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枯渇する石油、蘇る寄生虫

戦後生まれにとっては寄生虫が体内にいるなんて異常なことで、何かに感染したなんていうと「どんだけ不潔やねん」とか「海外で変なことしたんちゃうか」と思われるだろう。 寄生虫は養殖されていないサーモンや火をしっかり通さない豚肉、生野菜に卵がついていて人体に入る。恥ずかしいことに私は大人になるまで天然の鮭で寿司や刺身は食べられないと知らなかった。今ではノルウェー産のサーモンを見る度に「寄生虫がいるからいくら日本に天然の鮭がいるからって食べれないんだぞ!」という話を思い出す。あと内モンゴルから来た友人がナマモノ大好きの私に「生」は絶対に食べないと言っていたのを思い出す。

今では自分以外の生命体が自分の中で動き回るエイリアンさながらの状況に遭遇することはめったにない。ところが戦前の日本人は70%以上が寄生虫などに感染していたというのだから驚きだ。で、戦後に0.2%まで感染率を落とした徹底ぶりも見事なものだと思った。しかし 寄生虫の存在に苦しめられた日本人が自発的に対策をとったわけではなく、敗戦後にやってきたアメリカ人は生野菜をサラダで食べるので日本の虫付きの自然農法に耐えられなかったのが撲滅運動の発端だった。おかげでそれまでの人糞を使った有機肥料は禁止され化学肥料を使わなければならなくなった。石油に頼りすぎた農業は今日本を苦しめているが、寄生虫が原因の病気になる確率はうんと減った。実際に寄生虫を研究してきた医学博士の藤田紘一郎氏によると近年は日本で寄生虫が全然見つからないそうだ(虫も住まない土地というのもちょっと怖い)。

前までは我が子に有機栽培野菜を!と思うお母さんが流行の自然食ブームで「野菜をよく洗う」「幼児の食べ物にしっかり火を通す」「帰ってきたら手洗い」をせずにひたすら食べさせ続けたら子供が苦しみだして駆虫剤を飲ませるとカイチュウが山ほど出て来たということもあったらしい。虫が食べるほど安全でおいしい野菜に虫は卵を産む。だから自然を侮ってはいけない。石油枯渇で化学肥料の減少と自然や健康ブームで日本は今戦前の体制に戻ろうとしている。ということは寄生虫付きのお野菜との生活がまたまた始まるのか?「キャベツと言えば青虫!」の世代には平気かもしれないが、きゅうりは真っ直ぐ、完全に土のついてない野菜が当たり前の今時の子供やママさんにとっては「ギャー」ってな感じだろう。

目黒寄生虫館

[世界でたったひとつの寄生虫の博物館、ミュージアムショップのオリジナルグッズがおもしろい。]

しかし本当に「虫」はいない方がいいのだろうか?寄生虫はそんな極悪ではないことも知っておかなければならない。寄生虫は寄生しなければ生きていけないのだから人体を即消滅させるような毒虫でもなければ住まわせてもらってる分働くカイチュウもいる。実際藤田紘一郎先生はわざわざ自分で感染して回虫と仲良く共存していた。

まず、戦前の寄生虫を腹で飼ってた世代から現代に断然多くなった花粉症や様々なアレルギーはカイチュウがお腹に住んでいるとおさまるそうだ。このことに関しては詳しくは寄生虫学やウンコで有名な藤田紘一郎先生の著書等で確認して欲しい。カイチュウは成長するために食べたものを横取りするので痩せるというサナダ虫ダイエットというのもあった。寄生虫の感染がアレルギー疾患の発症を抑えるとしたらアトピー性皮膚炎や花粉症、ぜんそくで苦しむ人々が治療法として早く確立して欲しいものだ。もしかしたらメタボも減るかもしれない。このまま石油が枯渇して(寄生虫達が絶滅してなければ)日本の農業が輸入野菜や化学肥料から糞尿を使った農法なれば毎年花粉症で苦しむ人が少なくなるかもしれない。

とはいえカイチュウがお腹に2匹くらいなら問題ないだろうが何十匹が共生することはできない、そうなると腸を食い破ったり臓器に侵入して炎症起こしたりする輩が出て来る。戦前は国民病の一つで感染率は高いとはいえ、定期的に虫退治の対策はしていた。藤田先生が小学生の頃は年に3回小学校で「カイチュウ駆除デー」があったそうだ。苦い海人草をぐつぐつ煮て飲むそうだ。飲んだ子供は口から回虫を吐いたり、肛門から引っ張り出したりして教室に積まれるそうだ。家でも虫下しをしていたのだろう、化学肥料の枯渇による自然食復活が寄生虫の復活につながる。エコやロハスになって石油を使わない生活が来るということはこういう心配もあるなと思った。それでも虫下しさえ定期的にすれば酷い花粉症やぜんそくやアトピーで苦しまなくて済むと思えばそちらの方がいい人も多いだろう。

戦後寄生虫感染が激減し、ほとんど完璧な衛生環境を持った国となった日本でこの分野の研究や治療は廃れてしまったようだ。たとえ回虫に感染して胃腸に虫がつまって痛くなって病院に行っても、カイチュウなど見たこともないお医者さんは「食あたりか?風邪か?」と診断する。その知識のあるお医者さんを増やさないとこれからカイチュウ患者がどっと出るかもしれない。何しろ患者も医者も知らない症状なのだから「ある朝トイレでお尻がもぞもぞすると思ったら肛門から白いテープが30cm出てました。」という状況にパニックになるかもしれない。医者と薬品の準備はしておいて欲しいなぁと思う。「虫下し飲まねば!」と早期発見、判断できれば大事にはならずにアレルギーも出ない良い共生の道を歩けるだろう。

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