　中国人民銀行（中央銀行）の周小川・総裁は３０日、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）による大幅な利下げや世界的な流動性拡大が、新興国にインフレ問題をもたらしていると述べた。<br />
　周総裁は記者会見で、商品価格の急速な上昇によって増幅されたインフレの脅威に立ち向かうため、世界の中銀は連携を強化する必要があるとの考えを示した。
</blockquote>
<blockquote><b>【ＨＦＫ】 コモディティ価格高騰の要因は機関投資家--米ヘッジファンドマネージャー（５月２７日）</b><br />
<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo002128.html" target="_blank">【元記事を参照】</a><br />
　米ヘッジファンドマネージャーのマイケル・マスター氏は20日、米上院国土安全保障政府問題委員会において、最近のコモディティ価格高騰に関する証言を行った。<br />
　株式ロング・ショート・ヘッジファンドを運用する米マスターズ・キャピタル・マネジメントのマイケル・マスターズ氏は、米上院国土安全保障政府問題委員会において、最近の食料品、エネルギー関連商品の価格上昇の一因は機関投資家にあると述べた。<br />
　コモディティ価格は過去5年で歴史的な上昇を見せている。しかし、同氏は価格上昇の要因を需給のひっ迫によるものではないと指摘。新興国の台頭などによって需要は増加しているが、充分な供給がなされていると述べ、価格の上昇率と需要の上昇率に大きな乖離があると指摘した。<br />
　マスター氏は、現在のコモディティ価格の上昇要因は、商品先物市場に多額の投資をしている機関投資家（年金基金、政府系ファンド、大学基金）であると述べた。機関投資家は、リターンの追及のため株式や債券と無相関のコモディティ市場への投資を拡大。主に、25種類の主要コモディティで構成されたインデックス（「Standard & Poors Goldman Sachs Commodity Index」「 Dow Jones AIG Commodity Index」）を利用したバイ・アンド・ホールド戦略を用いている。<br />
　同氏は、機関投資家の一連の投資行動は、リターン追求を目指す合理的なものだが、投資先が商品先物市場に集中したことで、現在のコモディティ価格高騰を引き起こしてしまったと証言した。<br />
</blockquote>
<blockquote><b>【ＨＦＫ】 ヘッジファンドなど投機筋のコモディティ市場における取引制限を検討--米議員（５月２９日）</b><br />
<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo002148.html" target="_blank">http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo002148.html</a><br />
　米国の国会議員は原油価格高騰の対応策として、ヘッジファンドなどの投機筋に対し、コモディティ取引の規制を強化する構えだ。 <br />
　米国の国会議員は、オイルバブルとも懸念される現在の原油価格高騰に対処するため、超党派でコモディティ市場から投機マネーを排除する動きに出る。ヘッジファンドや投資銀行など、純粋な投機筋によるコモディティ投資への規制を強化することによって数十億ドルの投機マネーを排除し、物価の高騰に歯止めをかける狙い。<br />
（・・・中略・・・）<br />
　今回の規制強化が実現した場合、現状で<b>2つの抜け穴</b>が考えられている。NYMEXのような主要取引所では、米商品先物取引委員会（CFTC）による投機的ポジションの上限規制が行き届いているが、世界中に電子取引プラットフォームを提供している<b>英インターコンチネンタル取引所（ICE）は、同規制の適用除外</b>となる。もう一点は、ヘッジファンドなどが行っている<b>コモディティ・スワップ取引</b>である。スワップ取引を利用することで、ポジション上限の規制を大幅に超えるポジションを実質的に保有することができるためだ。<br />
　今後、5月と6月に約10回ほど公聴会が開かれるほか、市場の規制強化案が多数提案される見通し。さらに一部の議員は、CFTC、連邦取引委員会（FTC）などの関係当局に対し、市場における投機マネーの規模と、規制の強化に関する調査の実施を求める姿勢だ。<br />
</blockquote>
<h2>萎縮が止まらない実体経済</h2>
<p>　最近では、米国の個人消費が減少しつつある事が報道されるまでになりました。これまでホームエクイティローンが大打撃を受ける為、今後の個人消費に暗い影を落とすだろうと言う指摘はありましたが、具体的に個人消費が落ち込み始めた（＝リセッション）と踏み込まざるを得ないほど状況は悪化しているのかもしれません。</p>
<blockquote><b>【ブルームバーグ】 ４月米個人消費0.2％増に鈍化か、５月消費者マインドは低下へ−調査（５月３０日）</b><br />
　５月３０日（ブルームバーグ）：ブルームバーグ・ニュースが金融・調査機関７３社を対象に実施した調査によると、３０日発表される４月の米個人消費支出（ＰＣＥ）は前月比０．２％増（中央値）と、３月の０．４％増から鈍化したもよう。所得の伸び減速や消費者信頼感の低下を反映しそうだ。同日公表の５月のロイター・ミシガン大学消費者マインド指数（確定値）は速報値と同水準の５９．５（５７社の中央値）で、１９８０年６月以来、ほぼ２８年ぶりの低水準に落ち込んだとみられている。４月は６２．６だった。食品・燃料価格上昇や賃金の伸び鈍化、住宅価値低下が米消費者に打撃を与え、支出が今後低迷する可能性が高くなってきている。戻し減税は、向こう数カ月の経済成長を一時的に支えるにとどまりそうだ。<br />
　マリア・フィオリニ・ラミレスの米国担当エコノミスト、ジョシュア・シャピロ氏は「消費は非常に悲惨な状況に陥りそうだ」と指摘。「所得の伸びは鈍化しており、エネルギー価格が上昇し、インフレが購買力を弱めている」と述べた。
</blockquote>
<p>　これまで、世界経済を支えていたのは米国の個人消費でした。そして、米国の個人消費を支えていたのがホームエクイティローンでした。家の価格を担保として、お金を借りて旺盛な消費をしていたわけです。</p>
<p>　ところが既にご存知のように、住宅不動産価格の下落はホームエクイティローンの与信枠を直撃します。今までのようにお金を借りる事が出来なくなるのです。米国の個人消費が一気に冷え込むのは火を見るよりも明らかでしょう。</p>
<blockquote><b>【NBonline・BusinessWeek】 米国を襲うもう1つの危機（２月５日）</b><br />
<a href="http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080201/146167/" target="_blank">http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080201/146167/</a><br/>
　サブプライム危機に苦しむ米銀に、もう1つの危機が迫っている。住宅価値を担保にしたホームエクイティローンが不良債権化しているのだ。米国経済を牽引してきた個人消費も、いよいよ危うくなってきた。<br/>
　サブプライムローン（信用力の低い個人向け住宅融資）が大手米銀の巨額損失の主犯とされるが、実は混乱の陰に隠れた問題がもう1つある。ホームエクイティローンだ。<br/>
　不動産価格の高騰で、米国人は自宅のエクイティ（純資産額）を担保に借り入れを増やし、新車購入や家の改築資金にまで回した。ホームエクイティは個人消費の大きな原動力だったのだ。<br/>
　だが、住宅市場の混乱と不動産価格の下落により、ホームエクイティローン関連事業に綻びが見えてきた。<br/>
<br/>
延滞急増で銀行に新たな打撃<br/>
　2007年1〜9月に147億ドル以上の関連ローンで返済が延滞、過去10年で最悪の水準となった。「サブプライムに続く業界最大の問題がホームエクイティローンだ」と証券会社キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズのアナリスト、フレデリック・キャノン氏は言う。<br/>
　さらに問題なのは、8500億ドル規模の同市場の悪化がもたらす痛みに防衛策が見当たらないことだ。住宅ローンの貸し手には、融資対象物件に対する第1位の抵当権が設定されるため、抵当流れの場合は不動産を売れば一部資金を回収できる。だが、ホームエクイティローンには現物の担保がない。<br/>
（・・・中略・・・）<br/>
　最近まで、ホームエクイティローンの大半は与信枠の形で提供されていた。借り手は住宅のエクイティを現金化してクレジットカードの返済などに充てることができた。だが、好況が続き、不動産価格が青天井で高騰していくと、銀行は住宅購入者が頭金に利用できる第2抵当（ピギーバックローン）を提供するようになる。<br/>
　これで住宅購入者は本来支払えるはずのない大きな住宅を購入できることになった。審査基準などないも同然で、住宅購入者は不動産価値を上回る融資を受けた。業界紙インサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、2006年にはこの種の融資がホームエクイティ市場の14.4％を占めるまでに至った。<br/>
　住宅バブルは特に危ういホームエクイティローンを生み出した。住宅所有者はギャンブル感覚で制度を利用し、不動産のエクイティを余すところなく現金化した。借り手がローンを組んだ後で競合他社からも融資を受けていないかどうか、銀行が追跡調査を怠ったことも問題に拍車をかけた。<br/>
　もう1つの悪慣行が、ARM（変動金利型住宅ローン）に加えてホームエクイティローンを組むという手法だ。ARMでは毎月の返済額を利子より少額に設定できる。借入元金が増え続ける一方で不動産のエクイティが劣化し、ただでさえリスクの高い住宅ローンの上に高リスクのホームエクイティローンが乗っかる事態になるわけだ。<br/>
　住宅市場の上昇局面では、こうした手法はさほど無謀に見えなかった。住宅所有者は、雪だるま式に増える不動産のエクイティを利用して速やかに借り換えを行い、第2、第3のローンを返済できたからだ。貸し手側もローンは完済されるものと思い込んだ。<br/>
　ところが、不動産価格の急落で、こうしたローンが価値を失い始めた。<br/>
　ある人が30万ドルで住宅を購入する際、24万ドルの住宅ローンに加え、頭金用に6万ドルのピギーバックローンを組んだとする。その後、住宅価格が2割下落して24万ドルになると、その不動産のエクイティは消滅する----。<br/>
</blockquote>
<p>　今年の２月に指摘されていたホームエクイティローンの危機ですが、いよいよ本格化し始めた模様です。大手の住宅ローン企業や金融機関がホームエクイティローンを凍結すると発表したのです。ローンの凍結により、米国の消費者は資金源を断たれたも同然の状況に追い込まれる事でしょう。</p>
<blockquote><b>【ブルームバーグ】 米カントリーワイド：ラスベガスでホームエクイティローンを凍結 （５月６日）</b><br />
<a href="http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=awr8smMFin8U&refer=commentary" target="_blank">【元記事を参照】</a><br />
　５月６日（ブルームバーグ）：米住宅金融大手カントリーワイド・ファイナンシャルは、ラスベガス地域のほとんどの顧客に対してホームエクイティ（住宅の持ち分担保）ローンの提供を停止した。<br />
　同地域で携帯電話アクセサリー業を営むクリストファー・ウィップル氏（35）は事業拡大に６万ドル（約627万円）の資金が必要だが、カントリーワイドから融資を得ることはできなかった。ウィップル氏の信用度を計るクレジットスコアは最高スコア850のうち790と、信用力の高い借り手のなかで上位 40％に入る。同氏は「融資見送りで人生が台無しにならないことを望む」と述べ、「想像以上に打撃を被るだろう」と語った。 <br />
　消費者の苦情を受け付けるウェブサイトを運営するマイケル・クラツアー氏によると、今年１月以降、カントリーワイドのほかバンク・オブ・アメリカ（ＢＯＡ）やワシントン・ミューチュアル、インディマック・バンコープが計約60万件のホームエクイティローンを凍結した。 <br />
　同氏はラスベガスやシカゴ、ロサンゼルスなど、不動産価格が落ち込んでいる都市の借り手を対象に金融機関がホームエクイティローンの提供を停止していると指摘した。 <br />
</blockquote>
<h2>まとめ　〜その１〜</h2>
<p>　このように、投機活動に由来する物価上昇は止まらず、ホームエクイティローンの凍結などが原因となる需要・消費の喪失に歯止めも掛からない──不景気と物価高のダブルパンチを<b>スタグフレーション</b>と呼ばずして何と呼ぶべきでしょうか。<br/>
　しかも、このスタグフレーションですが、中央銀行・金融機関・ヘッジファンド・プライベートエクイティのドリームチーム（デビルチーム？）によって演出されている感があります。</p>
<p>　おさらいになりますが、以下の様な構図が見て取れるのです。</p>
１．金融緩和を実施し、大量の資金を金融機関に供給する<br/>
２．金融機関は資金を実体経済側に回さず、ヘッジファンドやプライベートエクイティに提供<br/>
３．軍資金満載になったヘッジファンドやプライベートエクイティは、商品先物市場に大量に投機資金を流し込む<br/>
４．当然のごとくあらゆる物価が高騰する<br/>
５．ローン企業や金融機関は、ホームエクイティローンを凍結するなどして実体経済側への資金の流れを断ち切る<br/>
<p>　まさに兵糧攻めです。</p>
<p>　さすがに批判の声も出てきたので、米国政府は商品先物市場に規制を掛けたり、食糧援助を表明したりすると言った姿勢を見せています。しかし、現時点で規制に抜け穴があると指摘されているなど、実効性の見極めは必須（あるいは疑わしい）と思われます。</p>
<p>　さらには、こうした物価上昇を受けてＦＲＢは利上げにスタンスを変え始めています。物価上昇局面で利上げをするのは教科書的には正しいのですが、今の局面においてはどうでしょうか？</p>
<p>　今回の物価上昇は、非常に恣意的なもの（下手人はヘッジファンドやプライベートエクイティ）である線が濃厚です。しかも資金源はＦＲＢやＥＣＢなど中央銀行です。事前に防ぐ事は十分出来たはずです。しかし、十分に強大な権限を持ちながらそれをしなかった──これは一蓮托生、もっと悪く言えば<b>グルであった</b>と指摘されてもおかしくはないでしょう。</p>
<p>　免罪符をかざすかのように利上げシフトを表明したＦＲＢですが（ＥＣＢは元々インフレに対してタカ派）、どういった影響が出るのでしょうか？</p>
<h2>利上げ局面で驀進するスタグフレーション</h2>
【利上げ局面における物価高騰の構図】<br/>
<img src="./scheme_20080530_02.gif" border=0><br/>
<p>　上記の図がほぼ結論になってしまうのですが、今度は<b>『海外から流れ込んだ資金が物価上昇の原動力になる』</b>と言う構図になると考えられます。</p>
<p>　各種住宅不動産債券市場が崩壊しつつある今、行き場を失ったお金がそう簡単に商品市場から逃げ出すとは思えません。投資対象そのものが減って、絞り込まれつつあるのです。利上げによって調整すると言っても、せいぜい<b>申しわけ程度</b>にしかならないのではないでしょうか。最大の原因である投機活動の規制が難しいと考えられる以上、利上げしようがしまいが物価上昇を食い止めるのは無理ではないかと思われます。</p>
<p>　最近では利上げ機運を高めるような報道が目に付くようになりました。利上げの原因となる物価上昇を仕掛けておいて、何様のつもりだと言うのでしょうか。</p>
<blockquote><b>【ロイター】 ＦＲＢ、インフレ悪化すれば早めに利上げに踏み切る可能性＝米ダラス地区連銀総裁（５月２９日）</b><br/>
<a href="http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJS816813420080529?feedType=RSS&feedName=marketsNews&rpc=155" taregt="_blank">【元記事を参照】</a><br/>
［サンフランシスコ　２８日　ロイター］　米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁は２８日、米経済の低迷が続いてもインフレが悪化すれば、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）は早めに利上げに踏み切る可能性があるとの見通しを示した。<br/>
　当地での講演の準備原稿が事前に入手可能となった。<br/>
　同総裁は「インフレ動向や特にインフレ期待が引き続き、悪化した場合、景気低迷が続いても早めに金融政策の方向転換が行われると予想する」と述べた。<br/>
　フィッシャー総裁はＦＲＢ当局者の中ではタカ派の１人で、連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）で３回連続して利下げに反対してきた。<br/>
　総裁は「市場がインフレに圧迫されれば、成長は持続できない」と指摘。「持続可能な経済成長には物価の安定が不可欠だ」と強調した。<br/>
</blockquote>
<blockquote><b>【ロイター】 ＦＲＢミシュキン理事が辞任へ、金融政策に影響も（５月２８日）</b><br/>
［ワシントン　２８日　ロイター］　米連邦準備理事会（ＦＲＢ）のミシュキン理事が８月３１日付で辞任することになった。これにより、ＦＲＢ理事は７人のうち３人が空席という異例の事態になる。金融政策にも影響が出るとみられている。<br/>
　ミシュキン理事は２００６年に就任しており、２０１４年１月までの任期を大幅に残しての退任となる。退任後はコロンビア大学の教授に戻る予定。<br/>
　バーナンキ議長は声明を発表し、「リック（ミシュキン理事）はＦＲＢにおいて金融政策の知的支えとなってきた。それはかけがえのないものだ」と述べた。<br/>
　ＦＲＢ理事は議長、副議長を含めて７人いるが、現在２人が空席となっている。ブッシュ大統領は２人の理事候補を指名したが、大統領選挙戦のさなかにあって上院の承認は得られていない。大方の予想通り、ミシュキン理事が退任するまで上院の承認が得られなければ、１９３０年代に閣僚や政府機関の長が職権上の理事を務めて以来、初めて４人の理事しかいない事態が生じる。<br/>
　米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）では、議長、副議長を含む理事のほか、地区連銀総裁が輪番で投票権を有するが、地区連銀総裁は就任のために議会の承認を得る必要がなく、理事のような議会に対する説明責任もないため、インフレ抑制を重視して<b>利上げに傾きやすい</b>と指摘するアナリストもいる。<br/>
　リーマン・ブラザーズのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「おそらく、理事会は現在までに比べ若干<b>タカ派的になるだろう</b>」と語っている。
</blockquote>
<p>　リセッションが進む中で利上げをする場合、当然ながらローン返済金利・各種借り入れ金利が上昇するため、企業や個人は更に資金調達が難しくなると考えられます。貯蓄率の低い米国の個人にとっては、このタイミングでの利上げは悪夢ではないでしょうか。</p>
<p>　一方で、海外の資金は高い利率を求めて米国やＥＵに流れ込むものと考えられます（特に日本の個人資産！）。当然ながら、資金が流れ込む先は金融機関です。これまでの傾向から察するに、金融機関は資金を実体経済側に流そうとはしないでしょう。運用効率を重視すると言う名目で、ヘッジファンドやプライベートエクイティに資金を供給し続ける事でしょう。</p>
<p>　ＦＲＢやＥＣＢにしてみれば、自分達のバランスシートを消耗する事無く別働隊（ヘッジファンドやプライベートエクイティ）に軍資金を提供できるわけですから、大助かりでしょう（すでにバランスシートの半分を使い切っている以上、これ以上の金融緩和は危険であったとも言えます）</p>
<h2>まとめ　〜その２〜</h2>
<p>　どうやら、利下げ局面であろうが利上げ局面だろうが、物価が上昇し、実体経済が萎縮し続ける事に変わりはなさそうです。物価上昇のエンジンとなっているヘッジファンドやプライベートエクイティには資金が流れ込み続け、ちゃんと規制の抜け穴も用意されているわけです。</p>
１．ＦＲＢやＥＣＢは利上げを実施<br/>
２．高い利率を求めて海外の資金が流れ込む<br/>
３．金融機関はヘッジファンドやプライベートエクイティに資金を供給<br/>
４．ヘッジファンドやプライベートエクイティは投機活動を続行＝物価上昇<br/>
５．金融機関やローン企業は、消費者や企業に対して貸し渋り＆貸しはがしで資金を巻き上げる<br/>
<p><b>どうあってもスタグフレーションを実現すると言う強固な意志すら感じられます。</b></p>
<p>　金融機関など資本勢力側は、多少のダメージを覚悟の上で経済自爆テロとも言うべきスタグフレーションを仕掛けているのかもしれません。実体経済側が焼け野原になった後（国家の破綻、自治体の破綻、個人消費の消滅）、進駐軍よろしく世界を統治するつもりでもあるのでしょうか。</p>
<p>　従来のドル機軸通貨経済体制の枠組みの中にいる限り、この流れに抗うのは極めて困難かもしれません。</p>
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            <link>http://renzan.org/mt/columnist/hashimae/stagflation.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">橋前勇悟</category>
            
            
            <pubDate>Sat, 31 May 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ウクライナの現地情勢とロシア語アレルギー</title>
            <description><![CDATA[<p>それにしても、ロシアとウクライナの仲が悪さというのは想像以上のものがあるらしい。しかし、実際に現地に行ってみると国境を接している国だけに、お互いの領土内にかなりの割合で両者が混ざり合う地域もあるし、モスクワなどではウクライナ人の出稼ぎ労働者や売春婦が非常に多いのは有名な話だ。</p>
<p>そんなわけだが、ウクライナの首都キエフに行ってみると、意外にもまったくロシア語で不自由しないし、別に住民が特に嫌がっている様子もなく、ウクライナ語とロシア語が平行して使われている印象を持った。しかし、ウクライナも結構広大な国土を持つ国だけに、これも東側の話らしく、西側（ポーランドに国境を接する側）は、ソ連時代からロシア語を嫌がってロシア人観光客に対しても冷たい反応をしてきたようで、ウクライナ語優位の土地柄らしい。</p>
<p>そんなわけで、選挙のときも「オレンジ革命」のときも、こういう地域性が出てきて お互いに国内が協調しきらない状態のまま、あっちへ転んだり（ユシェンコ大統領）またエネルギーでロシアに首を絞められると、こっちへ転んだり（ヤンコービッチ）、ここ数年特に一貫性のない政治になっている。</p>
<p>そんなウクライナでは近年、相変わらず設備の悪い炭鉱での事故が急増しており、去年だけでも何度も大規模な崩落事故や爆発事故で、多くの人々が犠牲になってきた。</p>
<p>そしてこの寒い冬だというのに、ドネプロペトロフスクという都市では、完全に熱湯の配水がストップされているというのだ。これは、日本のシステムからは理解できないことだが、ソ連時代から水道というと、あちらでは冷水と熱湯のふたつの蛇口があり、夏場の水道管交換の時期を除いて、年中熱い湯が出るようになっている。これが出ないというのは、しかも冬の寒い時期だけに死活問題にちがいない。</p>
<p>その原因となっているのが、慢性的なドネプロペトロフスクの財政悪化による「ウクライナ・ネフトガス社」へのガス代支払いの滞納だという。なんと、その滞納金額が凄い数字になっていて、１億１１千６百万グリヴナ（ウクライナ現地通貨）で事実上これだけの支払いをするのは、財政的に不可能だという。</p>
<p>同様のことが、ロシア国内でも近年起きているので資源大国ロシアでも他人事とはいえまい。しかも、ロシア国民とてガソリンを買うのに行列を作っていたのも、ついこの間のことだから、国民に対して安定したエネルギー供給をしていない点では、どちらの国も似たようなものだが、ウクライナの方がさらに状況は悲惨だといえよう。</p>
<p>さらに、去年あたりからウクライナ国内では「ロシア語アレルギー」ともいえる反応が益々大きくなってきているようで、国内公開の映画には「必ずウクライナ語字幕」をつけないといけないという法律ができたらしい。事実上、ロシア語を使う住民に対しては脅威ともなるこの法律、それでも現政権としては、なんとかウクライナをロシア文化から切り離したいのだろう。それに対して、ウクライナ東部の国民の反応は複雑だ。早速首都では、この法律に反対する人々が集まって集会を開いたらしいが、やはり彼らは「ヤンコービッチ派」として旗を揚げて訴えているようだ。</p>
<p>というのも、ウクライナ語を日常から話しているのは西側のウクライナ人にとってはよいが、東側のウクライナ人としては、いきなり慣れ親しんだロシア語を前面禁止されると、困る人が大勢いるわけだ。つまり、ロシア語とウクライナ語は似ているとはいえ、ロシア語が完璧にできるから、そのまますぐにウクライナ語もというわけにはいかず、３－４割の理解程度でウクライナ語を喋る東側のウクライナ人は、実はかなりの数なのではないかと思われる。正直なところ、ウクライナ語というのは、ポーランド語よりもロシア語に類似点が少ないような気がするくらい、そう簡単に日常会話の言語的な移行が進むとは思えない。</p>
<p>このような事情から、苦肉の策として最近公開されたフランス映画は、字幕はウクライナ語、吹き替えはロシア語という混乱した状況のまま、ウクライナ国内の映画館上映されることになったという。</p>
<p>たしかに、これはウクライナだけの問題ではなくて、グルジアでもアゼルバイジャンでもアルメニアでもウズベキスタンでも、実はかなりレベルの高い学問的、政治的なこととなるとロシア語に頼らざるを得ないし、インターネットのニュースや実際の新聞・雑誌ですら、自国の情報源だけで十分でないとなると、嫌でも頼らざるを得ない状態なのである。</p>
<p>ロシアとの関係が悪化していないウズベキスタンなどは、今でも教育現場で第二外国語として、ロシア語を当然のように学び、大学でもウズベキスタン語とロシア語から選んで講義を受けられるらしい。しかし、反露的な国では、そうはいくまい。特にEUに入ろうとするバルト三国なども、ロシア語アレルギーがきついらしくて、最近の若者はロシア語が非常に下手になったというくらいだから、今では第二外国語はロシア語ではない可能性が高い。</p>
<p>そうはいっても、ウクライナもロシアに比べると資源に恵まれておらず、結果的にはロシアの呪縛を逃れることは不可能に近いだろう。できるだけ円満にこのような状態から脱して、ロシアとウクライナが友好的な関係に戻ってくれることを蔭ながら祈りたいものである。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 29 May 2008 09:40:38 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>【特報】ロシア新大統領、イスラエルマスコミによりユダヤ人認定される</title>
            <description><![CDATA[<p>日本では、政財界の人間がユダヤ人かどうかなど、さほど重要なことではないので、ピンとこないかもしれないが、最近のロシアメディアの報道を見ていると、イスラエルの報道機関（<a href="http://www.haaretz.com/hasen/spages/957003.html">HAARETZ.com,引用サイト英文</a>)により、新しいロシアの大統領に就任したメドヴェージェフが「ユダヤ人」であることがほぼ認定されたようである。なんでも、母親(ユーリヤ・ヴェニヤミノブナ）と妻（スヴェトラーナ）が１００％ユダヤ人であることと、昨年末モスクワで行われたユダヤ系組織の<a href="http://www.newsru.com/russia/22feb2008/medv_5.html">宗教的儀式にメドヴェージェフ本人が参加している</a>のが公式に確認されている。</p>
<p>まあ、これまでにもロシアではソ連時代からユダヤ人が権力の座についたことも少なくないので、珍しい話ではない。ただ、問題は国際状況であろう。イスラエルとのパイプは太くなっても、アラブ諸国とロシアの関係は複雑にならざるをえないであろう。大方、ソ連時代は、多くのアラブ諸国やアフリカから留学生を積極的に受け入れていた縁もあって、故アラファト議長などもロシアとの関係は友好的であった。しかし、これだけはっきりとロシア大統領自らが「ユダヤ人説」をほぼ受け入れたからには、アラブの親露派も内心穏やかではあるまい。</p>
<p>また、国内的にも「極端な右翼勢力（ネオナチなど）」が非常な勢いで増している中、一部の若い世代に反感を買う可能性も高い。このような若者は数年前までは、明らかに分かるような丸刈り（スキンヘッド）に黒の革ジャンにアーミーブーツというヤクザな格好で大都市を徘徊しては、無実の外国人を殺傷してきた。（現在もなくなったわけではないが、まったく普通の格好の若者が思想的に洗脳されて暴行に及ぶケースが増加しているらしい）ロシア国内では、このような事件は暗黙の了解で放置されており、仮に警察沙汰、裁判沙汰になっても、応援勢力が結集してくると「無罪放免」に近い形で決着することが多く、殺されても泣きつくところもないのが現状である。</p>
<p>これに関しては、残念ながら国籍は関係なくスラブ系以外の容姿の人であれば被害者になりうる。よって、日本人も被害を受けた人が大勢いるのだが、ロシアでは残念ながら警察はまったく当てにならず、日本大使館はもっと役立たずである。また、一部無知な旅行者などはモスクワにも安全な場所があって、そこにいれば大丈夫だと考えているようだが、それも随分怪しい話である。地下鉄や公共の乗り物を避けても、アジア系の顔というだけで知人の俳優などは、スーパーマーケットで買い物中に知らないロシア人女性に殴られたり、自分の家に投石されたり、自家用車を壊されたりしたというくらい、手口も傾向も年々予測のつかないことになっている。</p>
<p>残念なことだが、特に今の若い世代のロシア人は胆略的なので簡単に信用できないし、上の世代でも生活不満がある人は「外国人」に怒りのターゲットを向けてくる可能性も否定できない。こういう現在の社会状況に対して慢性的に不満分子の連中にとっては、「ユダヤ人」というのも当然「神聖なるロシアを汚してきた悪しき民族」という定義になっているらしい。（愚かにも、一部のネオナチの若者はソ連時代に侵攻してきてロシア人を散々痛めつけたヒトラーの「我が闘争」をバイブルのように思っているものもあるという。）</p>
<p>そういうわけで、当分、ユダヤ人によるロシア支配は拡大する一方だろうとのこと。これまでの歴史を見ても、多民族国家においては、たいていの場合、主権を掌握した側が自分の同胞を主要ポストにつけていくのが定石である。プーチンの場合は、シロビキ（KGBの関係者）やサンクトペテルブルク出身者を優遇したわけだが、それがメドヴェージェフでどういう風に変化するか、興味深い。そうはいっても、ロシアをよく知る人ならば驚かないと思うが、既に政治のみならず、特に芸術・学問分野においてトップの座を握っているのはユダヤ人という場合が多い。</p>
<p>明らかに彼らは「弁論に長けて」、「利殖、蓄財の才があり」、「一族を優遇する」という点で優秀だが嫌われる要素満載なのである。一見、全体的に所得が増えて豊かになってきているように見えるロシアだが、実際には天文学的な貧富の差がある。しかも、エネルギー資源に頼りきった財政事情であることには変わりなく、国内に貧富の差や、民族間差別、軍隊内暴力、警察権力の乱用、国家財政より多額の賄賂が減ることのない不正行政など多くの不安定要素を持っている国家であるゆえに、今後の展開によっては混乱が予想されるだろう。</p>
<p>ちなみに直接関係のない話になるが、最近になって日系三世で国会議員であった女性のイリーナ・ハカマダ氏が引退表明したようである。彼女のような聡明でリベラルな議員がいなくなるのは、非常に残念なことだ。在露期間中、テレビ放映される政治討論番組でユダヤ系のいつも熱くなりすぎて持論を怒鳴り散らすジリノフスキーに対して、常に感情的にならずに冷静に正論を述べていたイリーナは、視聴者の好感度の数値が（その場で支持されている場合に数値で出るようになっていた）いつも最高値であった。このような議員が活躍する場のないとは、いかにこの国の政治が民主主義から逸脱してきているか、誰の目にも明らかであろう。</p>]]></description>
            <link>http://renzan.org/mt/columnist/matsuo/medvedev.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Mon, 26 May 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ロシア人とクラシック音楽</title>
            <description><![CDATA[<p>最近、ロシアのオーケストラやオペラ、音楽家が頻繁に来日している。必ずしも、ロシア人が皆クラシック音楽が好きなわけではないが、オーケストラなどを維持していくための土台の部分は、帝政時代、共産主義時代、それほど揺らぐことは無かったように見える。</p>
<p>もちろん、革命や歴史的な変革の中で、まったく影響がなかったといえば嘘になるだろう。しかし、彼らの優先順位の中では芸術は常に「かなり上位」にあったために、守られてきたということは、たしかだろう。</p>
<p>ロシア人の芸術に対する理解というのは、ヨーロッパの諸国と比較してもかなり高いといえるのではないかと思うが、特にクラシック音楽に関しては、それがいえる。</p>
<p>それほどクラシックに関心がない人でも、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」だとか、「白鳥の湖」などの有名なメロディーくらいは知っているものである。実際、ロシア人の作曲家というのは非常に個性的な人が多くて、ハチャトリヤン、プロコフィエフ、ショスタコービッチ、ストラビンスキー、ラフマニノフなどざっと名前が挙がる人の作品だけでも、ほとんど世界的に影響を与えてきたといっても、まったく大袈裟ではあるまい。</p>
<p>たしかに、名前だけですぐに曲名やメロディーが浮かぶのは、かなり通な人だろうけれど、日本ではこういった作曲家の曲の非常に限られた一部分を抜粋して、テレビコマーシャルに使ったり、それこそ、運動会のBGMにしてしまったりすることで、ある意味、あまり作曲家に対する敬意を子供の頃から植え付けない。</p>
<p>しかも、剽窃に近い形で勝手に盛り上がるサビのところだけ使って、切り貼りするものだから、長い交響曲などは実際の現曲が持つスケールなんて、まったく残っていない状態で聞かされ続けていて、そういう点のクラシック音楽への扱い方は、あまりにもお粗末である。</p>
<p>そのようにして、断片が耳に残っているような名曲を実際に「はじめから終わりまで完全な状態」で、生のオーケストラで聴いてみれば、いかに自分が「本物の音楽」に触れていなかったか、本当に衝撃を受けるものである。まさにモスクワ時代の私がそれであった。行きたい芝居がかかっていない日は、ほぼ毎晩のように音楽院のホールに通ったが、その当時は一回の演奏会の一番安いチケットは３００円ほど。考えられない値段であるが、毎回毎回期待を上回る素晴らしい本物の音楽を浴びるように聴き続けた。</p>
<p>実際、そういう場所へ通うと、少し分かってくることがある。本当の音楽通の人というのは、相当「音楽史」ともいえるような流れの中で、それぞれの作曲家を位置づけており、特にロシアでも名門といえるような、モスクワ音楽院の大ホールではロシアのみならず、ハイドンやモーツアルトなどのクラシックの一時代を築き上げた作曲家たちの肖像画が、それぞれ相当に大きな装飾画として掲げられている。しかも一旦ホールの外の赤いカーペットの敷かれた階段の中心の踊り場には、ロシアのクラシック時代の基礎を築いた作曲家が集まった巨大な油絵が飾られている。</p>
<p>つまり、クラシック音楽を愛することは、その音楽を作曲するまでの歴史を知った上で行われることであり、知ることが「歴史を敬う」ことと直結しているといえるのではないだろうか。</p>
<p>そういう点では、日本でも最近は立派なホールがあちこちにできて「箱物」の残響音だとか、室内設備、豪華で凝った照明などでは明らかにロシアなどより数段上なのにも関わらず、クラシック音楽を日本に伝えた先人に対しての「歴史と功績への敬意」を捧げているような場所としての機能も備えたホールは、あまりないように思う。</p>
<p>しかも、ロシアの場合でいうと初期にクラシック音楽を自国文化として根付かせようとした段階から、ある程度、「愛国心」というものと平行して教育が行われてきた経緯もあり、音楽家は非常に自分の国を誇りに思っている。</p>
<p>さらに、世界的にバレエやオペラで有名な劇場などになると、非常な大所帯であることや、中心部の一等地のかなりの広さの敷地を持ち、維持費や運営関係で、政府と切っても切れない上に、海外公演などでそれこそ「稼ぎ頭」だった時代も長いので、実質的な経営権を持つトップの入れ替えに、大統領が口出しするようなこともあるらしい。それほど、音楽が国家的に重要な位置を占めているということだろう。</p>
<p>ただ、一般のロシア人のクラシック音楽愛好家たちは、純粋に音楽を鑑賞することに喜びを見出しているだけでなく、自分たちが「未来の音楽家を育てる」という感覚を持っているので、演奏会に行く場合でも、かなり「参加する」意識でそこに集まっているし、演奏家もそういった意識の高い観衆からの「感化」を貰うことで音楽を完成させるのだという謙虚さがある。</p>
<p>だから、実際にいくら海外で同じ演目のコンサートを開いても、モスクワの厳しくも積極的な参加意識のある聴衆に囲まれて演奏する場合と本質的に違うのである。おそらく、それだけ場数を踏んで、耳の肥えた聴衆に育てられてこそ、本物の音楽家が育つのであろう。</p>
<p>ロシア人を見ていると、審美眼が非常に厳しく、音楽のみならず、なんでもかんでも受け入れたりはせず、自分が気に入らない、これは駄目だという判断を下すと、チケットがいくらしたかなんて気にもせずに、正面突破で帰っていく。</p>
<p>その潔さというのは、驚くほどで、それだけ自分の基準がはっきりしていて、他人の評価に左右されないということなのだろう。そういうところが、ロシア人の実に面白いところでもあり、なかなか、一筋縄でいかないところだと思う。</p>]]></description>
            <link>http://renzan.org/mt/columnist/matsuo/russianclassics.html</link>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 22 May 2008 11:29:28 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>「今の時代に追剥（おいはぎ）が存在するか？」ロシアの場合</title>
            <description><![CDATA[<p>それにしても、追剥（おいはぎ）というと時代が違うように思えるが、ロシアでは未だに信じられないような事件が、モスクワのような首都でも頻発しているのだから、ある意味、恐ろしく物騒な話である。しかし、現地に暮らしていた当時、毎日のように情けなくなるような犯罪情報やニュースを聞く度に、非常に悔しくて残念なのと同時に、「こんなにどうしようもない事が起こるにも関わらず、前向きに生きる」ことの大切さを感じていた。不思議なことだが、あの大国ではそういう芸当がしやすく、日本人よりも、簡単にちょっとしたことでは凹まないし、大事件にも動じない。そういう点は学ぶべきかもしれないのだが、なんせ犯罪件数が多すぎる。（ちなみに、火事も毎日多過ぎて驚いたが）私の伝え聞いた範囲の報道（テレビ、ラジオ、ネット）などから伝え聞いた中でも特に印象的だった"追剥的"事件を振り返ってみると・・・</p>
<p>１．冬場に現れる乞食を装った（あるいは実際に乞食なのか）老婆が親切に話しかけてあげた若い女性を催眠術にかけ、外套を盗むという話。（まさに、ロシアの文豪ゴーゴリの「外套」という小説のまんま）<br>
２．某有名大学の総長のご子息が、超高級車を乗り回していたところ、コーカサス系の追剥に運悪く捕まって、殺害され、車を奪われる。そして犯人が逮捕されてから、馬鹿親が出てきて「死刑にすべきだ！」とマスコミなどで恥ずかしくもなく出てきて、裁判所に訴える。（実は、この総長さん一家が潤っていた資金というのは、ほとんど すべて賄賂なわけですね。要するに、ロシアでは何処の大学でもほぼ裏口入学ができるようになっていて、そういう裏金を積み上げて大金持ちになるのが上にいる人間。立派な大学教授ほど薄給で、必死で食いつながなければいけないほどサラリーが安い。つまり公務員というわけです）<br>
３．日本の工場がシベリアに進出。当地では「黒字を出す数少ない企業」として一時は誉めそやされたものの、最終的には狡猾なロシア人のマフィア関係者によって、工場を乗っ取られる。裁判なんてものの、ロシアでは「有利に賄賂で裁判官を丸め込まない限り、あってないような裁判」で、かつ「正義と反対に動く」ことを常とするため、当然、正しい日本人が追放されて、ロシア人の手に渡る。しかし、脳味噌の足りない現地人のみでは、上手に工場を運営する能力がなく、結果的に「宝の持ち腐れ」になる。<br>
４．ジョージソロスが出資していた利益団体でない奨学金を優秀なロシア人に与えていた組織が、ロシアの政府から税金など色々な言いがかりをつけられて、おまけに、「優秀なロシア人学生を国外に金銭などで勧誘して働かせた」ような嫌疑をかけられて、ほぼ事実上閉鎖に追い込まれる。<br>
５．最近の話から。イギリスの文化を広めるための機関が、ロシアを侮辱したというような言いがかりをつけられている。立ち退きさせられるのだろうか？その可能性も高い。（が、その後の展開ははっきりしない）これは、おそらくロンドンで暗殺されたリトビエンコ事件や、ユダヤ系ロシア人の大物をイギリスに匿っていることや、ロシア外交官が数名、スパイ容疑で英国外へ追放されたことなどが背景にあるようだ。それにしても、産経の記者の方も書いていたが、ロシア人というのはロンドンの高級住宅地を買い占めて、何百万円も小遣いのように使う派手な暮らしをする層のロシア人が事実上、現地に住み着いて、「ニューモスコー」とか呼ばれているわりには、実際に本国では、まるでイギリスと対立した政策を取っているようにしか見えない。しかも、記憶ではこの英国文化機関の建物は、モスクワ川沿いにあって（以前は）非常に洗練されたデザインの（ロシアとしては珍しい）建物だったので、これを追剥というか、奪い取るための方策だったのかと思いたくもなる。<br>
６．不思議な事件が最近のモスクワで起こった。モスクビッチ（モスクワっ子）の間で大人気の高級外車ポルシェが月２０－３０台のペースで盗難に遭っているらしい。なんでも、今のロシアの若者の間ではスピードが出るスポーツカーが週末などに集まって、非公式の自動車競走をするのが流行りだとかで。この内の盗まれた一台が走行中にこの車が、ある事件を起こしてしまった。猛スピードで疾走する途中に、モスクワの女子大生を車内から振り落とし、この女性は即死。犯人は捕まっていないが、目撃した市民が多数おり、その現場から数百メートルのところで盗難車が乗り捨てられていたとのこと。このニュースから考えられる女子大生のいくつかの素性。１．売春婦。２．共犯者。ちなみに、１のケースでは犯人と痴話喧嘩して振り落とされたか、犯人が料金を値切って、それに応じなかったから振り落としたと考えられる。２でも同様に喧嘩したのでは？ちなみに、残念だが未だ「売春婦」という言葉を、ロシアでは小さな子供でも知っていたりすることがある。別名、婉曲に表現すると「夜の蝶」とも言うが、実際には出稼ぎのウクライナ人などが多い。この職業の女性は都市に非常に多く、減る様子はあまりない。モスクワなどに住む日本人の駐在員はこの手のハニートラップで「いちころ」になりやすい。金髪女性に滅法弱いことは、現地でよく知られており、ロシア人女性の大半は元々金髪でないのに一生懸命（こういうときだけ）髪の毛を染めている。が、よく見れば頭のてっぺんから毛の色が変わってくるのを避けられないので、「偽金髪」だということは見破ることができる。いっぱい金髪がいると、たいして皆美人でもないことが分かってくる。（黒髪のコーカサス系の女性の方がずっと美貌の持ち主が多い。金髪信仰は見慣れると消滅し、やがて幻滅に変わる）売春に関して言うなら、商売合戦も熾烈で、道端でも声をかけてくるらしいし、ホテルの部屋への売り込み電話や、カラオケなどの同伴があるらしいが、絶対乗らない方がよい。軽い個人の行動が、日本人の男性に対する偏見を助長することになりかねないし、そういう背景に必ずといっていいほど、マフィアがいるのをお忘れなく！</p>
<p>まあ、こうして６つくらいを軽く思い出してみても、ロシアの「追剥（おいはぎ）」ぶりはすさまじいものがある。もちろん、ロシア人個人個人というのが全員「手癖が悪い」ということはないのだが、何を隠そう 公務員（警察官、教師、医者などすべて）の給料が異常に安く、たいていの人がいくつかの仕事を掛け持ちでやらないと収入が十分でないような貧しさなのだ。どこかで辻褄を合わせているとしか考えられない場合もあり、実は気前のいい人の多いモスクワでは、公務員より乞食の収入が多かったりすることもあるらしい。</p>
<p>この極度な貧富の差と、旧ソ連圏や中国からの大量の移民や出稼ぎ労働者が流入している大都市の喧騒を考えると、ある意味、混沌の世界で起こりうることなのだ。もちろん、そんな中でも貧しさに耐えて清貧に暮らしているロシア人もたくさんいるし、都会へ逃げ出してきた少年たちや、少しでも貧しい家を助けようと地下鉄で花を売るような子供や、楽器を演奏して稼ぐ音楽家など、ひたむきに生きる人もたくさんいる。しかし、現実は極めて厳しい。こういう「追剥」が当たり前に日常で起こるのが、現代のロシア。経済発展という恩恵に浴することのない大多数の人々の中から、今尚、ドストエフスキーの描いたような 貧しさから抜け出せない人々がいるのだと思うと、非常に暗澹とした気分になる。でも、ロシア人ならきっと「ニチェヴォー（どうってことない）」と言いながら、 なんとか生き抜いていくのだと思う。そういう人たちに会って、毎日の大変な生活を 笑い飛ばしているのを目にして、一緒に笑うと、なんだか生きる気力が沸いてきたものだ。</p>
<p>極寒の地にあって、過酷な人生を冗談交じりに笑い飛ばせるロシア人の根性は見上げたものだ。そして、そうでもしなければ、あの国で生きていけないだろうとも思う。おそらく、たかが「追剥」くらいのことで驚いてはいけないのが、ロシアなんだろう。ロシアに関わるためには、多分、先にそういうことを知っておかなければならない。 </p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 15 May 2008 09:45:14 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>先送りされる欧米の不良債権とその裏で仕組まれている新たな投資ブーム</title>
            <description><![CDATA[<img src="http://www.teamrenzan.com/archives/readers/hashimae/scheme_FRB.gif">
<p>　米国発の信用収縮が消費減退を招き、実体経済は深刻な状況下にあります。しかし、株式市場は厳しい世相とは無関係かのように上昇を続けています（今年３月下旬から安定的に上昇中）<br />
　<br />
　実態はそれほど悪くないのでしょうか？　実体経済はこれから回復に向かうと言うのでしょうか？<br />
　<br />
　いや──実体経済はこれから更に厳しさを増してゆくと思います。<br />
　また、前回のコラムでも触れたように米国の金融機関は、不良債権を「レベル３債券」と言う種類に分類する事で時価評価を回避していると考えられます。実体隠しを政府ぐるみで公認している節があります。<br />
　不良債権の規模を隠蔽する（言い方は悪いのですが）方法には、別の方法もあります。評価損著しい債券と国債を交換すると言う方法です。具体的には、金融機関が抱えている不良債権と中央銀行が保有する国債を額面に近い価格で交換すると言うものです。最近では、「ターム物証券貸与ファシリティー（ＴＳＬＦ）」と言う仕組みで受け入れる債券の種類・規模を拡大しています。<br />
　こうした不良債権隠しのアプローチに対して、欧州の一部──具体的にはドイツ側からは批判の声が上がっています。<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
　４月２８日（ブルームバーグ）：英紙フィナンシャル・タイムズ・ドイツ版（Ｆ<br />
ＴＤ）は２８日、欧州中央銀行（ＥＣＢ）の政策委員会メンバー、ウェーバー独連<br />
銀総裁が、時価会計が現在の信用危機を増幅しているとの議論に触れ、時価会計を<br />
変更すべきだとの意見に反対を表明したと報じた。<br />
　同総裁はインタビューで、時価会計の廃止は「金融システムに対する市場参加者<br />
の信頼を回復させる以前に損ねることになる」と答えたという。<br />
</blockquote><div class="cite">ブルームバーグ：<a href="http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&amp;sid=a6ZicsMEaFm0" target="_blank">ウェーバー独連銀総裁：時価会計見直し論に異議−ＦＴＤ紙</a> </div><p></p>

<p>　<br />
　ちなみに、一連の不良債権隠しに必要な資金を賄っているのが中央銀行のバランスシートです。踏み込んで言えば、中央銀行が金融機関が抱える不良債権を引き取って抱えると言う形になります。ゆえに、中央銀行のバランスシート規模が引き取り可能限度額となります。<br />
　中央銀行のバランスシートの概算規模ですが、ＦＲＢは約７０００億ドル、ＥＣＢは約８３００億ユーロ、イングランド銀行は約５００億ポンド、日銀は約１５０兆円──多少の前後はあるかもしれませんが、このような規模であると推測されます。<br />
　<br />
　バランスシートに抱える国債を弾薬として、不良債権を打ち落とす訳ですが、イングランド銀行は既に５００億ポンドの国債と不良債権を交換しております。早くも弾薬を使い果たした格好になっていると考えられます。<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
　４月21日（ブルームバーグ）：イングランド銀行（中央銀行）は21日、約500億ポンド（約10兆2900億円）相当の国債を銀行が保有する住宅ローン担保証券（ＭＢＳ）と交換すると発表した。これにより資金コスト押し下げと貸し渋り解消を図る。イングランド銀のキング総裁は、需要が500億ポンドを超える場合でも対応する考えを示した。 <br />
　キング総裁はロンドンで記者会見し、国債・ＭＢＳ交換のプログラムには「恣意的に設定した上限というものはなく、500億ポンドを大きく上回ることもあり得る」と述べた。この措置の目的は金融システムへの信頼回復であり、最も重要な点は「必要な資金にアクセスするための仕組みの存在を周知させることだ」と述べた。 <br />
　発表によると、イングランド銀に貸し出した資産の価格下落による損失は貸し出し元の銀行が負う。交換の期間は１年で、最大３年まで更新が可能。国債に交換可能なのは2007年末時点で存在していた資産に限定される。<br />
　英政府は中銀に融資奨励策を求めている。資金コスト急上昇を受けて英国の市中銀行は好条件の住宅ローンを提供しなくなった。これが住宅不況に拍車をかけることを当局者らは恐れている。イングランド銀は2007年12月以来３回の利下げを実施したが、信用収縮の傾向に歯止めがかからないことから新手の策を編み出した。 <br />
</blockquote><div class="cite">ブルームバーグ：2008-04-21<a href="http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&amp;sid=aI9jKcqT6Z2Y" target="_blank">英中銀：国債500億ポンドをＭＢＳに交換へ-貸し渋り解消目指す</a> </div><p></p>

<p>　そのためでしょうか、直近のドル資金供給のプログラムにイングランド銀行は参加しない方針を表明しています。バランスシートに余裕が残っていない以上、身動きが取れないのですから、必然と言えましょう。<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
イングランド銀行（英中央銀行）は２日、ロンドン市場ではドル資金が十分だとして、米連邦準備理事会（ＦＲＢ）との為替スワップ協定には参加しない方針を明らかにした。<br />
　英中銀の報道官はロイターに対し「ロンドン市場でドル資金が不足しているという兆候はない。従って（協定に）加わる必要はない」と言明した。<br />
　そのうえで「（スワップ協定に関する）発表は承知しており、他の中銀による金融市場での努力を支援する」と語った。<br />
</blockquote><div class="cite">ロイター：2008-05-03<a href="http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-31635520080502?feedType=RSS&amp;feedName=businessNews" target="_blank">ＦＲＢとの為替スワップ協定には参加せず、ドル資金は十分＝ＢＯＥ</a> </div><p></p>

<p>　<br />
　ＦＲＢとＥＣＢは、ドル資金供給の勢いを強めています。ＦＲＢがドル資金供給をする（≒不良債権の買取資金の供給）のは分かります。しかし、ＥＣＢまで一緒になってかなりの規模のドル資金供給をするのはなぜでしょうか？<br />
　<br />
　実は、欧州金融機関は大量の「ドル建て資産」を保有しているのです。そのため、ユーロ・ドルでドル安が進むと、欧州金融機関の抱える評価損が膨れ上がってしまうのです。現在、ユーロにはドル離れした資産が流れ込んでいますので、評価損増加に拍車が掛かっています。ＥＣＢ側が、「過度な為替相場の変動は望まない」と何度も繰り返しているのは、こうした背景（欧州金融機関が大量のドル資産を抱えている）を踏まえたものと考えられるのです。<br />
　<br />
　欧州金融機関としては、「過度なドル安を食い止めつつ、不良債権と化したドル資産をバランスシートから切り離す」事が重要になってきます（日本の土地バブルの様に、住宅・不動産価格の下落が長期に渡ると考えられる＝債券の価値下落が止まらないので、不良債権化したドル資産は早めに切り離すのが賢明）。<br />
　ＥＣＢがＦＲＢと歩調を合わせてドル資金供給をする事も、理にかなった行動と言えましょう。<br />
　<br />
　中央銀行や大手金融機関ですら、信用収縮で四苦八苦しているのですから、当然貸し渋りが横行し、ヘッジファンドは次々と倒産に追い込まれる──日本の土地バブルの事例を振り返ると、そう考えるのが自然かもしれません。ところが、実際にはヘッジファンドへの資金流入が止まる様子はなさそうです。<br />
　<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
　15日に発表された米調査会社、ロススタイン・カスの調査によると、世界的な信用収縮にもかかわらず、米ヘッジファンド・マネージャーの90％以上が今年のヘッジファンド業界の資金調達に関して楽観的な見通しをしている、と15日付のロイター通信は報じている。<br />
　今回の調査は、米ヘッジファンドのシニアマネージャー306名を対象に実施。回答者の3分の2近くは米経済に悲観的な見通しを示しているものの、ほとんどのマネージャーが、ヘッジファンド業界に今年も潤沢な新規資金が流入すると予想していることが判明した。<br />
　回答者のおよそ半数は運用資産額7.5億ドル以上のヘッジファンドに勤務。残り半数が運用資産額1−7.5億ドルのヘッジファンドに勤務している。<br />
　また同調査で、ヘッジファンドの運営コストが増していることが明らかになった。優秀な人材の確保、また機関投資家の顧客層拡大のため、リスク管理、インフラ整備を強化していることが要因と考えられる。「回答者の70％近くが今後、運営コストが上昇すると予想している」と調査会社はコメントしている。<br />
　ヘッジファンドは、通常、管理報酬2％、またリターンから成功報酬20％をとり、手数料の高さがしばしば批判にあがるが、不透明な景気動向の中、分散投資を望む投資家が多いため、ヘッジファンドの需要は高く、手数料が高止まりしていることも同調査で判明した。 <br />
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ:2008-04-17 <a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo001847.html" target="_blank">米ヘッジファンド・マネージャー、市場悪化でも資金調達を楽観視--米調査が報告</a> </div><br />
　<br />
　<br />
　散々な成績にも関わらず資金供給を引き続き受けられるヘッジファンド──どうやら、中央銀行や金融機関の別働隊として活躍を期待されているようなのです。<br />
　具体的には、「金融機関の増資引き受け」「不良債権の買取」の２点を期待されている模様です。<p></p>

<p>　「金融機関の増資引き受け」ですが、国際的な金融活動をする銀行には８％の自己資本規制が課せられています。評価損失が大きくなるほど、自己資本を増強せねばなりません。<br />
　昨年末にはアブダビやシンガポール、中国の政府系ファンドが出資に応じてくれたのですが、最近はシビアなスタンスになっています（出資したものの、大損をしたのですから当然です）。<br />
　増資の引き受け先を他に見つけなければ、自己資本比率を維持できなくなってしまいます。そこで白羽の矢を立てられたのが、ヘッジファンドやプライベート・エクイティです。<br />
　ＦＲＢ・ＥＣＢから供給された資金は、主要金融機関を経由して、ヘッジファンドやプライベート・エクイティに貸し出されます。軍資金を受け取ったヘッジファンドやプライベート・エクイティは、金融機関の増資を引き受けます。これにより、金融機関は無事に資本調達する事ができる訳です。<br />
　更に、ヘッジファンドやプライベート・エクイティは、金融機関が保有する不良債権の買取もします。例えばシティグループの場合、買い手側に低金利で資金を貸し出しをしてまで、不良債権を引き取ってもらっているのです。</p>

<blockquote class="blockquote">
　信用収縮が終わりに近づいているという米銀大手シティグループのビクラム・パンディット最高経営責任者（ＣＥＯ）の発言が真実なら、同ＣＥＯはなぜ、自社のバランスシート上に抱えるレバレッジド・バイアウト（ＬＢＯ）向け融資債権を、不利な条件で売却するのだろう。
　事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、シティは今月、８０億ドル（約８３１０億円）の融資債権をプライベートエクイティ（未公開株）投資会社に売却した。売却前に６０億ドルを、自社の調達コストよりも低い金利で投資会社に貸し付けていた。ドイツ銀行と英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ（ＲＢＳ）も、融資債権を売却するために買い手に資金を貸し付けた。
　このような売却によって、銀行が抱えていた２３００億ドル相当の売れ残り融資債権は９１０億ドルまで圧縮された。しかし、ベアリング・アセット・マネジメントの債券・為替調査ディレクター、ナイジェル・シリス氏は、銀行が早急に新規融資に積極的になるとは限らないと指摘する。なぜならば、このような取引では、ある種類の債権を別種の債権に交換したことにしかならないからだ。
</blockquote><div class="cite">ブルームバーグ：2008-04-30<a href="http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&amp;sid=aPFxd5ODmjV4" target="_blank">シティ:ＬＢＯ融資売却で買い手に資金貸し付け−差し引きは変わらず</a> </div>
　
　
　危険な貸し出しをしてまでも、不良債権をバランスシートから切り離す必要があったのでしょう。今後、シティグループのようなケースが増えるかもしれません。と言うのもヘッジファンド側はキャッシュポジションを増やしており（＝株や債券を換金し、資金量を確保している）、その目的がディストレスト資産（≒不良債権）の買い集めにあるらしいのです。今回のシティグループのケースの様に、評価損著しい不良債権を買い取るチャンスを虎視眈々と狙っていると考えられます。
　

<blockquote class="blockquote">
　ウォールストリート・ジャーナルは17日付の紙面で、ヘッジファンドは、クレジット市場危機で相場が乱高下し方向性を掴むことが困難なことや、流動性確保のため、高レバレッジ運用を避け、運用資産全体に占める現金、あるいは現金同等物の比率を高めている、と報じている。
　アナリストやマネージャーは、こうしたヘッジファンドの方針転換について、現金が急に必要になるリスクが高まっていることを指摘する。ヘッジファンドに資金を提供する銀行が、融資担保不足を理由に追加保証金（追証）を要求する事態や投資家の解約請求が増えるリスクがあるためだ。
　ヘッジファンド自体も、新しい資金の調達が困難になっていることや、調達コストが2倍以上になっていることも理由として想定される。しかし、もっと大きな理由があると、同紙は指摘している。つまり、ファンドマネージャーは、現金比率を高めて、将来のディストレスト資産投資（経営破綻、あるいは破綻寸前の企業の社債などを安値で買い取り、企業再生後に売却して利益を上げる手法）の機会を待っているためだとしている。
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ：2008-04-18<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo001858.html" target="_blank">ヘッジファンドの現金保有が拡大--リスク回避よりも収益機会の確保が狙い</a> </div>

<p>　<br />
　実は、ヘッジファンドがディストレスト資産・債券を狙う動きは、昨年のサブプライム問題表面化時（２００７年７月下旬以降）から活発になっていました。<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
　世界的な信用危機が市場を襲ったにも関わらず、破綻企業などの債券に投資するディストレスト債権型ヘッジファンドの成績は振るわなかった。しかし、2008年はディストレスト債権戦略が勢いを増す年になるとの見方を示す業界関係者も少なくない。<br />
（...中略...）<br />
　そのため、銀行が手持ちのディストレス債権を売りに出すのは時間の問題と考えられる。リストラの始まった銀行では、すでに回収困難なローン債権のディスカウントでの売りが始まっているという。こうした売りは一般には公表されないが、ディストレスト債権のヘッジファンドは、売り手の動きに注目している。<br />
　英大手ヘッジファンド、テムズ・リバー・キャピタルのキンゼー・クイック氏は、ロイターの取材に対して「ディストレスト債権は、8月の信用危機から12ヵ月後、つまり来年の8月ごろから多くの売りが現れるだろう。ディストレスト債権の売り手がより多く現れる機会を常に伺っている」と述べている。 <br />
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ：2007-12-19 <a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo001091.html" target="_blank">2008年はディストレスト債権型ヘッジファンド本番の年</a> </div><p></p>

<p><br />
　上記ニュースで「来年の８月ごろから多くの売りが現れるだろう」と述べられていますが、これは金融機関が溜め込んだ不良債権が２００８年８月頃から放出され始める事を指しているものと考えられます。今年の第３四半期決算発表時期には、銀行のバランスシート上に多額の評価損が（今まで以上の規模）計上される可能性があります。</p>

<p>　今後訪れるであろう「ディストレスト資産ブーム」ですが、信用収縮を解決する希望の星として注目を集めています。不良債権の引き取り手が現れる事で、今まで値が付かなかった紙くず債券に値が付くようになるわけです。保有資産が無価値になると言う最悪の事態を回避すべく、不良債権を売却する動きは確実に高まってゆく事でしょう。<br />
　<br />
　ヘッジファンド業界では、今までの「高レバレッジ型ファンド」が退場させられ、入れ替わる形で「ディストレスト資産運用型ファンド」が台頭するものと考えられます。<br />
　「高レバレッジ型ファンド」は、アメリカの住宅不動産バブルに便乗して、相当高い倍率を掛けて（高レバレッジ）運用していた為、追証をかけられたり解約請求が相次ぐなどして衰退しつつあります。<br />
　その一方で、評価損失が著しい債券を買い集めて、高く売り抜けようとする「ディストレスト資産運用型ファンド」が資金を集め、動きを活発化させているのです。<br />
　時価評価会計を中止したとしても、こうしたヘッジファンド業界の動きを見ることで、金融機関が保有している債券の価値がどれほど落ちているのか、うかがい知る事ができます。<br />
　<br />
</p><blockquote class="blockquote"><br />
　米経済通信社ダウ・ジョーンズは4日付の記事で、専門家の分析を引用して、ディストレスト資産投資の動きが今年後半に本格化すれば、クレジット市場の安定化に寄与すると報じている。<br />
ディストレスト資産投資は、経営破たん、あるいは、破たん寸前となっている企業の社債などを安値で買い取り、それらの企業が裁判所の財産保全命令を受けて企業再生したあと売却して値上がり益を得る投資手法だ。<br />
　クレジット市場は、買い手不在で取引が極端に減少している。買い手のヘッジファンドなどレバレッジの高い投資家は追加保証金（追い証）に迫られ、ポジションの解消を余儀なくされている。また、銀行や証券会社も保有資産の値下がりで数十億ドル単位の評価損の計上に追いやられているのが現状だ。<br />
　こうした厳しいクレジット市場に新しい買い手が現われたことで、市場に活気が戻り、金融資産の価値が押し上げられる効果が期待される。ロスチャイルド銀行のデービッド・レズニック氏は、M&amp;A資金調達のレバレッジド・ローン市場は、特に、こうしたディストレスト資産投資家への依存度を強めてきているとし、市場の流動性を高める上で重要な存在だ、と指摘する。<br />
　また、景気後退と金融市場の混乱でも、企業破産はまだそれほど増えていないことから、ディストレスト資産投資家は住宅ローン債権に的を絞っている。<br />
　ヘッジファンドのフォートレス・インベストメント・グループは、今年、150億-200億ドル（約1兆5000億-2兆円）規模の新規の資金調達を実施し、ディストレスト投資を強化する方針だ。同社は、ディストレストMBS(不動産担保証券)は投げ売りされており、大口の買い手も少ないので、レバレッジを使わずに高リターンが期待できる点で、一生に一度あるかないかのチャンスだという。<br />
　3月後半、ブラックロックとハイフィールズ・キャピタル・マネジメントは住宅ローン債権を狙った20億ドル（約2000億円）のファンドを発表した。シダテル・インベストメント・グループも昨年暮れ、イートレード・ファイナンシャルから30億ドル（約3000億円）相当のMBSを8億ドル（約800億円）で買い叩いている。マラソン・アセット・マネジメントも今夏にディストレスト資産の購入ファンドを組成する計画だ。 <br />
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ：2008-04-04<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinfo/hfinfo001743.html" target="_blank">ディストレスト資産投資、クレジット市場の救世主になるか</a> </div><p></p>

<blockquote class="blockquote">
　米ヘッジファンド運用大手フォートレス・インベストメント・グループが、住宅不動産や住宅ローン担保証券（RMBS）を積極的に買い増している、と28日付けのダウ・ジョーンズが報じている。 
　フォートレスのウェズ・エデンズCEOは「安値でも処分できない不良債権が日に日に増えている。まもなく、あらゆる種類の資産が格安で購入できる『黄金時代』がやってくるはずだ」と述べ、「信用危機の影響を見極めるには時期尚早だが、今後3ヶから半年のうちに、地方銀行などへの融資を巡って大きなチャンスがやって来るだろう」との見通しを示した。 
　一方、運用資産額130億ドルを誇るゴールデンツリー・アセット・マネジメントは、レバレッジド・バイアウト（LBO）債権を以前より大幅に値下がりした価格で取得している。 
　ゴールデンツリーのスティーブン・タナンバウムCEOは「今年に入って弊社は、清算を余儀なくされた金融機関からLBO債権を数億ドル分購入しているが、株式の10-30倍の資産価値がある」と語っている。 
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ：2008-04-30<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfcomp/hfcomp001953.html" target="_blank">米ヘッジファンドが買い進める金融商品</a> </div>

<p><br />
　ディストレスト資産ブーム到来を見越してか、中東勢もそろりそろりと動き出した模様です。バーレーンの政府系ファンドが、欧米の金融機関から不良債権を買い集めるべく、準備を進めているとのニュースが報じられました。</p>

<blockquote class="blockquote">
　資産規模100億ドルを誇る中東の政府系ファンド（SWF）、バーレーン・マムタラカト・ホールディングは今後の投資対象としてディストレスト資産に注目していることを、同ファンドのTalal Al Zain最高経営責任者（CEO）がダウ・ジョーンズとのインタビューで明らかにした。
　マムタラカトは現状、100億ドルに上る資産の98％を国内や近隣諸国で運用しているが、「今後、欧米など海外向けの投資配分を50％まで増やすつもりだ」とAl Zain氏は語った。同氏は今後、同ファンドの資産を年率15％のペースで増やしていくことを目標に掲げている。
　Al Zain氏が特に注目しているのは、欧米におけるディストレスト資産への投資である。米国のサブプライムローン問題を端に発した信用収縮によって、世界経済への懸念が高まり、欧米の金融機関が保有する資産の価値は軒並み下がっている。「市場の状況を鑑みると、欧米の金融機関は私たち政府系ファンドから支援を受けざるを得ないだろう」とAl Zain氏は述べている。
</blockquote><div class="cite">ＨＦＫ：2008-05-01<a href="http://www.hf-klug.jp/hfnews/hfinvestor/hfinvestor001964.html" target="_blank">バーレーン政府系ファンド、ディストレスト資産に注目</a> </div>

<p>　<br />
　金融市場におけるブームが「高レバレッジ型」から「ディストレスト投資型」へ変化しつつありますが、これはどういった意味をもつのでしょうか？<br />
　「高レバレッジ型」は、まさにバブル市場を体現する運用スタイルと言えるでしょう。上昇し続ける事を大前提として、効率の運用倍率を掛けるので利益も何十倍になります。その一方で損失も何十倍です。住宅不動産市場が下落傾向に転じてからは目も当てられない状況となりました。<br />
　「ディストレスト投資型」では、不良債権を格安で買い集め、加工して再販すると言う運用スタイルになります。その加工ですが、社債を買い占めるなどして主導権を握り、再建計画を実施──バランスシートが改善された時点で売り抜ける、と言うやり方になるのではないでしょうか（今まであった欧米流再建ビジネスを踏まえると）。<br />
　恐らく、ひたすら人員削減を繰り返して人件費を削除し、コストを徹底的に削除してバランスシートを改善させるのでしょう（手っ取り早いですから）<br />
　ただし、その帰結としてリストラされた社員が社会に溢れかえりますので、失業率は極めて深刻な水準に突入するかもしれません。短期的にバランスシートを改善する事が出来ても、経済活動は著しく縮退し（膨大な失業者で溢れる為）、より深刻な悪循環に突入する可能性があります。<br />
　首尾よく「ディストレスト投資」ブームに火が付いたとしても、その後に残るのは疲弊しきった経済──まるで焼畑農業で周辺全ての森を焼き尽くした後の如き状況になるやもしれません。</p>

<p></p>

<h2>今後どうなるか？</h2>
　
　ＦＲＢ、ＥＣＢはバランスシートが許す限り、ヘッジファンドへ資金を供給し、金融機関のバランスシートから不良債権を切り離す作戦を続行するでしょう。
　
　<div><br /></div><div>　ＦＲＢ、ＥＣＢのバランスシートを合わせると、２００兆円弱の規模があると推測されます。この規模までは不良資産を吸収できると予想しても良いかもしれません（ただし、バランスシートを使い果たすと、中央銀行自体が身動き取れなくなりますが......）
　
　</div><div><br /></div><div>　ＦＲＢやＥＣＢでも「これ以上の不良債権回収は無理！」と言う段階が近づくと、金融機関同士が合併吸収を繰り返し、ウルトラバンクが誕生する可能性があります。「あまりにも規模と影響が大きすぎて潰せない」銀行に変身してしまう訳です。もし、欧米の金融機関の間で合併吸収の話が本格化して来たら、中央銀行による不良債権処理の限界が見えてきたと言えるかもしれません（実際のところ、ベアスターンズがＪＰモルガンに吸収され、カントリーワイドはバンカメに吸収されました。今後、救済合併の動きには注意を払っておくべきでしょう）
　
　</div><div><br /></div><div>　ＦＲＢ、ＥＣＢも手段を使い果たし（資金供給が不可能になる）、ウルトラバンクが誕生して潰すに潰せない状況になると、いよいよ「公的資金注入」の段階に入るかもしれません。<div><br /><div>　まとめると、以下のようなプロセスをたどるのではないかと考えられます。
　 </div><div>（１）時価会計の停止で時間稼ぎ </div><div>（２）中央銀行で不良債権を引き取る </div><div>（３）ヘッジファンドに資金を供給し、銀行の不良債権を引き取らせる </div><div>（４）ディストレスト投資ブームに火をつけ、一気に不良債権を銀行のバランスシートから切り離す </div><div>（５）不良債権に改修・改善を施し、高値で売りさばく</div><div> 　
　</div><div>　欧米の金融機関が時価会計を適用したバランスシートを発表すれば、一夜にして金融システムが崩壊する「ハードランディング」になりかねません。そこで、「ハードランディング」を回避すべく損失表面化を先送り。
　時間を稼ぐために時価会計を中止したり、不良債権を中央銀行で引き取るなどの対症療法に奔走。その間にも、「ディストレスト投資型」のヘッジファンドを資金援助し、「ディストレスト投資」ブームに火をつけるべく下準備を進める──といった流れではないでしょうか。
　
　</div><div><br /></div><div>　ただし、ディストレスト投資ブームと言っても焼き畑農業の様に一過性のものでしかありません。そのブームの後では、企業の再建・リストラの嵐が吹き荒れ（人員削減などのリストラを通して、買い占めた企業などのバランスシートを一時的に改善し、資産価格を高めると考えられる）、その結果として途轍もない規模の失業者が社会に溢れ、消費はもはや見る影も無いほどに縮小している事でしょう。
　そこから先、新たな需要や消費を生み出さない限り、金融テクニック的なアプローチでは問題を解決出来なくなる事でしょう。
　
　</div><div><br /></div><div>　もし仮に、米国が新たな中東戦争と言う大事業に打って出るとすれば、ディストレスト投資ブームの後──可能性として、２〜３年後かもしれません。少なくともその頃には、打てる手を尽くし、その結果は明らかになっている事でしょう（＝これまでの世界経済を支えていた需要・消費は消滅したと言う結果の事）。</div></div></div>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">橋前勇悟</category>
            
            
            <pubDate>Sat, 10 May 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
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        <item>
            <title>ロシア人の好みと映画産業</title>
            <description><![CDATA[<p>最近アカデミー賞の外国映画部門にロシアの映画監督作品が２つもノミネートされているのを見て正直驚いた。個人的に、ロシア映画作品には非常に興味があるので、古い作品から最近のものまで色々と見てきたが、最近のロシア映画の勢いというのは、なんだか物凄いものがある。それが、ついにアメリカにも上陸してきたのか？という感じがした。</p>
<p>ひとつめのノミネート作品は、純粋にロシア国内で製作され、出演者もすべてロシア人俳優の「１２」ニキータ・ミハイルコフ監督。</p>
<p>ふたつめは、中国・カザフスタンとの合作で、主演俳優は日本の浅野忠信さんの「モンゴル」、セルゲイ・ボドロフ監督。</p>
<p>まず、純粋ロシア映画の「１２」がどんな映画かというと、かなり政治的な匂いもしないでもない。なぜなら、テーマになっているのが「チェチェン戦争」であり、実際にそこで無実の市民である少女を殺害した罪に問われた将校（実在する）が実刑に問われた裁判について、延々と密室で１２人の屈強な男たちが話し合うという本当にそれだけの映画なのだ。見せ場は、当然、それぞれの俳優の演技力。</p>
<p>もちろん、演劇大国ロシアだけあって、俳優の迫真の演技にはコマーシャル用の短編を見ただけでも、強烈な印象を残すものがあった。しかし、実際の興行収入を見と、この映画は去年公開のロシア映画作品の中では、意外にもそれほど突出した成績は収めていない。要するに芸術性で勝ったということか。</p>
<p>他方のロシアと近隣諸国の合作となった「モンゴル」。こちらは、チンギスハーンの生涯で、もっとも史実で不明確な部分が多いといわれる幼少期から青年期にかけての時期を選んで、セルゲイボドロフ自身が、かなりロシア的な視点で主観的に（歴史的事実はこの際、重視せず、あくまで創作として）描いた作品。オールロケは、モンゴル現地ではなく、中国の内蒙古やウイグル自治区で行われ、スタッフも各国の寄せ集めで、ロシア人はあくまで一部。ただ、出資者はロシア人の実業家などと思われる。監督自身も現在はアメリカ在住のため、ハリウッド映画界で「マトリックス」のコンピューターグラフィックを手がけたような人物に依頼して、最終的には、かなりの部分で最先端の技術を使った、超豪華映画で制作費は５０億円相当ともいわれている。</p>
<p>しかし、こちらの「モンゴル」もロシアでは既に昨年の秋に公開されているものの、興行収入がそれほどよかったとは聞かない。むしろ、この「モンゴル」で後半から撮影で加わったセルゲイ・トロフィーモフが、この作品の後に短い時間に撮り終えた「皮肉な運命・続編」の方がロシア映画史上の最高額に当たる興行成績を上げている。</p>
<p>本当に皮肉な話だが、ロシア人の全体的な好みがよく表れた結果といえるだろう。なぜなら、この「皮肉な運命」という映画は、ソ連時代の寅さん映画のような超人気連作の一本であり、特にこの一本は「大晦日映画」ともいえる作品で、ロシア人が年に一回、必ず思い出しては笑い、何度も見ては楽しまずにはいられないというくらいに、もっとも大衆的娯楽要素とロシア的なユーモアセンスが入った作品だからなのだ。</p>
<p>その筋書きは、至って単純。ある大晦日の日に、恒例になっているサウナに友達と集まってビールを飲む会に参加した男がいた。主人公のさえない男が飲み過ぎて、酔い潰れ、なぜか空港へ向かう。そこで見送るはずの友達と間違って、自分がモスクワから飛行機に乗って、レニングラード（現在のペテルブルク）まで行ってしまうのだ。</p>
<p>さらに驚くべきことには、レニングラードという違う都市にもかかわらず、まったく同じ名前の通りに、ほとんどそっくりのアパートがあり、そこの同じ番号の部屋が、自分のモスクワのアパートの鍵で開いてしまう。それでそこに上がりこんでグウグウ眠っていたところ、金髪美女が帰ってきて大騒ぎになり・・・最終的には、この二人の男女が元々いたお互いの許婚を振り切って、ハッピーエンドになるというお話なのだ。</p>
<p>なんだか、あまりに急激な展開なので、日本人の感覚では最初はついていけないところもある。だが、たしかにこういう「ありえない展開のコメディー感覚」というのが、ロシア人にはたまらないらしい。しかも、ロシア人にとっては、何度同じ映画を見ても、何度も同じ場面で笑って泣けて、そしてあそこのあの表情が素晴らしい！ってなことで、楽しめるようなのだ。</p>
<p>そういうわけで、この映画の続編はロシア人にとっては前述のアカデミー賞外国賞にノミネートされた２作品なんかよりも、公開前からずっと噂の的だったようだ。そして、公開されたら最後、ぼろくその映画評論ばかりで、手放しで褒めている人なんてほとんどいないような気がするような状況にも関わらず、ロシア映画史上で最もヒットした作品になっているというわけなのだ。（ネットで批評を読んでると、気の毒になるほど酷評が多いが、でも、それを読むと益々見たくなるのがロシア人の一般的感覚らしい・・・）</p>
<p>たしかに、この映画を手がけた監督は比較的若手で、数年前に撮った「ナイト・ウォッチ」という映画では、海外でも多少のヒットを飛ばし、国内映画として珍しいほどの成功作品となって、その後のロシア映画産業全体にも、少なからず「ロシア映画も復活してきた」という印象を与えた点で貢献した人なので、その手腕もあるかもしれない。おそらく、監督としてというより、プロデューサーとしてのセンスが相当いい人なのだろうという気もする。</p>
<p>ロシアの映画関係者によると、ソ連崩壊後のロシア映画産業は名実共に壊滅的状況となった。ま、親方であった国家産業としての位置づけを失って、映画関係者は失業寸前で辛うじて、運のいい人たちはテレビ業界に転職。そこで、なんとか食いつなぐためにコマーシャルやテレビ番組の制作を続けていた。それがここ数年、ロシア全体の景気が回復してきて、おまけにロシア映画の中からヒット作品が出てきて、興行収入が期待できるようになったお陰で、莫大な金額でも左から右に出せるようなロシア人スポンサーが増えてきた。そのため、以前はどの映画館でもアメリカ映画ばっかりだったところが、ロシア映画が復活してきて、どんどん新しい企画も持ち上がるようになったらしい。</p>
<p>ま、それでもロシア人大衆の好みというのは、そう簡単には変わらないのだろう。アカデミー賞作品だとか、アメリカで興行成績１位とかいうのは、ロシアでは通用しない。ロシア人の好みも、アメリカと共通する部分もあるけれど、やっぱり、ロシア人の映画の趣味は変えられない。彼らが培ってきた文化として、今も根強く独自の色を守っている。そういう娯楽文化の復権から見ても、ソ連崩壊後の混乱時期から考えると、世界の覇権争いから脱落したように見えていたロシアが確実に自信を取り戻し、次の段階へと進んでいる気がする。</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4772004580&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4309262880&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000XII5G0&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000MTOPQY&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B000VRXINS&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 08 May 2008 09:48:45 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>海から見た東北地方の過去と未来 (3) ～東北の未来</title>
            <description><![CDATA[<h2>東北の今、そして未来</h2>
<p>　東北地方は、本州北部に位置し、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県の６県からなります。総面積は66,890k㎡で、国土の約２割、本州の約３割の面積を占めます。これはチェコと同程度、オランダ・スイス・デンマークの約1.5倍の広さです。総人口は964万人で、これはスウェーデンとほぼ同規模。人口密度は約140人/k㎡で、全国平均343人/k㎡を比べますと少ないものですが、これはスイス(177人/k㎡)、デンマーク(125人/k㎡)と同程度です。東北６県の県内総生産の合計はおよそ33兆円(2004年度)で、東北６県を合わせても全国３位の愛知県に及びません。しかしながらこれはトルコ・オーストリア・デンマークなどのＧＤＰを超えています。</p>
<h3>食糧資源供給地としての東北</h3>
<p>　東北は食料供給地です。全国比でみますと東北地方の総人口は7.5%にすぎませんが、農業就業人口は18.5%、農地面積は18.8%で、水稲作付面積に関しては25.9%、米の収穫量は27.5%を占めます（平成16年度）。平成16年度の食糧自給率（カロリーベース）は、全国40%のところ、東北全体では104%ですし、県別に見ても青森・岩手・秋田・山形が100%を超えています。米の品目別自給率は全県で250%以上、秋田にいたっては550%近くの自給率です。小麦はさすがに10%以下ですが、大豆は宮城・秋田・山形で60%を超えていますし、野菜や果物は青森・山形が引き上げており、東北全体で100%を超えています。魚介類は青森・岩手・宮城の３県が200%近くかそれ以上で、これも東北全体で140%近くになります。しかし考えてみれば、農業も漁業も石油を突っ込んでこの値なので、足元のしっかりしたものではありません。脱石油を考えれば機械の代わりに人手が必要になますし、就農者問題は重要な課題です。</p>
<h3>米処</h3>
<p>　かつて東北は涼しすぎて稲作には不向きでしたし、その年の気候次第で収量も不安定でした。しかしその後の品種改良・水利整備など（温暖化も？）もあって、現在では東北は米処です。稲作が盛んなところは平野部であり、そこには大きな河川の河口があり、その河口には良港があります。北上盆地を流れる北上川や阿武隈川が集まる仙台平野には仙台港・石巻港がありますし、能代平野に注ぐ米代川河口の能代港、横手盆地を経て秋田平野に至る雄物川河口（秋田運河）の秋田港、山形内陸部を経て庄内平野に至るの最上川河口の酒田港、新潟県に目を移せば、阿賀野川、信濃川が集まる新潟平野には信濃川河口に新潟港があります。中世に栄えた津軽十三湊も津軽平野から岩木川が注ぐ十三湖にありました。これは、河川の堆積物が平野を作ることや、海を川の結節点である河口が交易に有利であることを考えれば当然のことであります。というわけで、港あるところが米処でもあるわけです。</p>
<h3>酒処 ～水素キャリアとしてのエタノール</h3>
<p>　米処であるということは酒処でもありますね。つまり、エタノールをキャリアとした燃料電池船（水素船）へのエネルギー供給という点でも有望です。現在、減反政策で日本には埼玉県に匹敵するほどの休耕田があるといわれます。エネルギー米の作付けは採算次第では可能でしょう。しかし、採算がとれるほどエネルギー不足になっていれば、その時には食料不足にもなっているはずです。燃料用エタノールと競合して食用米が不足してしまってはいけません。そこの折り合いがつけば、エネルギー米の生産も一つの可能性として考えられるでしょう。</p>
<a href="http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2007101702521n2">休耕田でバイオ燃料作りを――東北の農家、難問は採算</a>
<h3>天然ガス処 ～水素キャリアとしてのメタノール</h3>
<p>　前述した水素船のもう一つのキャリアはメタノールですが、これは天然ガス（メタン）を改質しても得られます。天然ガスのほとんどを輸入に頼る日本ですが、天然ガスは国内でも生産されています。全供給量の3.7%にすぎませんが。その国内で生産される天然ガスは新潟南長岡ガス田が最も多く、次いで北海道勇払ガス田、新潟片貝ガス田、福島磐城沖ガス田と続きます。東北地方というわけではありませんが、新潟県はここでも可能性を感じさせます。なにせ明治初期の県別人口では東京を抑えて新潟が一番だったそうですから。需要を満たすには微々たるものではありますが、北日本の日本海沿岸は化石燃料資源処でもあります。</p>

<a href="http://www.teamrenzan.com/archives/writer/omnibus/tohoku.html">東北七県みちのくの復権のチャンス</a>

日本国内の天然ガスパイプライン網
http://www.sekkoren.jp/kaihatsu/kaihatsu5.htm

<h3>漁業資源</h3>

<p>　三陸の漁港は全国でも有数の水揚げ量を誇ります。上場水揚量上位20漁港に、焼津、銚子についで３位の石巻をはじめ、八戸、気仙沼など６つの漁港が名を連ねていますし、2005年の海面漁業水揚量は青森、岩手、宮城、福島の４県で全国の15.5%を占めます。もっとも北海道の29%にはかないませんが。でもまぁ、北海道東北合わせますと全国の45%です。繰り返しますが、これは石油あってのものだということに注意が必要です。</p>
<h3>海藻からエタノール</h3>
<p>　さて、海と言えば、海藻のホンダワラからエタノールを作るという話がありました。</p>
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/05/4002013.html
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/05/400_2.html
<p>　これは、日本の領海と排他的経済水域(EEZ)をあわせた海域約447万平方キロメートルのうち1～2％を用いるだけで年間1.5億トンの海藻を養殖でき、この海藻から400万～500万キロリットルのバイオエタノールが生産できるというもので、現在の日本国内のガソリン使用量の約1割にあたるとのことです。食料生産と競合せず、地表水を必要とせず、土地利用を妨げず、その上、海水の富栄養化を抑制し、海水中の微量金属や塩類を回収して肥料でき、稚魚の魚礁となって水産資源を増やすなど、いいことづくめのようです。</p>
<p>　日本の領海と排他的経済水域(EEZ)をあわせた海域約448万km2というのは、世界第６位という広大なものです。狭い国土などと嘆くことはありません（日本の国土は決して狭い方ではありませんが）。その1～2%となると、4万5000km2～9万km2。これは、台湾(35,980km2)や九州(36,732km2)より大きく、東北地方(66,889km2)とか北海道(83,454km2)と同程度。東京都の20～40倍、関西国際空港空港島8,800～17,500個分、東京ドーム95万～190万個分に相当します。かなりの面積ですね。</p>
<p>　仮に関西国際空港島クラスの5km2のネットで養殖したとして、得られるバイオエタノールは300～450klとなります。日本の年間ガソリン消費量はだいたい6000万klということなので、関空１個分で現在のガソリン消費量の0.0005～0.00075%をまかなえる計算になります。う～ん。これを全国で100基くらい作ると、0.05～0.075%になります。これでもまだ寂しいか。どうやら広大な面積を必要とする割にはエネルギー集積率が低いので大量に供給するには不向きのようです。ならばこそ、エネルギー変換効率の高い水素船でしょう。</p>
<h3>森林資源</h3>
<p>　日本の人口は1億2777万人(2005年)、東北地方の人口は合計964万人で、全国比でいいますとおよそ7.5%。日本の面積は377,915k㎡、東北地方の面積は66,890k㎡で、全国比だとおよそ17.7%。日本全体の森林率はおよそ67%で、これは熱帯雨林の途上国を除けば、フィンランド75%、スウェーデン70%に次いで世界３位と、かなり多い方です。東北地方全体での森林率は日本全体より若干多い70%。ちなみに世界の平均は30%です。よく環境先進国として取り上げられるドイツやスイスは30%程度、デンマークは10.7%であることを考えると、<a href="http://www.shinrin-ringyou.com/forest_japan/menseki_japan.php">日本は森林資源に恵まれた国</a>なのです。</p>
<p>　これを人口一人当たりの森林面積としてみますと、日本全体では2,000㎡/人、東北地方全体では4,900㎡/人と、日本全体の2.5倍あることになります。森林率がそう変わらないわけですから、これは人口の寡多による違いですね。世界的に見ますと、フィンランドの48,100㎡/人、スウェーデンの35,100㎡/人は別格としても、ドイツの1,400㎡/人、スイスの1,700㎡/人、デンマークの852㎡/人よりも日本の人口一人当たりの森林面積が広いことになります。人口がずっと多いにもかかわらず。ところが木材生産量となるとドイツの１／４。いかに自国の木材を使わずに外国産の木材を輸入しているかということの証左といえましょう。</p>
<p>　石油はエネルギー資源であると同時に材料資源でもあります。森林資源もまた古くからのエネルギー資源であると同時に材料資源です。脱石油を考えるときに森林資源が豊富であることはたいへん貴重なことであると思われます。石油が手に入らなくなり統制品となれば、庶民が暖房や調理に利用できる熱源は天然ガスや電気の他、薪や炭といった森林資源となるでしょうし、プラスティック製品の代替としても森林資源は見直されることになるのではないでしょうか。</p>
<h3>脱石油時代の物流</h3>
<p>　石油の生産がピークを迎え、需要は減らないのに生産が減れば、石油価格は高騰します。現在の原油高は金融破綻によってマネーが物に退避しているからというのもあるでしょうが、基本的に石油生産が減少してゆく以上、多少の上下はあっても長期的には加速度的に暴騰し、いずれ庶民の手には入らなくなるでしょう。今年早々に原油価格は１バレル100ドルを超えました。中国では自動車免許取得者が１億人を超えマイカー時代が到来したそうです。私は石油が統制品になるまであと20年と想像しているのですが、どうでしょうか。</p>
<p>　石油が手に入らなくなれば、移動や輸送はどうしましょう。最も効率がよいのは電車・ディーゼル気動車・コンテナ船・貨物船で、普通トラックの1/6～1/5、小型トラックの1/9～1/8の熱量消費です。石油を燃焼させてエネルギーを得るのではなく、電気的にエネルギーを得るアルコール燃料電池搭載船（水素船）があればさらに効率よく、かつ石油に依存することなく航海できます。海外との交易だけでなく、現在はトラック中心となっている国内の長距離輸送も、江戸時代の東廻り航路・西廻り航路のように船で結ぶというのはいかがでしょう。ひょっとすると昔のように河川輸送も再び盛んになるかもしれませんね。</p>
<p>　港湾を基点として、そこから先は鉄道で運ぶ。電気は発電・送電段階で効率が落ちますので、もちろん自然エネルギーによるマイクログリッド直流送電です。電化されていない路線はバイオディーゼル気動車ですね。これもバイオハイドライド燃料電池電車ってことになればいいですね。2006年に富山市が本格的ライトレールを導入しましたが、路面電車も有望です。ここにキャパシタ技術を使ったキャパシタライトレールなら、停車場で数十秒充電すればあとは電線無しで運行できますよ。そこから先の陸上輸送はさし当たり自転車・リヤカー・大八車などの人力と牛馬ですね。燃料電池トラックやキャパシタトラクターの広い普及はまだ先ではないでしょうか。</p>
<h2>東北地方が抱える問題点</h2>
<h3>労働力</h3>
<p>　東北地方が抱える問題点は、第一に人口です。人口の流出が多く、高齢化が進んでいます。人口がこのまま減り続けると、公共サービスを維持するだけの費用が捻出できず社会が維持できなくなるところが増えることでしょう。いくら東北が食料供給地だといっても、それは石油を突っ込んでのこと、石油がなければ人力・牛馬でやるしかありません。その肝心の人手を確保できない、食料生産技術をはじめさまざまな伝統技術、知的資源を伝承できない事態になっています。</p>
<h3>マイカー通勤</h3>
<p>　東北は人口密度が低く、鉄道網などの公共交通機関が発達していないこともあって、もっぱら移動は自家用車になっています。一家に一台は当たり前、一人に一台のところも珍しくありません。石油が不足すれば郊外の家からマイカー通勤ができなくなり、これまでの通勤圏が維持できなくなります。東北に限りませんが、石油生産が減退し、石油に依存する現代の文明が維持できなくなってくれば、社会産業形態の組み替えが起こるでしょう。それは多くの失業者を生みながら、現在の拡大膨張した都市機能は縮小し、都市と農村とに棲み分けが起こるのではないでしょうか。その時、人の流出が続いた農村漁村が再び人の受け皿になることができるかどうか。</p>
<h3>東北地方における海からのリスク</h3>
<p>　海は東北にとって活路となる可能性を秘めていますが、手放しに期待ばかりしてもいられません。東北の海には東北の海のリスクがあります。</p>
<p>　放射能汚染のリスク。三陸沖をはじめ東北の太平洋側は地震の多いところですが、ここには東通原子力発電所、女川原子力発電所、福島第一・第二原子力発電所があります。特に福島第一原子力発電所の低レベル放射性廃棄物の貯蔵量は全国でもずば抜けて多いものです。しかし、なにより東北には六ヶ所村核燃料再処理施設があります。ここから海水に放射性物質が流出すれば、親潮によって三陸沖に停滞し拡散しないまま留まるといいます。日本屈指の水揚量を誇る三陸の漁業基地が放射能で壊滅なんてことになったら洒落になりません。一方日本海側では、柏崎原発で放射能事故があれば、対馬海流にのって北日本の日本海側に影響がありましょう。</p>
<p>　海からの招かざる客といえば、大陸や朝鮮半島からの海洋汚染が対馬海流にのって日本海沿岸に影響を及ぼすことも懸念されます。実際に日本海側の海岸では支那・朝鮮からの漂着物（海洋投棄ゴミ）がたくさん流れ着いています。富栄養化についてはエチゼンクラゲの問題を見れば同様でしょう。また、支那や朝鮮の体制が崩壊することがあれば、難民が流出して、日本海沿岸に到着する可能性も考えられます。</p>
<h2>海が拓く東北の未来</h2>
<p>　貧困・寒村のイメージがある東北地方ですが、過去には繁栄した時代もあります。三内丸山遺跡にみられる、豊富な自然の恵みと広い交易があった縄文時代。砂金と十三湊による交易で平泉文化の栄華を誇った奥州藤原氏。十三湊を交易港として独自の北方貿易で繁栄した津軽安東氏。欧州貿易を模索した伊達政宗。米などの供給基地として海運で栄えた石巻や酒田。こうしてみますと、東北が活気づく時代というのは海と関係しているように思います。中央主導ではなく地方独自に取り組んでいる時代、食糧資源や地下資源を背景に海上輸送による交易が盛んな時代といえるのではないでしょうか（これは東北に限らないでしょうが）。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">高橋祐助</category>
            
            
            <pubDate>Wed, 07 May 2008 10:10:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>ロシア人と中国人</title>
            <description><![CDATA[<p>それにしても、日本人に生まれて良かった！と海外に出ると思う瞬間がある。やっぱり、島国というのは、一見不便なようでいて、大陸のように隣国と繋がった状態で国家を維持するのと違って一種自然の要塞で守られた空間のようなものであり、大変に有難いものなのだ。</p>
<p>一番最初にそれを指摘してきたのは、富山から戻りの「雷鳥」で偶然隣り合わせたスリランカ人の宝石商だった。考えてみれば、スリランカも島国には違いないのだけど、いまだに人種間の問題があって、その時点（数年前）でも彼が言うには元宗主国のイギリス言論に訴えない限り、国内のゲリラ的闘争を終結させることはできないとのことで、せっかく独立しても、なかなか国内はそう簡単にまとまらないらしかった。</p>
<p>話がロシアと中国に戻ると、まさに表面的に繕った国家関係とは裏腹に、「犬猿の仲」とはこの二つの国の人々のことを言うのではないかというくらい相性はよくないようにお見受けした。実際に、両国を代表するような文化人たちが仕事絡みの対立で激しく罵り合い、唾を飛ばし合い、挙句の果てには取っ組み合いをするか、あるいは、刃物でも出してくるかというくらいに言い争う光景を目にしたとき、彼らの「友好」とはこんなもんやなあーと妙に実感したのを覚えている。ある映画の撮影チームの話である。</p>
<p>表面的というより、経済的にはロシアも中国もお互いに「利用価値」のある間は「蜜月」を演出するつもりらしいというのはここ数年の政治的な動きに見られる。まず、サンクトペテルブルクに建設予定の現代版（？）チャイナタウンをイメージした高層ビルなんか、まさにそうだろうと思う。ロシアのテレビなどで放映される中国関係は、絶対に厳選された「良いイメージ」を国民が持つようなニュースしか流さないし、あたかも中国経済の発展ぶりは「完璧」であるように見せかけている。その一方で、阿呆の一つ覚えのように、毎回「南京大虐殺」で出してくる映像は有名な捏造ものの、辮髪中国人が後ろ手を繋がれたまま、銃で頭を吹っ飛ばされる場面ばかり。（しかも、吹っ飛ばした相手が日本人ということがこの映像からは何らはっきりしないので、片手落ちだ）</p>
<p>ところで、貿易関係でいうと、資源はロシア側とはいえ、目に見えるような商品では中国製のものが圧倒的に多い。モスクワでも、シベリアの果てでも、貧しい層が購入できるレベルの日用雑貨のような商品は、ほとんどが中国製品。しかも、大半はいまだに原始的なルートで国境沿いを大きな袋を担いだ働き者の中国人たちが、ロシアに行商に来て運び込まれたものである。</p>
<p>たしかに、一見すると中国人はロシア人に必要な物品を安価で提供するのだから、うまくいけば良好な関係が築けそうにも思える。しかし一方で、ロシア人というのは変にプライドの高いところがあって、（働きもしないくせに）中国人の金銭に対してがめついところとか、見かけに構わずに実質的に稼ぐことにのみ集中できる性質（ロマンチックの正反対）などを確実に軽蔑していると思われる。しかも、働かないロシア人の男を尻目にシベリアのロシア人の女性を「二号さん」の愛人として囲っている中国人も多々いるらしいから、尚更よく思われていないだろう。しかも、運ばれた物品の品質は劣悪なものも含まれ、ロシア人向けに流れてくる中国製品について言うなら、「安かろう、悪かろう」。さらに、国境沿いでは例の汚染物質が河川を通じて、どんどんロシアの側に流れ込んでくるという大変な事故が数年前あった。そんなこんなで、中国に対するロシア人のイメージは決してよくない。</p>
<p>さらに、実際にモスクワなどにいる中国人というのの大半は、学生ビザなどで入国し、実際には市場などで働く不法移民が大半である。既に完全に中国語だけで暮らせるコミュニティーもあれば、大規模な市場もあり、中国語のフリーペーパーのような新聞も発行されている。中国からの留学生に話を聞くと、多少優秀な人となると、ロシアは単に通過地点に過ぎず、できれば、ロシアを経由して、ヨーロッパ、あるいはカナダ、アメリカへの移民を希望していたりする場合もある。要するに、ロシアはビザを簡単に出してくれるし、陸続きで、しかも鉄道で北京と結ばれていたり、地理的に好条件だから中国人の海外遠征（？）の起点としては、なかなか便利ということらしい。</p>
<p>その一方、ロシア人も意外に北京オリンピックの影響か、中国の大学に留学しているのである。現地でロシア語と中国語の通訳を募集したら、大量に集まってくるらしい。しかも、彼らのレベルは相当高い。おそらく、ロシア人から見ても物価の安い中国なら、留学費用も安くて済むし、おまけに両国間の関係が良好な今のうちなら仕事もそこそこ見つかるのだろう。ただ、見ていると全体的に中国の油っこい料理は、淡白な味付けに慣れて育ったロシア人には合わないようだ。</p>
<p>こういう風に見ていると、両国の関係は比較的良好だと思われるだろうし、実際そういう面もある。しかし、連山で既に取り上げられているように、ロシア人というのは、経済面や国家事情、貧富の格差などの諸事情で、ここのところ、ずっと人口が減り続けており、特にシベリアなど、自然の気候条件が厳しく、産業がほとんどない地域では実際問題、中国人がこれ以上どんどん流入してくると、人数的にも心理的にも、明らかに圧迫されていくことだろう。しかも、中国人の方が圧倒的にエネルギッシュに働き、経済的に豊かになろうという強い意欲が感じられる。ロシア人は、ある意味、あまりにも人生に対して刹那的なので、継続的に産業を興して、地域を復興させるような能力は大多数の人にはあるまい。だからこそ、どうしても中央集権的にプーチンのような大統領が出てきて、「ぼやっと」している地方の特権階級に当たる行政の長の首を、バンバン自分の思うように動く人間に挿げ替える必要があるのも分からなくはない。</p>
<p>おそらく、そうでもしなければ、ロシア人は中国人に早晩に文字通り「食われて」しまいかねないのだ。悪夢として考えられるのは、気付けば周囲は人数的に圧倒的多数の中国人に包囲され、産業なども従事する人は皆、中国人、しかも、半分中国の血の入ったロシア人ばかりが幅を利かせ、ますます元からいたロシア人は働かなくて、ダラダラしているうちに駆逐されていく。国土的にロシア人と呼べる人たちが住むのはヨーロッパ寄りの方面だけになってしまうかもしれない。</p>
<p>大体、ロシアでもシベリアや南部のアジア系やイスラム系の人が多い地域の共和国などのほとんどは、日本人の思うような白人種のロシア人はほとんどいない。大半がむしろ、日本人から見て懐かしいような風貌の人々なのだ。そういう人たちは、歴史的に見れば、半強制的にロシアに従属させられたという意識も強いのだから、ロシアの国家が強い間は従っても、そのうち中国の方が強くなれば、寝返らないとも限らない。もともと、カザフスタンやウズベキスタンの南方に当たる中国の新彊ウイグル自治区の人々のように、中国政府の弾圧から逃れて国境を越えている人のいるところでは、国家への帰属意識より民族意識の方が高いという可能性もある。</p>
<p>そういう地域をも国家の領土内に抱えた、ロシアと中国。今後、この二つの国がずっと仲良くしていられるのかどうか甚だ非常に疑問だし、数年のうちには何か動きがあるに違いないと思う。そのとき、日本がどう動けば利があるのか。世界の動きが米国中心ではなくなってきた今こそ、そういうことを見極めながら外交をしていくべき時期に差し掛かっている気がする。</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4794216378&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4047033510&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=B0000ABBWV&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4894343320&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe><iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=t05a-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4931449735&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>]]></description>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">松緒錦江</category>
            
            
            <pubDate>Thu, 01 May 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
        <item>
            <title>海から見た東北地方の過去と未来 (2) ～東北の過去　後</title>
            <description><![CDATA[<h3>(7) 戦国時代（15世紀後期～16世紀後期）</h3>
<p>　東北地方では守護大名が領域支配を早々と確立し、最上義光、伊達政宗、南部晴政、安東愛季、津軽為信などの戦国大名が誕生します。一方、越後には上杉輝虎（上杉謙信）が登場しました。</p>
<p>　その頃中央では、尾張に登場した織田信長は急速に支配地域を拡大していき、室町幕府に代わる畿内政権を樹立しました（1573年）。しかし、信長は本能寺の変（1582年）によって滅ぼされ、代わって豊臣秀吉が全国を平定して統一事業を成しました（1590年）。豊臣秀吉の奥州仕置によって東北の有力諸藩は安堵されましたが、東北諸大名を牽制するため、豊臣秀吉は上杉景勝を越後から伊達、会津、置賜、庄内に移封しました。これによって、最上氏は南と西から上杉氏に挟まれる事となり、上杉氏にとっても置賜と庄内を最上義光に遮断されることとなり、ここに両氏は緊張関係となりました。</p>
<p>　ちなみに、織田信長の次男・織田信雄は家督を継ぎ、初代天童藩主となっておりまして、天童には織田宗家の菩提寺や信長を祀った建勲神社があります。</p>
<p><strong>上杉 vs 最上・伊達 ～東北における関ヶ原の戦い（1600年）</strong></p>
<p>　敵対勢力である上杉景勝を討つため会津に迫った徳川家康のもとに、石田三成の挙兵の知らせが届き、家康は会津攻めから反転、西上します（関ヶ原の戦い）。するとすかさず上杉景勝は最上氏を攻めました。最上を滅ぼせば後顧の憂い無く家康と対峙できるからです。上杉軍の総大将は直江兼続で、最上軍の３倍以上の兵力で侵攻しましたが、最上勢は抵抗堅く、攻め落とすことができずにいました。そこに最上義光の甥にあたる伊達政宗は援軍を送り、加えて関ヶ原の本戦において西軍が大敗したという報がもたらされたことで今度は攻守逆転。撤退する上杉軍を最上軍と伊達軍が追撃することになりました。上杉軍の後駆を務めたのがマンガで有名な"傾奇者・前田慶治"こと前田利益で、追撃をする最上軍を食い止め、上杉軍を無事米沢に還しました。この撤退戦は見事で、最上義光は兼続に感服し、家康も兼続を賞賛したといいます。この結果、伊達政宗は微増の62万石となり、最上義光は庄内地方の支配を認められ出羽54万石を与えられました。これは政宗の力を恐れた家康が、伊達への押さえとして最上氏を重要視したためと考えられます。かたや上杉景勝は庄内、会津などを没収され、米沢30万石を許されました。</p>
<p>　関ヶ原の戦いにおいて曖昧な態度をとったとして水戸の佐竹氏は秋田に移封されました。秋田藩（正式には久保田藩）の藩祖である佐竹義宣は「国の宝は山であり、山の衰えは国衰である」と山林保護に力を入れた人物でもあり、その伝統は現在も秋田杉の美林につながっています。</p>
<p><strong>サン・ファン・バウティスタ号</strong></p>
<p>　さて、東北の戦国大名といえば何といっても伊達政宗ですね。政宗は"伊達者"という言葉が示すように、斬新で新進の気風を持つ名将です。政宗は1601年に城下町・仙台を建設し、仙台城に居城を移します。また、この時代に西洋型軍艦サン・ファン・バウティスタ号を建造して、家臣の<a href="http://www.teamrenzan.com/archives/writer/hara/post_322.html">支倉常長</a>ら慶長遣欧使節団をメキシコからスペイン、ローマにまで派遣し海外貿易を試みています。しかし、常長が帰国したときには既に日本は鎖国しており、常長の功は実ることはありませんでした。</p>
<p>　この時、使節団が持ち帰った唐辛子が後に朝鮮に渡り、国民食といわれるほどになったという説があります。</p>
<h3>(8) 江戸時代（1603年-1867年）</h3>
<p>　豊臣秀吉の死去後、関ヶ原の戦い（1600年）に勝利した徳川家康は征夷大将軍となって江戸幕府を開き（1603年）、大坂の役で豊臣氏を滅ぼしました（1615年）。江戸時代、東北の有力大名としては、米沢に移った上杉氏、２代将軍秀忠の子・保科正之を家祖とする会津松平氏、仙台の伊達氏、秋田の佐竹氏、盛岡の南部氏などがあります。</p>
<p><strong>流通革命～東廻り航路・西廻り航路</strong></p>
<p>　河村瑞賢は伊勢に生まれ、江戸に出て土木工事の人夫頭から、江戸きっての木材商となった人物で、東廻り航路、西廻り航路の開拓者として知られます。1671年、幕府の命を受け、阿武隈川河口から房総半島を回って伊豆国下田へ入り、直接江戸湾に運ぶという新たな航路（東廻り航路）を開きました。東廻り航路はその後、津軽海峡を経て酒田までのびることになります。さらに、翌1672年には、出羽国酒田から日本海沿岸を回り、瀬戸内海・紀州沖・遠州灘を経て江戸に入る航路（西廻り航路）を開きます。西廻り航路はその後北海道まで伸びる北前航路となります。これによって、輸送に要する時間と費用を大幅に削減することができ、江戸時代の海運の発展に寄与しました。北上川河口の石巻や最上川河口の酒田は河川輸送と海上輸送を結ぶ物流の拠点として大いに繁栄しました。仙台藩領に加え、北上川を下って南部藩領からも集められる米は、石巻から江戸に運ばれ、当時江戸で流通する米の半分を占めていたといいます。</p>
<p>　東北地方の方言には、西廻り航路の港町があった地域には京言葉や大阪弁などの影響がみられ（津軽弁、下北弁、秋田弁、庄内弁）、東廻り航路の港町があった地域や江戸への主要街道が通っていた地域には江戸言葉の影響がみられる（南部弁、盛岡弁、仙台弁、福島弁）とされます。もっとも他の地域の人が聞けばどれも東北弁でしょう。</p>
<p><strong>「本間様には及びもないが　せめてなりたや殿様に」</strong></p>
<p>　河村瑞賢が西回り航路を整備すると、酒田は「西の堺、東の酒田」ともいわれほど、奥州屈指の港町として繁栄します。戦後の農地改革まで日本一の大地主で、琵琶湖の所有者でもあった本間家などの豪商が活躍しました。最も権勢を誇った三代目・本間光丘は私財を投じて庄内砂丘に防砂林の植林をするなど、酒田繁栄の基礎を作った人物でもあります。</p>
<p><strong>「為せばなる為さねばならぬ何事も」 </strong></p>
<p>　江戸時代屈指の名君として知られている上杉治憲（上杉鷹山）は日向国高鍋藩主の次男として江戸に生まれました。母方祖母が米沢藩主の娘であったことから、10歳で米沢藩主の養子となり、1768年に米沢藩を継ぐことになります。当時米沢藩は借財が累積する一方、石高に対する家臣の割合が異常に高かったといいます。治憲は自ら倹約を進め、帰農を奨励し、作物を育て、飢饉に備えた民間用災害対策マニュアルを整備するなどして、天明の大飢饉の中でも一人の餓死者も出さなかったといいます。また、藩校・興譲館を再興させ、藩士・農民など身分を問わず学問を学ばせました。これによって破綻寸前の藩財政を建て直し、借債を完済しました。</p>
<a href="http://www.teamrenzan.com/archives/writer/alacarte/plotpanic.html">良い議員の選び方　～仕組まれた狂乱物価～</a>
<p>　伝国の辞とは、鷹山が家督を譲る際に申し渡した３条からなる藩主の心得です。</p>
<p>一、国家は先祖より子孫へ伝候国家にして我私すべき物にはこれ無く候<br>
一、人民は国家に属したる人民にして我私すべき物にはこれ無く候<br>
一、国家人民の為に立たる君にて君の為に立たる国家人民にはこれ無く候<br>
<p>右三条御遺念有るまじく候事</p>
<p>有名な「なせばなる なさねばならぬ何事も ならぬは人の なさぬなりけり」の歌は「伝国の辞」と共に次の藩主に伝えられました。</p>
<h3>(9) 明治以降（1868年～　）</h3>
<p><strong>奥羽越列藩同盟 vs 明治新政府軍 ～戊辰戦争（1868年,慶応4年/明治元年）</strong></p>
<p>　京都守護職にあった会津藩は新撰組を配下に持ち、また禁門の変では孝明天皇がいる御所に向かって砲撃した長州藩を撃退しました。また、江戸警護役の庄内藩は、江戸市中で火付け強盗など民間人を巻き込むテロ活動した薩摩藩に対し、幕府の命で薩摩藩邸焼き討ちを実行しました。その後、王政復古で幕府側と薩長の立場が逆転すると、今度は長州藩と薩摩藩が会津藩と庄内藩を朝敵として藩主の首を差し出すよう要求してきたのです。会津藩・庄内藩の征討を命ぜられた東北諸藩は両藩に深く同情し、また東北勢の同士討ちを嫌って、会津藩庄内藩の赦免嘆願を行う一方、奥羽列藩同盟を結成しました。その後長岡藩はじめ越後諸藩が加わり奥羽越列藩同盟となって結束を強めましたが（正確には嘆願の当事者である会津藩と庄内藩は列藩同盟に加わるわけにいかず、会庄同盟が結成されています）、赦免嘆願かなわず、ついに開戦にいたります。しかし、同盟といえど諸藩の中には温度差があり、次第に新政府側に寝返る藩も出てきて、同盟は瓦解していきます。米沢藩、仙台藩と盟主格２藩が降服すると、他の藩も次々に降服し、激戦の末会津藩が陥落すると庄内藩も降服して、戊辰戦争の東北のおける戦いは終結しました。</p>
<p><strong>長岡藩 vs 政府軍 ～北越戦争（1868年）</strong></p>
<p>　長岡藩家老・河井継之助は、明治新政府軍と奥羽列藩同盟の戦いに際し、武装中立を考えていました。しかし政府軍にこれを拒否され、これによって長岡藩は奥羽列藩同盟に参加、新政府軍の間に北陸戦争が開かれるに至りました。長岡藩は河井の指揮の下、ドイツから購入したガトリング砲をもって激しく抵抗し、新政府軍は多くの被害を出しましたが、ついに長岡城は陥落し、会津へ敗走することになりました。戦後は小林虎三郎が要職つき、三根山藩から寄贈された米百俵を「国が興るのも、街が栄えるのも、ことごとく人にある。食えないからこそ、学校を建て、人物を養成するのだ」と、その売却益を学校教育に当てたことで有名です。</p>
<p><strong>会津藩 vs 政府軍 ～会津戦争（1868年）</strong></p>
<p>　会津松平家初代・保科正之は２代将軍秀忠の子で、異母兄である３代将軍家光にたいそう可愛がられました。家光は死に臨み、徳川宗家を頼むと正之に言い残したことから、正之は『会津家訓十五箇条』を定め、その第一条には「会津藩たるは将軍家を守護すべき存在であり、藩主が裏切るようなことがあれば家臣は従ってはならない。」と記して代々伝えます。以来、会津藩この遺訓を忠実に守り、幕末にはその忠信ゆえに京都守護職を任せられました。実は、当時会津藩財政は窮乏を極めており、藩主・松平容保は当初就任を断っていましたが、会津家訓を引き合いに出されるにいたって遂に承諾したといわれます。この時、君臣は「これで会津藩は滅びる」と慟哭したといいます。</p>
<p>　会津戦争はご存じのように熾烈を極めます。会津軍は多くの戦死者を出しながら奮闘しますが、次第に同盟諸藩の降服が相次ぎ、孤立した会津軍はついに降伏します。その後、長州派が担当した会津藩の処分は苛烈で、会津23万石から陸奥斗南藩（下北半島）３万石に転封、おびただしい戦死者の遺体は埋葬を許さず、そのため鳥獣に貪られ腐敗にまかされる凄惨な有り様でした。埋葬が許可されたのは実に５ヶ月後だったといいます。そのため、会津地方の人々の薩長に対する恨みは深く、長くわだかまりを残したといいます。</p>
<p><strong>西郷南洲先生遺訓</strong></p>
<p>　一方、庄内藩は最後まで連戦連勝でしたが、会津陥落の報を聞き、勝ったまま開城しました。庄内藩の戦後処理を担当したのは薩摩の西郷隆盛で、西郷は庄内藩の武士が誇りを失わぬよう帯刀を許し、逆に進駐する政府軍には帯刀を許さず、寛大な処分を下しました。厳しい処罰が課せられるものだと覚悟していた庄内藩士は西郷の度量に敬服し、敵将である西郷を敬愛するようになりました。その後、藩主・酒井忠篤は藩士70名とともに鹿児島に西郷を訪ねて教えを請い（1870年,明治3年）、庄内藩士はその教えを「西郷南洲爺遺訓」としてまとめ、世に広めました。その冒頭は以下のような言葉で始まります。</p>
<p>一　廟堂に立ちて大政を為すは天道を行ふものなれば、些とも私を挟みては済まぬもの也。いかにも心を公平に操り、正道を踏み、広く賢人を選挙し、能く其職に任ふる人を挙げて政柄を執らしむるは、即ち天意也。夫れゆゑ真に賢人と認むる以上は直に我が職を譲る程ならでは叶はぬものぞ。故に何程国家に勲労有り共、其職に任へぬ人を官職を以て賞するは善からぬことの第一也。官は其人を選びて之を授け、功有る者には俸禄を以て賞し、之を愛し置くものぞと申さるるに付、然らば尚書仲　之誥に「徳懋んなるは官を懋んにし、功懋んなるは賞を懋んにす」と之れ有り、徳と官と相配し、功と賞と相対するは此の義にて候ひしやと請問せしに、翁欣然として、其通りぞと申されき。</p>
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<p>　西南戦争（1877年,明治10年）の際には庄内藩士も薩摩軍に加わりともに戦い散ったといいます。そのような縁で、庄内には南州神社があります。ちなみに、現代の論客である渡部昇一氏と佐高信氏はともに庄内出身で、ともに西郷論を書いています。</p>
<p>　奥羽各藩はそれぞれ過酷な転封・減封を受け罰金を科せられました。居城は弘前城と久保田城（秋田城）の他は、みな取り壊されました。奥羽越列藩同盟の盟主仙台藩もまた青葉城を焼き払われ、伊達政宗晩年の居城であった若林城は取り壊されたうえ宮城刑務所が建てられるという屈辱を与えられました。また、伊達藩家老６人中４人が死罪となるなど、藩政は大きく揺らぎ、困窮した家臣団は北海道に大量に移住しました。</p>
<p>　長州閥の会津に対する処遇と西郷の庄内に対する処遇とでは、その品性度量が全く違いますし、それによって敗者が抱く念も全く違うものになってきます。西郷の姿は武士のそれですが、長州の姿勢には武士道を感じません。長州の背後には今でいう国際金融資本の影があったという話がありますが、なにか関係があるのでしょうか。後に明治新政府と袂を分かつことになる西郷の遺訓には、このような一節も見られます。</p>
<p>四　万民の上に位する者、己れを慎み、品行を正しくし、驕奢を戒め、節倹を勉め、職事に勤労して人民の標準となり、下民其の勤労を気の毒に思ふ様ならでは、政令は行はれ難し。然るに草創始に立ちながら、家屋を飾り、衣服を文り、美妾を抱へ、蓄財を謀りなば、維新の功業は遂げられ間敷也。今と成りては、戊辰の義戦も偏へに私を営みたる姿に成り行き、天下に対し戦死者に対して面目無きぞとて、頻りに涙を催されける。</p>
<h3>「白河以北一山百文」</h3>
<p>　廃藩置県によって東北の各藩も幾度かの統廃合を経て現在の県に落ち着きます（1876年,明治9年）。新潟県は長岡ではなく新潟に、福島県は会津ではなく福島に、山形県は庄内ではなく山形に、青森県は弘前ではなく青森に県庁が置かれましたが、これは懲罰的な意味合いと新政府に遺恨を持つ東北の力を削ぐ意図があったのではないかという見方があります。加えて、戊辰戦争の戦後処理による貧困化によってテクノクラートであった士族階級が流出したことや、明治政府の施策も東北を飛び越え北海道の開拓に力を入れ、その後も台湾、朝鮮、大陸と拡大したこともあって、東北地方は大きく取り残されました。人口を支えられるだけの有効な経済が育たなかったため、東北地方は貧困にあえぎながら食料と労働力の供給地となりました。明治以降、長州閥が幅をきかせる中しばらくは、東北諸藩の出身者はあからさまに「朝敵」と嘲られ、「白河以北一山百文」と侮蔑され、また人材登用でも不利を受けていたといいます。</p>
<p>　そんな中、東北は様々な人材を輩出しています。板東俘虜収容所所長・松江豊寿は会津藩士の子ですし、石原完爾は庄内藩士、甘粕正彦は米沢藩士、東条英機は盛岡藩士（出身は東京）の子息です。ちなみに連合艦隊司令長官・山本五十六は奥羽越列藩同盟長岡藩士の子であります。また、「武士道」で知られる新渡戸稲造は盛岡藩士の子です。岩手県は、原敬をはじめ、斎藤実、米内光政、鈴木善幸と、総理大臣を輩出したところでもあります。原は、戊辰戦争殉難者50年祭において「戊辰戦役は政見の異同のみ」とした祭文を読み、賊軍・朝敵の汚名を雪ぎましたが、それまで50年の歳月を要します。</p>
<p>　また東北は江戸時代にも安藤昌益、平田篤胤、佐藤信淵、高野長英、大槻玄沢といった学者・思想家が生まれ、明治以降も斎藤茂吉、志賀直哉、石川啄木、宮沢賢治、太宰治、小林多喜二、あるいは大川周明といった左右硬軟さまざまな文人・思想家が出て来ましたし、現在もまた前述の渡部・佐高両氏をはじめ、小室直樹、井上ひさし、鈴木邦男、瀬戸弘幸といった各氏がそれぞれの立場で活動しております。</p>
<h2>東北人の底に流れるメンタリティ</h2>
<h3>被征服の歴史、非征服の歴史</h3>
<p>　東北の戦いの歴史は、互いの勢力争いはあるものの、対中央政権ということでみますと、もっぱら抵抗の歴史だったように見えます。逆に東北から中央を目指して侵攻するということはありません。この被征服の歴史というのは東北人のメンタリティになにかしらの影響を与えたでしょうか。敗れしもの、虐げられしものとしての怒りや反骨、恨み節、あるいは妬みといったものもありましょう。しかしこうした情緒には個人の歴史が反映されてくる場合も少なくないので、それをもって平準化された東北の心情というには注意が必要です。とはいえ、遅れた地域、田舎者といった劣等感や、閉鎖性や排他性といった要素が多かれ少なかれあることは否めないような気がします。</p>
<h3>理想郷への憧憬</h3>
<p>　私は、松江豊寿の"バルトの楽園"、宮沢賢治のイーハトーヴ、石原完爾の満州国の話を聞きますと、理想郷への憧憬といったような、どこかファンタジックなセンチメンタリズムを感じます。井上ひさし氏の「ひょっこりひょうたん島」もそうかな。もしかしたら東北人には失われた縄文の世界を理想化し懐かしみつつ、理想郷を希求する気持ちがあるのかもしれません。</p>
<h3>縄文アニミズム</h3>
<p>　遠野物語で東北の民俗学に光を当てたのは柳田國男ですし、東北に縄文のパッションを再発見したのは岡本太郎でした。獅子踊り（鹿踊り）、ナマハゲ、マタギ...、東北はその底流に森と大地に神をみるアニミズム、自然とともに生きる縄文の文化を抱えているように思います。縄文アニミズムは日本の根底にも流れており、それが神道のベースとなって、支那思想・仏教・西洋思想など様々な文明を包含してゆく溶媒となったのではなかろうかと想像いたします。</p>
<p>　東北は原日本的な縄文の香りを残しますが、どこか北方アジア～コーカサス系の要素も感じます。青森・秋田方面には色白でグリーンの瞳をしている人がたまにいますよ。私自身はいくらか縄文寄りかなと思いますが、耳垢はカサカサです。とはいうものの、東北も長い間にすっかり日本と同化しましたので、お正月には神社に初詣に行きますし、お盆には墓参りをします。クリスマスには街路樹が光ります（東北にはキリストの墓があるくらいですからね）。いまさら被征服者の歴史を強調して反目しようとも思いませんし、まして"差別"に利用されるのもゴメンです。私は、日本人としてアイデンティティを感じるとともに、縄文人にシンパシーを感じますし、縄文の人々が長く暮らした東北の風土を内心誇らしく思っています。</p>
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                <category domain="http://www.sixapart.com/ns/types#category">高橋祐助</category>
            
            
            <pubDate>Wed, 30 Apr 2008 10:00:00 +0900</pubDate>
        </item>
        
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