昔々、山奥の谷に100人規模の集落がありました。村人達は朝から夕方まで働き、自然の恵みにより、のんびり暮らしていました。様々な問題が発生すると、長老達が集まり、合議により何らかの意思決定がなされました。このように素朴な集団の場合、智恵と経験が豊富な長老達が指導者となっていました。豊かな自然の恵みで飢えることがなければ、年功序列でもあまり問題がなさそうです。
台風や洪水、干ばつ、火山の噴火など自然災害や、戦争によって、収穫が減ってしまう事態が発生した場合、長老達でも解決できない問題が出てきます。深刻な内部対立も起きるケースもあります。集団に対する脅威をまとめると下図のようになります。
脅威に対して、長老達では解決できない場合、脅威の種類により、別々の解決策がとられます。(武力により指導者になるケース)外敵が村を襲った場合、集団で最も力の強い若者が、外敵から防衛するのに成功し、村の指導者になります。村を守るために指導者が交代しました。このように、外部環境の変化に合わせて、指導者に求められる資質は変化していきます。
時代は下り、21世紀。世界各国の様子を見ると、指導者が能力に関係なく年功序列で決まるという国は見当たりません。アメリカや西欧諸国のように金のかかる選挙で元首を決める国。イスラム諸国のように聖職者が大きな力を持っている国。支那や北朝鮮のように軍隊の地位が高い国。内乱で混乱している国。様々です。世界史や日本史のページをめくると、以下のパターンで支配者が変化しています。
まず、最初に紹介した原始段階では、長老が指導者です。自分達の集団が外敵から防衛するため武力が必要となり、「武人の時代」となります。次に、宗教指導者が力を持つようになり、「知識人の時代」となります。知識人の時代は戦争もない時代であるため、富が蓄積されます。そうなると富の力を背景に富裕者が台頭し、「富裕者の時代」となります。富裕者の時代の末期、支配者が腐敗し堕落する一方、大多数の労働者が食うに困るようになるなど格差が絶望的に広がり、最終的に社会革命となります。社会革命の混乱を収めるためには武人のリーダーが登場し、再び「武人の時代」に戻ります。このような社会循環をまとめたのが、ラビ・バトラ氏の師匠にあたる、プラバート・ランジャーン・サーカー(1921-1990)です。支配者の特徴には、武力を背景とした武人、知識や法律、宗教を背景とする知識人、富を背景とする富裕人の3種類あり、それぞれ順番に支配者に君臨しています。大多数を占める労働者は支配者につきません。サーカの思想は、弟子のラビ・バトラ氏により多くの本にまとめられています。どの本にも書かれているのは、「武人の時代」→「知識人の時代」→「富裕者の時代」→「社会革命」→「武人の時代」というサイクルです。この社会循環は日本やアメリカ、西欧諸国、ロシアなどで確認できるが、それぞれの時代は長くもなり短くもなります。
橘みゆき 拝



