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太陽の恵みを活かす



キラキラ輝く太陽はロタ島の宝!
さんさんと降り注ぐ陽の光に心が解放されて気持が良いのは、太陽が我々の命をはぐくんでくれていると、無意識に感じているからだろうか。太陽の光や熱によって、風がそよぎ、大気や海や大地が暖められ、植物や動物たちが大きく育つ。そんな太陽の恵みを受けて育った旨い食物について、前回の連載コラム4「楽園ロタ島:清水と旨い食物」ではご紹介し、「食の自立」を目指そうと提案した。
そしてそれが「太陽エネルギーの有効利用」と「脱石油」につながるというお話をした。なにやら「風が吹けば桶屋が儲かる」的な展開と感じられたであろうか? そこで、今回、エネルギーについてさらに詳しくご説明しよう。

少々長くなるので、前後2回に分けることにする。

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1.太陽エネルギーとは

そもそも、太陽エネルギーとは何なのか?

地球から約1億5千万キロメートル(149,600,000km)離れた太陽系の中心にある恒星が太陽だ()。巨大な水素ガスの塊で、その重さのために高圧高温になり核融合(注1)を起こしている。太陽は核融合の際に膨大なエネルギーを出し(注2)、それが光や電磁波などの形で宇宙へ放射され、地球へも降り注ぐ(注3)。これが太陽エネルギーだ。



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2.太陽エネルギーは十分にあるのか?

太陽エネルギーは十分にはないと、一般的には信じられているようだ。しかし、これは全くの誤解だ。地表の日射量(注4)からのおおまかな計算では、全世界の人類が消費するエネルギーの約1万倍の太陽エネルギーが地表に降り注いでいることになる()(注5)。

*大きな水色の長方形を地球に降り注ぐ全太陽エネルギーとすると、人類が使うエネルギーはわずか左端の赤い部分でしかない。



それでは、日本ではどうか?
日本は国土が狭く、人口密度が高く、豊かな国なので多くのエネルギーを消費する。それでも、日本が消費するエネルギーの約100倍の太陽エネルギーが日本国土に降り注いでいるのだ()(注6)。逆に言うと、日本の消費エネルギーは国土に降り注ぐ太陽エネルギーの1/100(1%)にしかならない。これは日本近海に降り注ぐ太陽エネルギーを計算に入れていない。しかし、日本人は魚介類など海洋資源(太陽エネルギーの形が変わった物)を沢山利用しているので、実際にはもっと多く、約1,000倍の太陽エネルギーがあることになるだろう。

*大きな水色の長方形を日本国内に降り注ぐ全太陽エネルギーとすると、日本人が使うエネルギーはわずか左端の赤い部分でしかない。



これをロタ島で計算すると、島で消費するエネルギーのなんと約2万倍(!)の太陽エネルギーが島内に降り注いでいることになる()(注7)。

*大きな水色の長方形をロタ島に降り注ぐ全太陽エネルギーとすると、ロタ島民が使うエネルギーはわずか左端の赤い部分(ほとんど見えないが...)でしかない。



少なくとも日射量は十分にあることが分かった。

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3.太陽光発電だけで考えると...

日射量が十分なら、それで問題が解決と言うわけではない。

日本の場合、必要なエネルギー量を確保するためには、国内に降り注ぐ太陽エネルギーの約1%が必要となる。
現在の太陽電池の実質的なエネルギー変換効率が約10%ほどなので(注8)、太陽エネルギーを太陽光発電だけで利用するなら、国土面積の10%を太陽電池でカバーすれば、国内に降り注ぐ全太陽エネルギーの1%(10%の10%は1%)を利用できる計算になる。しかし、国土の10%の面積を太陽電池で覆い尽くすことは不可能だ。そこで、「太陽エネルギーは十分にはない」という結論になるわけだ。

ところが、太陽熱温水器のエネルギー効率は最高80%、一般的な製品でも40%が普通だ(注9)。つまり、太陽電池の4倍から8倍も効率が良い(写真)。例えば太陽電池の5倍のエネルギー変換効率を持つ太陽熱温水器で太陽エネルギーを利用するなら、日本の2%の面積をカバーすれば良いことになる。



鋭い読者はお気付きになったと思うが、太陽エネルギーの利用を太陽光発電だけで考えては、大きな落とし穴にはまることになるのだ。

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4.太陽エネルギーは形を変える

太陽エネルギーは日射を利用しなければ消えてしまうと思われがちだ。本当だろうか? 実は、光や熱を直接利用しないと、太陽エネルギーは形を変えるのだ。

太陽エネルギーは太陽から光(可視光線)の形で地球へやって来る。これが「太陽光」。物に太陽光があたると熱になる。これが「太陽熱」。陽に当たると熱いのはそのせいだ。
この2つを「直接太陽エネルギー」と言う。

熱は、さらに地表や大気や海水を暖める。もちろん、我々をも暖めてくれる。つまり、太陽熱が他のものに伝わったわけだ。雪などの低温を利用する冷熱も含めて(注10)、これらを「間接熱」と言う。一部が暖められた大気や海水は対流を起こし、風や海流となる。これが「風力」などだ。風は波を起こす。これが「波力」だ。海面が暖められると水が蒸発して雲となり山に雨を降らす。それが川となって再び海へ戻る。これが「水力」だ。

一方、太陽の光で植物は光合成をして成長する。だから植物は太陽エネルギーの形が変わって貯蓄されたもの。さらに植物を食べて成長する草食動物も、その動物を食べる肉食動物も、太陽エネルギーの形が変わって貯蓄されたものと言える。これらを「バイオマス(生物資源)」と呼ぶ。生物の塊という意味だ。
これらをまとめて「間接太陽エネルギー」と言う。



つまり、太陽エネルギーとは、これら全てを合わせたもののこと。故に、その一部の利用だけを考えたのでは、本当の太陽エネルギーの有効利用とは言えない。

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5.太陽エネルギーを有効利用するには

エネルギー利用には、自然の摂理によるいくつかの原則がある。太陽エネルギーの有効利用に際しても、この原則を守らないとうまくいかない。

1)全ての形の太陽エネルギーを利用する
前項で太陽エネルギーとは様々な形があることをお話した。太陽エネルギーの有効利用とは、それらの全ての形を効率良く利用することだ。太陽光発電と風力発電だけに拘ってはならない。つまり、太陽光、太陽熱、間接熱、風力、波力、水力、バイオマスなどの全ての形を利用したい。
実は、バイオマスの有効利用とは、我々が忘れがちな「農林水産業の健全化」ことなのだ(注11)。これをおざなりにして、太陽エネルギーの有効利用はあり得ないと断言しておきたい。

2)太陽エネルギーは分散エネルギーなので分散して利用する
太陽エネルギーは低密度で広く分散したエネルギーだ。これは、我々が使い慣れた(と言ってもたかだか200年、本格的には60年程度の話だが...)石油などの集中エネルギーとは正反対の性格と言える。

石油など集中エネルギーは一ヶ所で集中して利用するのが正しい。スケールメリット(注12)も生まれ、エネルギー効率も経済効率も上がるからだ(注13)。反対に、太陽エネルギーなど分散エネルギーを一ヶ所で集中的に捉まえてはならない。それは集中エネルギーに対する思考法なのだ。海岸や山の尾根などに、大型の風車を集中的にずらーっと並べて発電するなど、その典型的なやり方と言えようか(写真)。僻地でのインフラ整備と維持は大変であり高い。また、風景を台無しにし騒音や振動も大きく、生き物への悪影響は大きい。特に、渡り鳥やコウモリなどへの被害は甚大だ(バードストライクと言う)。



3)エネルギーが必要な場所で得る:エネルギー輸送しない
エネルギーは輸送すると大きなロス(損失)が出る。輸送のためのインフラ設備にもエネルギーとお金が必要となる上に、せっかくのエネルギーが輸送途中で逃げて行ってしまうのだ。これは避けたい。幸い、太陽エネルギーはどこにでもあるエネルギーだ。エネルギーを必要としている場所かその近くで獲得すれば、ロスの大きなエネルギー輸送を避けることができる。

例えば風力利用では、大型の風車を一ヶ所に集めて発電し、長い送電線で消費地に送るという従来のやり方は問題が多い。遠からず破綻するだろう。それは太陽エネルギーが分散性であるという自然の摂理に反するからだ。エネルギー利用の原則からは各家庭などエネルギーを必要としている場所で、小規模な風車(それも風力を動力利用するために縦軸型風車)を設置するのが理想的と言えよう()。



4)分散エネルギーは安いローテクを広く使う
集中エネルギーには大型で高額のハイテク装置の集中投入が効率的だが、分散エネルギーにはうまくいかない。経済効率が落ちるからだ。ここでは小型で低額のローテク技術をできるだけ広く導入することが求められる(写真)(注14)。



5)できるだけ元の形のまま利用する:エネルギー変換しない
一言でエネルギーと言うが、実はエネルギーには色々な形がある(注15)。光、熱、電気、化学、そして運動エネルギーなどがその代表だ。そして、エネルギーは形を変える(エネルギー変換と言う)と、ロス(損失)が大きいのだ。つまり、我々の手から逃げてしまう部分が出る。
そこで、できるだけ得られたままの形で利用することを考えたい。太陽光は明りとして、太陽熱は暖めるために、風力・水力は動力源として、バイオマスである木材や草は、建築材や断熱材として......などだ。家の窓を大きくとって、太陽光を取り込むと、光と熱の両方を利用できる。この手法は寒冷地では大変有効だ(写真)。



このエネルギー変換をしないという原則は、エネルギーの貯蓄にも当てはまる。
何でもかんでも得られたエネルギーを電気に換え(発電し)、全てをバッテリー(化学エネルギー)に貯蓄する現在のやり方は、エネルギー利用の原則からは初歩的なミスを犯しているとも言えるのだ。それはエネルギー変換の度に、元々持っていたエネルギーの半分以上(バッテリーに貯蓄する場合は70%も)を失ってしまうからだ(注16)。

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連載コラム6「楽園ロタ島:太陽の恵みを活かす(後)」へつづく。


2006年10月12日、スイス近自然学研究所にて


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注1)核融合
原子核融合のこと。高圧高温の条件下で水素、重水素、トリチウムなど軽い原子核どうしが融合し、より重いヘリウムの原子核を作ること。その際に膨大なエネルギーを放出する。これが核融合エネルギーだ。
それに対して、ウランやプルトニウムなどの重くて放射性を持つ原子核が、2つ以上の原子核に分裂することを核分裂という。この場合も原子核が持っていた膨大なエネルギーを解放する。
太陽では水素がヘリウムになる原子核融合が起こっており、その際に出る膨大なエネルギーは、光や電磁波として宇宙空間に放射される。その一部が地球へも降り注ぎ、それを我々は太陽エネルギーと呼ぶ。


注2)膨大なエネルギーを出し
1g(グラム)の物質がエネルギーに変換されると、100W(ワット)の電球3万個を1年間点灯し続けることができる膨大なエネルギー量となる。


注3)光や電磁波の形で......地球へも降り注ぐ
厳密には光も電磁波の一種。太陽からのエネルギーのほとんどは、光、それも可視光(我々が目で見て光と感じるもの)の形で地球へやって来る。


注4)地表の日射量
地表の同じ面積での日射量は緯度によって異なる。太陽に対する地表面の角度が赤道直下と南極北極とでは大きく異なるからだ()。当然、赤道直下の方が地表の日射量は大きい。また、太陽の角度は時間によってどんどん変わるし、季節によっても異なるので、地表の日射量もそれにつれて変わる。故に、1年間の平均を取らないといけない。さらに、快晴の日もあれば嵐の日もあり、それは地域によって大きく異なる。そんなわけで、正確な計算は不可能なのだが、日本各地の気象台が発表している地表の日射量の実測値を使って、おおまかな計算は可能だ。




注5)約1万倍の太陽エネルギーが地表に降り注いでいる
世界の太陽エネルギーの年間照射量は、9,220×1017kcal。
世界の年間エネルギー消費量は、1.09×1017kcal。
そこで、この割合を出すと、9,220÷1.09≒10,000
つまり、人類が使うエネルギー量の約1万倍の太陽エネルギーが地表に降り注いでいることになる。


注6)約100倍の太陽エネルギーが日本国土に降り注ぐ
日本のおおよその日射量は、1m2当たり1年間で約1×106kcal。
「日本の面積:377,800km2=377,800×106m2」なので日本全体では:
1×106kcal/m2×377,800×106m2=377.8×1015kcal
日本全国でのエネルギー消費量は(資源エネルギー庁 2000年度による)、
3.759×1015kcal。
これらの比率を求めると、377.8÷3.759≒100となる。これは太陽エネルギーが日本が使うエネルギー量の約100倍あるという意味。ただし、これは日本列島周辺の海洋へ降り注ぐ太陽エネルギーを含めていないので、実際にはさらに10倍ほどあるだろう。


注7)約2万倍の太陽エネルギーが島内に降り注いでいる
ロタ島内でのエネルギー消費量のデータがない。そこで、1人当たりのエネルギー消費量を世界平均値と仮定して計算した。


注8)太陽電池の実質的なエネルギー変換効率が約10%ほど
エネルギー変換効率とは、投入したエネルギーに対して得られるエネルギーの割合のこと。
実験室内の好条件下での効率は、最高20%に近づいている。ところが、実際にはそんな高級な太陽電池は使えないし、太陽電池の表面の汚れなどで条件が悪くなるので、実質的な効率は10%程度となる。


注9)太陽熱温水器の効率は最高80%、一般的な製品でも40%が普通
太陽熱で水を暖めるのが太陽熱温水器である。ここでは太陽熱が水へ伝わるだけなので、エネルギーの形が「熱」のまま変わらない。故に、温水器の断熱などによりエネルギー効率を上げることが容易だ。しかし、それは当然コストアップとなる。エネルギー効率が上がっても経済効率(投資効果)が落ちては、工業製品としては成立しない。そこで、これらがバランスするポイントを見つけることになる。
現在市場に出回っている太陽熱温水器のエネルギー効率は、真空パイプ式(二重のガラスパイプの間を真空にした構造)が70%に達するが、一般的には40%から50%の物が多い。つまり太陽エネルギーの40〜70%が水に取り込まれて水を暖めるということだ。どうやら、この辺りが工業製品として、エネルギー効率と経済効率がバランスするポイントのようだ。
太陽光発電のエネルギー効率が実質的には10%程度であることをお話した。エネルギーの形を変えない太陽熱温水器のエネルギー効率がいかに高いかが分かる。


注10)雪などの低温を利用する冷熱も含めて
物を暖めるのと冷やすのでは、方向が逆なだけで、どちらも熱の移動がある。雪や氷などで物を冷やすのは、物で雪や氷を暖めているとも言える。つまり、我々がどちらを利用しているかの問題で、熱の移動という意味からは同じことなのだ。


注11)バイオマスの有効利用とは、「農林水産業の健全化」のこと
農林水産業は、我々にとってタダである太陽の恵みを我々のマンパワー(人間の労働力)によって付加価値を付けて売るなりわいだ。本来、太陽エネルギーの有効利用以外の何物でもなかった農林水産業が、今、石油漬けになっている。これはどうしても見直しが必要だ。


注12)スケールメリット
集中して規模を大きくすることにより色々な効率が上がること。集中エネルギーを扱う場合、2基の火力発電所を1基に集めると、エネルギー効率が上がって経費は2倍より少なくなる。つまり経済効率も上がる。
しかし、分散エネルギーではこの考えは通用しない。2倍の太陽エネルギーが必要なら、2倍の面積が必要となり、エネルギー効率も経済効率も上がらない。逆に言えば、分散して小型化しても効率が落ちないというメリットがある。だからそれを最大限に利用するのが巧いやり方だ。つまり、太陽エネルギーの有効利用では小型分散化が良い。


注13)エネルギー効率も経済効率も上がる
経済効率とは、投資効果のこと。つまり、投資した額に対して、どれだけの効果が得られるのか。ここでは、エネルギー効率が上がることにより、投資効果が高まることを意味する。


注14)小型で低額のローテク技術をできるだけ広く
極端な話、水を入れた黒いビニール袋やペットボトルを日射に曝すだけでも温水が得られ、さらに殺菌効果もあるのだ。または、黒いホースを屋根に這わせて水をチョロチョロ流すだけでも簡単に温水が得られる。


注15)エネルギーには色々な形がある
光(正しくは電磁波や音響を含む波動エネルギー)、熱、電気、運動、位置、機械(バネやゼンマイ、さらに高圧や真空が持つエネルギー)、化学(石油やバイオマスや水素が持つエネルギー)、核など。運動、位置、機械エネルギーは性格が似ているので、まとめて力学的エネルギーと呼ぶ。この3つの間ではエネルギー変換してもロス(損失)がほとんど出ず、効率が落ちない。逆に言うと、他のエネルギーに形を変える(エネルギー変換する)とロスが大きい。ただし、どのエネルギーでも熱エネルギーへの変換ではロスがほとんど出ない。

どうやら、エネルギーには上下関係があるようだ。上位のエネルギーから下位のエネルギーへの変換ではロスが少なく、逆に、同位のエネルギーどうしや、下位のエネルギーから上位のエネルギーへの変換では大きなロスを覚悟しなくてはならない。ちなみに、上位は電気、中位は力学的と光と化学、下位は熱だ。核エネルギーは別格のようだ。



この点について詳しくお知りになりたい方は、私の著者仲間である永井俊哉氏のコラム「生命にとっての資源問題と環境問題」をお読みいただきたい。
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/nagai/post_44.html


注16)元々持っていたエネルギーの半分以上を失ってしまう
風力でポンプを回すことを考えてみよう。

*風力で発電してモーターを回す場合はどうか。
まず、風力発電時に効率約40%(60%を失うという意味)。その電気でモーターを回す際の効率が約90%(10%しか失わないという意味)。これらを合計すると、40%×90%=0.4×0.9=0.36、つまり36%。これは、元々風が持っていたエネルギーの64%を失うという意味だ。
*また、風力で発電してそれをバッテリーに溜め、その電力でモーターを回すとどうなるのか。まず、発電時に効率約40%(60%を失うという意味)。一般的な鉛バッテリーに溜めて利用する時に効率約30%(70%を失うという意味:予測)。電気モーターの効率が約90%(10%しか失わないという意味)。これらを合計すると、40%×30%×90%=0.4×0.3×0.9=0.108、つまりたったの11%にしかならない。これは、元々風が持っていたエネルギーの89%(ほとんど全てではないか!)を失ってしまうことを意味するのだ。

*それに対して、風力で直接ポンプを回すとどうか。(ただし、この場合、縦軸型風車でなくてはならない。)
風力もポンプも運動エネルギーなので、エネルギー変換がないので、効率90%は確保できよう。これは元々風が持っていたエネルギーのわずか10%しか失わないという意味だ。
*また、風力をメカバッテリー(重い石を持ち上げるなど)で貯蓄し、その位置エネルギーでポンプを回すとどうなるのか。風力をメカバッテリーへ貯蓄する際の効率が約90%。メカバッテリーから動力を取り出すのにやはり約90%。これらを合計すると、90%×90%=0.9×0.9=0.81、つまり、元々風が持っていたエネルギーの81%を利用でき、たった19%しか失わないのだ。


この発電するかしないかのエネルギー効率の差はドラスティック(モーレツ!)ではないか。自然の摂理に則したエネルギー利用の原則を守る場合と守らない場合の違いは、こんな大きな差になって現れるのだ。

PDF版



連載コラム5「楽園ロタ島:太陽の恵みを活かす(前)」からのつづきである。
十分にある太陽の恵みだが、あるだけではダメで、上手く利用したい。そこで今回は太陽エネルギーをどう利用したら良いのか、ロタ島にフォーカスしてお話しよう。

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6.ロタ島での水素エネルギー

ロタ島には太陽エネルギーが十分にある。しかし、その持続的有効利用のためには守らなければならないいくつかの原則がある。

前回お話したように、太陽エネルギー(分散性)の有効利用のためには、石油など(集中性)と同じやり方ではダメなのだ。つまり、頭の切り替えと、全く違うテクノロジー(科学技術)が必要となる。にもかかわらず、今まで通りの(従って石油のための)やり方で押し通そうとすると、いずれ破綻する。それは自然の摂理に反するからだ。

ロタ島は世界最先端のテクノロジーによる、水素をエネルギー・ベースとする「水素の島」を目指している(注17)。これはどういうことなのか?

ロタ島に無尽蔵の水素があるわけではない。と言うより、宇宙で最も多量にある水素だが、大気の上層部以外には、地球上では単体ではほとんど存在しないのだ。しかし、酸素と結合した水(H2O)や、炭素と結合した炭化水素化合物(CH、CH2、CH3などの高分子:動植物など有機物の体を作り、石油や天然ガスの主成分でもある)の形では沢山ある。そこで、何らかの方法で水素を造り出さなければならない。その場合、水素はエネルギー源と言うより、エネルギーを運ぶ「キャリア」であり、貯蓄する「サーバー」なのだ。現状では水素を石油などから造ったり、水の電気分解などから得るわけだ。最終的にはこの水素を太陽光・風力・水力・バイオマスなどの太陽エネルギー起源のエネルギーを利用して造り出したい。つまり、色々な形の太陽エネルギーを水素の中に化学エネルギーとして溜め込むわけだ。化学エネルギーは密度の高い集中エネルギーなので、我々が使い慣れた石油やガスなどと同様の使い方ができ、とても便利だ。

しかし、エネルギーの形を変える(太陽エネルギーから水素エネルギーへエネルギー変換する)とロス(損失)が避けられない。故に、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水・バイオマス(生物資源)などの太陽エネルギーを直接利用することをまず第一に考え、余剰分を水素へ貯蓄するようなシステムを構築したい。そうすれば、ロスを最小限にとどめることができる。

太陽エネルギーは水素ガスの塊である太陽での核融合エネルギーだ。その水素の核エネルギーを地球上で水素を使って運び溜める。これは筋の通った素晴らしいアイデアではないだろうか。

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7.「脱石油」の意味

現代社会でのひとつの理想は、フランス革命で標榜された「自由・平等・友愛」であろう(写真)。何かに依存している状態は不自由だ。現代の我々の生活はどっぷりと石油に漬かり、事実上石油に依存している。つまり自由ではない。また、石油は地球に偏在しており、それを持つ者と持たない者との格差は大きい。つまり不平等だ。さらに、石油を原因とした戦争や紛争が頻発していることはご承知の通り。友愛からはほど遠い。「脱石油」はそんな状態から脱し、「自由・平等・友愛」の実現をバックアップしてくれるはずだ。



石油の枯渇まで50年を切ったと言われる(注18)。石油と石油製品、さらには石油を使って作られる物や行為の価格は上がる一方だ。ロタ島では、100%輸入の重油で発電される電気料金が2006年8月から従来の2倍に値上げされた。そのため、多くの店舗では経費節約のためにエアコンも照明も切っているのが普通だ(写真)。



集中性という性質のために、エネルギーや資源として大変使いやすい石油だが、二酸化炭素(CO2)の排出問題などの環境負荷が大きい上に、間もなく使えなくなってしまうのでは致し方ない。できるだけ早く脱石油したい。

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8.脱石油はどう実現するのか?

では、脱石油のためには何をしたら良いのか?
まず、その場にあるエネルギーと資源を使おうではないか。その場にある物を使うことは、環境負荷が小さく、安く、そして新たな雇用を作り出せる可能性も大きい。色々な意味でメリットがあるのだ。
存在する物を徹底的に利用した上で、それでもエネルギーや資源が不足するなら、石油を使う。そんな姿勢で新たな利用システムを構築したい。(もちろん、島内にない石油を輸入するためには、観光などを含めて島内のニーズを越える生産を持つ何らかの産業が必要となる。)そうすれば、極端な石油依存から解放され、石油価格の上下に一喜一憂することもない。また、人類にとって有用な資源でもある石油の枯渇をずっと先へ延ばせるではないか。

その場にあるエネルギーと資源とは、再生エネルギー再生資源注19 )のことだ。「再生」とは使っても使っても新たに生じるという意味。再生エネルギーは、太陽エネルギーに地熱と潮汐を加えた物のことだが(注20)、実際には全再生エネルギーのうちの99.97%が太陽エネルギーだと言われる()(注21)。



つまり、火山地帯で地熱や温泉が豊富にある場所は例外として、一般的には太陽エネルギー起源のエネルギーである、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水・バイオマス(生物資源)などを徹底的に利用することが肝要だ。そして、これらの中でバイオマスと水は唯一の資源でもある。つまり形のある物質資源ということ。故に、バイオマスと水の資源としての持続的な有効利用を考えることが、とても重要だ。

太陽の恵みであるバイオマスは、我々が利用しなくても成長し朽ちていく。我々がバイオマスを利用しなければ、その分、石油の消費量がどこかで増えていると言える。つまり、バイオマスの徹底利用とは、石油の消費量を間接的に減らすことなのだ。

特に森林資源では、まず大きく繁った立ち木のままの利用を考えよう。特にロタ島のように暑い場所では、涼をもたらす緑陰としての利用はとても重要だ。そして、木々の繁る素晴らしい風景を楽しみ、安らぎや冒険の場として、酸素製造やCO2固定工場(!?)として、さらには生き物の住み処として利用する。



木々を伐採した後は、まず大きな丸太を建築に使う。そして、家具、道具、玩具、紙と、次第に小さく細かくして、同じ材木を何度も利用する。これをカスケード利用(段階的利用)と言う()。



丸太から紙まではリユース(物の再使用)を繰り返す。つまり、何度も使い回すのだ。1度リユースすれば木材資源が2倍、2度リユースすれば3倍、3度リユースすれば木材資源が4倍に増えたことと同じ意味となる。つまり、リユースによって実質的な資源の量をどんどん増やせ、同時に石油エネルギーの使用量を間接的に減らせるのだ。(実は、水も同様である。)
紙のリユースとは、使用済みオフィス用紙の裏側をもう一度メモなどの用途に使ったり、新聞紙を断熱材などに使うことだ。かつて、弁当箱を新聞紙で包んだのは、新聞紙の断熱効果を利用したリユースの典型だった(...はずだ!?)。

しかしながら、紙のリサイクル(資源の再生利用)は要注意だ。森林資源はどんどん再生する資源であり、そんな再生資源のリサイクル(多くのエネルギーを投入する)に対して、私は懐疑的だ。森林資源をカスケード利用する社会システムができれば自ずと縮小するだろう(注22)。最後は燃料として燃やすかコンポスト化して肥料として利用して、木材利用のワンサイクルを終える。



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9.脱石油とは「衣エネルギー資源の自立」のこと

これまでに、脱石油とは太陽エネルギーとバイオマス・水資源を持続的にしかも徹底的に利用することだとお話した。これは、言葉を換えれば、「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」のことだ。

つまり、ロタ島で目指すのはこの「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」だ。これらの要素をできるだけ島内で調達・生産・加工したい。やるだけやって、不足分を輸入する。少なくとも、輸入が止まっても日常生活に大きな支障が出ないレベルにまで持っていきたい。

そこで、ロタ島でまずやるべきなのは、太陽光・太陽熱・間接熱・風・水の持続的徹底利用とバイオマス(生物資源)の生産と獲得、つまり「農林水産業の見直し(狩猟も含む)」だ。



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10.バイオマス生産としての農林水産業

石油はエネルギーであると同時に資源でもある。つまり、物質としても利用することが可能なので、とても便利で有用だ。一方、太陽エネルギー起源のエネルギーの中では、バイオマスと水が唯一の物質資源である。つまり、この2つはエネルギーとしてだけではなく、資源としての持続的で徹底的な利用も考えたい()。ロタ島には本格的な川がないので、水は飲料水など、資源としての利用が主となる。



特にバイオマスの有効利用で大事なのは、農林水産業だ。農林水産業は太陽の恵みである(従ってタダの)バイオマス(農産物、森林、魚介類など)を我々のマンパワー(頭・手・肉体など人間の労働力)を使って付加価値を上げて売るなりわいだ。いや、元々はそうだった。いつの間にか我々は農林水産業に大量の石油を使っている。農薬、化学肥料、大型トラクター(写真)、大規模潅漑、大型漁船による遠洋漁業、生産物の長距離輸送、輸出入などがそれだ。



石油の投入を全くゼロにすることはできないし、またその必要もない。しかしながら、農林水産業の原点に戻ってゼロからの見直しをするなら(注23)、ムダな石油の投入をずいぶん減らせることに気付くだろう。

新しい農林水産業では、以下の基本原則を守りたい。

 1)太陽の恵み(太陽エネルギー)を最大限に利用する
 2)石油エネルギーと地下資源の投入はできるだけ抑える
 3)マンパワー(人間の労働力)で大きな付加価値を付ける
 4)余計な労働や経費の投入は避ける
 5)所得と利益を増やすために不要な支出を減らす
 6)売上と収入を増やすための生産増大は環境負荷と支出が増すのでダメ
 7)石油の枯渇する50年後の将来を見越したシナリオを考える
 8)生産者と消費者の幸せに結びつかなければダメ
 9)気持良いランドシャフト(素晴らしい景観など)に配慮する

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11.ロタ島の農林水産業を興す

極端なことを言えば、ロタ島にはちゃんとした農業も林業も漁業も存在しない(写真)。つまり、太陽の恵みであるバイオマスを有効利用していないと言えよう。石油依存からの自立を目指すなら、第一にこの点を見直したい。



まずどこで何が可能なのかをリサーチすることから始める。

 *農業が営める平地があるのか?
 *水は?
 *どんな作物が気候や土地に適しているのか?
 *島内のニーズ(島民の求める物)は?

 *林業に使える木々はあるのか?
 *その持続利用は可能か?
 *島のニーズに合うのか?
 *大木がない場合、島内でラミネート(薄板を集めた集成材)の製造は可能か?

 *島の周辺の漁業資源は、どこに何があるのか?
 *十分な余裕をみて、その持続利用は?
 *島内のニーズは?

 *シカやヤシガニはどれくらい棲むのか?
 *その持続利用は?

島のニーズもリサーチするが、今までのライフスタイルが将来も続くとは限らないので、要注意だ。次に、上の可能性を実現するために何をしなければならないのか、どんなノウハウとどれほどの資金が必要なのかを検討する。そしてそのノウハウや資金を提供できる個人や団体を探す。もちろん、島内や国内に見付かれば最高なのだが。



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12.ロタ島でのライフスタイルを転換する

太陽エネルギーの有効利用は「脱石油」のことであり、それは「衣・食・住・水・エネルギー・資源の自立」を意味するとお話した。そのためには、ロタ島の「農林水産業の見直し」が重要なこと、さらには「ライフスタイルの転換」が不可欠であることも述べた。

*循環社会を目指す:
農業は家庭菜園など個人でできるレベルの物もあるが、本格的なものは島全体、さらには国全体でやる大きなプロジェクトとなる。林業も漁業も同様だ。
それに対して、「使い捨てから持続へ」のライフスタイルの転換は個人レベルで実現しなくてはならない。と言うより、政府などから「ああしろ、こうしろ!」と命令されたくないではないか。現状では、衣料はほぼ100%輸入、食料も建材も大部分が輸入だ。もちろんクルマも電気製品もそれを動かすためのエネルギーも100%輸入だ。そして、最後は大量のゴミを出す。理想は、島で生産された物で生活し、それが島に還元すること。つまり循環社会だ。

*ライフスタイルの転換とは昔へ戻ることではない:
「使い捨てから持続へ」のライフスタイルの転換は、昔の生活へ戻ることではない。もちろん、それが自らの幸せに結びつくなら、個人個人で判断してライフスタイルを昔風に戻すことに問題はない。私がイメージするのは、近代的で豊かな生活(もちろん、その内容については考え直さなければいけないが...)を実現しながら、石油依存から脱することなのだ。

*環境配慮とは窮屈な生活のことではない:
あれをしてはいけない、これをしてはいけない......と禁止だらけの環境配慮を避けたい。誰でも窮屈な人生は面白くないではないか。個人個人が自分の幸せや充実した人生のために何が必要で何がそれほど重要でないかを考え、大して重要でない物や行為を止めればいいのだ。
ある人は、クルマは不要だが、年1回の海外旅行はしたいと思い、またある人は、肉食は必要ないが、流行のクツは欲しいと願うかもしれない。そんな自由は何とか確保したい。

*環境負荷ペナルティーと環境貢献プレミウム:
その代わり、環境負荷の程度に応じてペナルティー(税金など)を課す。これを「環境負荷ペナルティー」と言う。また反対に、環境貢献に対してはプレミウム(補助金など)を出してバックアップしたい。これを「環境貢献プレミウム」と言う。
これらについては、いつか改めてお話したい。

*コンクリート造りの家について:
今のロタ島の住まいは、大型台風の頻発もあり、ほとんどがコンクリートかコンクリート製ブロックで建てられている。これらは通気性が悪く、昼夜を通してエアコンなしでは生活できない。また、自然光が入らないので、昼間でも照明が必要だ。さらに、コンクリートの家は建て替えの時の取り壊しが大変で、しかも大量のゴミが生じるので、結局、廃虚として放置される例があとを絶たない(写真)。



現状では、コンクリートの家は三重のマイナスポイントとなる。まず、島外から建設材料を輸入しなければならないのがまず第1点。現状のコンクリートの家は風通しと採光が悪く、昼夜を通してエアコンや照明を必要とするので、エネルギー消費量が大きく経費がかかるのが第2点。そして、建て替えの際にリユースができず、廃棄物が大量に生じ、その処理にエネルギーとお金がかかるのが第3のマイナスポイントだ。

ロタ島でのコンクリートやコンクリート製ブロックの家を全く否定するわけではないが、新しい建築材料を使うなら、新しい考え方と設計が不可欠なのだ。つまり、ロタ島の熱帯の小島という条件に配慮した、いや、最大限に利用した使いこなしだ。ただ単に材料を、今までの木材からコンクリートに変えただけでは、様々な問題を抱え込むことになるのは自明だろう。

確かに大型台風でも吹き飛ばされない家は重要だ。そして、そのために100%輸入に頼っているコンクリートが建材として最も相応しいなら、それを使うことも止むを得ない。しかし、少なくとも通風と採光には配慮したい。

*新しい考えのエアコンの提案:
また、盛大に電気エネルギーを使い( 注24)、騒音や振動も大きく、しかもそれほど快適ではないエアコンは、根本から考え直したい。涼しい家の基本は、まず緑陰、そして通風だ。さらに、大地や水の持つ間接熱の一種である冷熱を上手く利用した、省エネで快適な新時代のエアコンのアイデアもある。



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建築に絡んでゴミの話が出たので、次回は「ゴミ」についてお話したい。

2006年10月19日、スイス近自然学研究所にて


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注17)水素をエネルギー・ベースとする「水素の島」を目指している
詳しくは、この連山サイトで、水素触媒に関する世界的権威である市川勝氏(北大名誉教授)による「市川システムと水素文明」と題したコラムが予定されているので、そちらをごらんいただきたい。

注18)石油の枯渇まで50年を切ったと言われる
枯渇という表現は、実は正しくない。石油がなくなってしまうわけではない。事実、公表される枯渇年数は延びる傾向がある。新たに油田が発見されて埋蔵量が増えたり、技術の進歩で採掘が可能となることもある。さらに、原油価格の高騰で、投入エネルギーが多少多くても採算が採れるようになることもある。
しかしながら、これらには限界がある。採掘に投入するエネルギー量がそれによって得られる石油エネルギーの量より大きくなる時点だ。これは、経済からではなく、エネルギー収支から採算が採れなくなるという意味だ。つまり、いくら石油が存在していても使えないのだ。
現時点での可採年数が確認埋蔵量と生産量から計算でき、OPEC諸国で84年、非OPEC諸国で25年、合計すると49年となる(Oil & Gas Journal, 2005年末)。

注19)再生エネルギーと再生資源
ヨーロッパでは再生可能エネルギー(リニューアブル・エナジー)・再生可能資源(リニューアブル・リソース)と言うのが一般的。日本では最近、「自然」エネルギー、または「新」エネルギーという呼称があるが、石油も自然なエネルギーであり、太陽エネルギーは人類にとって最も古いエネルギーである。これらの呼称は誤解を生みやすい上に、日本でしか通用しないので、私のコラムでは使わない。

注20)再生エネルギーは、太陽エネルギーに地熱と潮汐を加えた物のこと
地熱は地球内部からの熱で、太陽熱によって暖められた間接熱とは違う。潮汐(ちょうせき)は地球と月との引力で生じる。つまり、この2つは太陽エネルギーとは無関係だ。潮汐エネルギーは、潮の満ち干での海水面の高さの差をエネルギーとして利用することだ。

注21)全再生エネルギーのうちの99.97%が太陽エネルギー
参考文献:「人間生活とエネルギー」押田勇、1985年、岩波新書、P146

注22)森林資源をカスケード利用する社会システムができれば自ずと縮小する
紙のリサイクルは、エネルギー投入量がバカにならない上に、紙のセルロース(木質繊維)が細かく砕かれて、使えるのは半分程度しかないとも言われる。残りは残渣、つまりヘドロだ。また、良質の紙にするためには環境負荷の無視できないブリーチ(漂白剤)やバインダー(接着剤)が必要となる。
多くの輸入材がジャングル(熱帯降雨林、または熱帯の密林のことで、動植物種が大変多様で豊富なため、エコロジーから大きな意味を持つ)の不法伐採による現状では、紙のリサイクルはジャングル保護の意味がある。しかし、FSCなどジャングル保護を目的としたラベリング(有機野菜、環境共生木材、環境配慮漁業など、特定の条件を満たしたものに与えられる認定証のこと)が普及すれば、リサイクルの意味を失う。最終的には、紙のリサイクルは、漂白しないトイレットペイパー、断熱材、梱包材などに限られることになろう。

注23)原点に戻ってゼロからの見直しをする
我々は往々にして一部分の具体的な改良や変更に終始しがちだ。それでは根本的な問題解決とはならない。そんなやり方を「ハシゴ段のつぎ足し」と言う。時代にそぐわないツギハギだらけの古いシステムはいずれ破綻する。新たな目的のためには、全く新しいシステムが必要かもしれない。そこで、具体的で現実的な細かい部分へのこだわりから一旦離れて距離を置き、原点に戻ってゼロから新たなシステムを構築してみると良い。思わぬ解決策が生まれ、それは意外に単純な物である可能性も大きい。それを実行するかどうかは、その後の問題だ。

注24)盛大に電気エネルギーを使い
電気製品などが使うエネルギーの総量は、瞬間的な消費電力とそれをどれだけの時間継続して使ったかによって決まる。つまり、「消費電力(kW)×継続時間(h)=電力量(kWh)」が重要なのだ。
瞬間的に大きな電力を使うのは、電子レンジ、エアコン、電気ストーブ、電気炊飯器、トースターなどだ。しかしながら、継続して使う時間はエアコンがダントツとなり、従ってエアコンのエネルギー消費量は他を圧する。(実は、電気ストーブもエネルギー消費量が多いのだが、ロタ島では問題外。)
逆に、瞬間的にはそれほどの電力を使わなくても、長い時間使われると、最終的に大きなエネルギーを使うことになる。電気炊飯器を1日中保温状態にしたり、カラーテレビやオーディオ装置をスタンバイモードにしておくと、少しずつだか、最終的には塵も積もれば山となるのである。

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