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バルトの二国における暴動とその顛末

2009年1月の中旬から、バルト三国のうちのリトアニア、ラトビアで続けて政治的な暴動が起こったことはあまり日本では報道されなかった。しかし、昨年度からの米国発端の金融危機がきっかけとなった景気の急降下はヨーロッパでも比較的東側、元の共産主義圏でも大きな影響を受けたようだ。

リトアニアもラトビアも国土の大きさも経済的規模も非常に小さいが、旧ソ連圏では比較的独立後に経済がうまくいっていた方に入る国々である。そして、ロシアの影響力が小さくなってからどちらかというと現地にいるロシア人住民をなにかにつけて「差別している」とロシアの報道機関は常に批判的であった。だが、実際にはソ連時代に無理やりロシア人を大量入植させた結果、独立後もロシアに戻らずに居残った人たちが、現地人から昔の恨みを晴らされているというのが実態といえるのかもしれない。

ところで話を現在の経済問題に戻すと、ロシアでも日に日に経済の状況は悪くなってきているし、資源価格も以前のように安定高値ではなくなってきている。しかし、今のところバルトの二国のような大規模に結束した暴動は起きていない。

しかしバルトの二国では最近激しい暴動が起きた。まずラトビアの首都リガでは、労働組合などの呼びかけで国民が大規模な集会を開き、経済危機への政府の対応に対する反対を唱える平和的な催した。ところがその翌日辺りから、今度は議会の建物を取り巻いて数百人の若者が反政府スローガンを唱えるなどしだした。そのうちの過激派が暴徒となって建物内に押し入ろうとして、警官隊と衝突し逮捕者が出る大騒動になった。

それから遅れて数日後、今度はリトアニアの首都ビリニュスでも同様の騒動が起こった。最初は平和的集会に集まった7千人ほどの政府の経済危機対策に反対する市民であったらしい。しかし、その後に改めて国会の周辺に集まった若者4百人ほどが暴徒化。

最初は卵や空き瓶を投げる程度だったようだが、やがて火炎瓶を投げるもの、建物内に強行突破しようとするものが現われて、政府もこれを鎮圧しなければどうにもならない事態へと発展。その結果、この暴動で約50名のけが人が出て、80名が逮捕拘束された。また、この騒動によって建物に与えた被害修復費用に77万ドルほどかかるという皮肉な結果となった。

リトアニアの財政はただでさえ、今年は赤字なのにこの負担はかなり重くのしかかることだろう。
まだロシアでこれほどまでの規模の暴動は起こってはいないが、既にロシア人労働者の解雇は着々と進んでいるらしい。一旦豊かになった後に起こる経済崩壊の痛手がどの程度のものか、今のロシア政府もまだ考えが及んでいないのではないか。

ロシア国内の労働組合の運営するサイトのニュースなどを見ていると、組合の中心的活動家は常に政府からマークされ、暴行を受けるなど直接的に弾圧を受けているようだ。しかし、最近は労働組合側もこれに屈せず、粘り強くロシア全土に組織を拡大して情報交換しながら活動を続けており、今回のバルトの二国での暴動にも敏感に反応している。

特に面白かったのが、ソ連崩壊後にバルトの国々で虐げられてきたロシア語を話す現地在住のロシア人が、現地のバルトの人々と同様に経済危機政策反対した。そのため暴動の現場での若者たちの叫ぶスローガンの中には、現地語と同様にロシア語も聞かれたそうである。このような共闘は珍しいことらしい。

不思議な話だが、元共産主義国の親玉だったロシアの方が労働組合に自由がなく、弾圧されて声があげられないのに、バルトの国々の方が活動しやすいというのもいかがなものか。あれだけ、「労働者よ団結せよ!」だとか「労働者=尊い存在」と刷り込み続けてきたソ連時代の嘘偽りが今更ながら、ただただ空しく思い出されるのであった。

重要ニュース:ロシア、民間債務の繰り延べ要請へ 外国銀と交渉、36兆円 (日経新聞)

参考サイト非対称的贈与システム

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